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炎と氷が共鳴し、雷が落ちる

 墓参りを終えて、今日は家で1人無意義に時間を浪費している。夢にはさっさと出てけと言われるが、俺にはどうしようもない。


 才華は技術開発者、研究者として業務をしている。 白衣才華のお仕事だ。

 

 才華はまだ世に発表してない技術や理論を複数保管している。そのうち1つを転移前に研究者に活用しろって丸投げしたらしい。


 今は研究所の面々からのそれに対する質問への回答やらで時間を取られるとのことだ。この件は才馬さんからの厳命であるため、今後のことを考えて才華は素直に従っている。ちなみに、良子さんの監視付きでもある。

 

 愛音も大学の方へ行っており、完全に1人でいるには久しぶりだ。


 さてどうし・・・・・・。スマホの着信音がなった。才華からだ。


『緊急事態。最速で来て。』


 才華からだ。自作スタンプもなく、シンプルな文。それが本格的な異変を感じらせる。なんだ?


 言われたとおり、最速で天城家へ移動し、インターホンを鳴らすと


「来たね。」


 才華の声。焦っている。珍しい。


「装置で異世界に行くよ。もう愛音もいる。必要な道具も用意してある。急いで。」


 ドアが開くなり、手を引っ張り走り出す才華。


「な、なに。何が起きた?落ち着けって。」


 俺が声を上げるも


「後で説明するから。信じて、お願い。」


 何かを訴える目でこちらを見て説明する才華。まさか、あの森になんかあったのか?シクやらに危機が?だったら焦る気持ちは分かるが。


「それでも、落ち着こうって。」


 だが、才華は聞かない。むしろ腕に入る力が増した。俺は反論をあきらめ付いていく。




 装置のある通路に差し掛かったところで


「~」


 誰かを呼ぶ、探している声がした。もしかして、才華を探している?


「っ。来たな。早い。在人、ダッシュ。」


 才華のスピードが上がる。良子さんに連絡なしで異世界に行くつもりか?それは帰ってきたときに良子さんに殺されるぞ。この時点で俺の背中に寒気がした。だが、それなら装置が部屋で待ち伏せればいいはずだが?それとも部屋に閉じ込められた才華が部屋から抜け出したのか?壁壊してないだろうな。おい。


「なー今の声。才華のことを探しているんじゃないの?」


「違う。」


 顔を横に振る才華。


「信じて。在人。」


 俺を見る才華。その表情は・・・確かに嘘は言っていない。ここでこの表情なら信じれる。


「ごめん。急ごうか。」


 が、遅かった。


「ーーーーーーーーーーーー。」


 後方から女性の声。英語?なんだこんなしゃべり方のメイドさんいたっけ?


「在人。急いで。」


 才華の催促され、俺もスピードを上げる。振り返れないので、姿が気になる。


「ーーーーーーーーーーー。」


 俺らのスピードが上がったことに気付いたのか。慌てたしゃべりなる女性。何を言っているのかわからんけど。とりあえず、部屋に入りさえすれば俺らの勝ちだろう。


 あと5メートル。き、きつい。だがここまでこれば。


 ぎゅ


 後ろから腕を捕まれた。え?声からしてまだ距離はあったはず。メイド服なら走りずらいはず。なのに俺は捕まった。足速くね?あと力強い。才華や愛音よりもだ。俺は体の向きを変えメイドを見る。


「ーーーーーーーーーー。」


 メイドではない女性が俺に抱き着いてきた。何を言っているのか分からない。通訳の魔法使ってほしい。


 胸までのびた金髪ストレート。プルンした唇。勝気な灰眼。愛音クラスの大きい山、むちむちした太もも。タンクトップへそだし青スリットの入った青ホットパンツ。黒ハイソックス。セクシーって言葉が当てはまる服装。でもどこか、見たような。?


「ーーーーーーー。あ、ごめんなさい。興奮しすぎて色々混ざってますね。お久しぶりです。あなたのマアカ・イゾ・マーラウトです。」


 その女性は日本語でしゃべりし、俺の顔を見上げる。あなたのって、才華や愛音みたいなことを言うなーこの娘。マアカ・イゾ・マーラウト・・・・・・あ!え?あ?ええええええええええええええええええええ?


「マアカ?」


「はい。そうです。ザアイ。覚えていてくれたのね。嬉しい。」


 マアカの顔が一気に明るくなった。そして、俺の胸に顔を埋める。



 マアカ・イゾ・マーラウト。 天城才馬の元婚約者。親の関係で世界レベルでの転勤族。クォーター。・・・・しか知らない。俺よりは才華のほうが詳しく知っているはず。


 俺達が中学1年生のとき、マアカは才馬さんとの婚約を進めるために日本に来てそこで出会った。父親が天城家と繋がりを望んでいたらしい。だが、そのころ才馬さんは千佳さんと付き合っており、縁談事態はご破算になるも


「政略結婚ありきでしか、話を進めれない人との商談は無意味です。それなしでも問題無い人だと思い、この場での商談を用意したんですが。」


と才馬さんが話を進め、商談はまとめたことから、婚約の件は問題にならなかったそうだ。


 マアカはそのまま3か月ほど、俺達の通った中学に留学。当時は中国、フランス、インドを廻った後に日本に来たせいか、普段は堪能な言葉も、焦ると他国の言葉が混ざっていた。


 あのときは4人でずっといたのを思い出す。



 


「うわー。えーっと。中学のとき以来だから、えーと8年近くだよね。だから、その見違えたというか。」


 8年で本当に見違える成長をしている。俺の顔を埋める部分と言い、身長だって才華より小さかったのに。外見に合わせてか性格も明るくなった。あのときはこの大胆さはなく、もっと弱気で大人しかった。


「おーい。いい加減離れろー。マアカ。」


 才華がムッとした顔で俺とマアカを引き離そうとする。


「まだ、ザアイ、あいさつの途中です。済むまで待ってね。」


 マアカの力が増す。単純な力じゃ、才華、愛音よりマアカの方が上だ。


「在人も彼女の前で、違う女性に抱き着かれるな。」


 力の差を悟った才華が俺の腕を掴む。嫉妬している。


「って言われ。」


 そこで俺の口は塞がれた。手じゃない。胸じゃない。唇に。マアカの唇に。


 驚きで停止する俺。才華。さも当然と舌が絡んでくる。あいさつ?あいさつ?あいさつううううううう?あーまー、確かにあいさつか。欧米の。うん。うん。そうだそうだ。

 

 5秒?10秒?くらいしたところで唇が離れる。


「センキュー。才華、挨拶終わるまで待ってくれて。」


 ペロっと唇をなめ、才華を見るマアカ。その顔は勝ち誇っていた。


「うおーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー。」


 才華の絶叫が通路に響き渡った。


「どうしたの2人とも。大丈夫?」


 愛音が驚きの表情で装置のある部屋から出てくる。


「大丈夫。」


「だいじょばない。」


 異なる返事をする俺と才華。形相がすごい才華とまだ呆然とした顔であろう俺。愛音が首をかしげる。


「久しぶりね。愛音。あいさつしただけなんどね。」


 ニコッとするマアカ。まー欧米じゃあそうかもしんないけど。いやいやここ日本。より一層不思議がる愛音が俺らの顔を見渡す。


「あ、、あ、あ、、、あ、、、あ、あいさつー?」


 才華が目を見開き、マアカを見る。そして、才華の様子からなにかを察した表情の愛音。


「え、まさか、そうなの。」


 有無を言わせない雰囲気で、俺とマアカを交互に見る。その瞳に映るのは凍り付く俺とニッコリ笑顔のマアカ。


「恋人とついでに彼女がいるのに?」


 静かに告げる愛音。あれ?背筋に冷汗が。


「えーと、ほら、外国のあいさつなんだから、気にしなくてもいいんじゃない?」


 後ろで「ついでに彼女ってなにさー。」と暴れ馬が騒いでいる。炎と氷のような2人の差。


「ガールフレンドがボーイフレンドにキスをするくらい普通じゃない。」


 そこに雷が落ちる。はい?俺はマアカのほうへ振り替える?マアカは何を言っているの。


「好きです。今から先、一生添い遂げます。私はそのためにここにきました。・・・いえ。」


 目を一旦閉じたマアカ。


「ザアイよ。私は帰ってきた!ってやつです。」


 目を見開き、両手を広げ、飛びついてきた。どこかで聞いた悪夢のセリフ。


「NOとは言わせません。」


 抱きつかれて、耳元で囁かれた言葉は、さっきまでの明るさを埋め尽くす暗さと重さだった。重く重く重く聞こえた。


「あ、はい。」


 俺はそれしか言えません。言えない。


「マアーーーカ。残念ながら在人の新しい家族はここにいます。」


 才華が俺の腕に抱き着きマアカから引き離す。


「それは・・・・・・・・」


 マアカは俺、才華、愛音とみて、なにかを考え、閃く。


「ザアイの妹。」


 マアカは才華を見る。


「ザアイの姉。」


 マアカは愛音を見る。


「おにいちゃーん。」


「今日も、在人は甘えんぼうね。」


 才華は体に抱き着いきて、愛音は俺の頭を胸におしあてる。俺はなすがままにされる。


「って。違うわあ!その眼はふしあなか!よく見ろ。」


 才華は愛音の胸をはじきあげる。がふっ。


「・・・・はっ!そういうことね。」


 マアカは閃く。


「お義母さま。」


 マアカは愛音を見る。


「才華ちゃん。今日から私があなたのママよ。」


 マアカは才華を見る。


「今日もざいとちゃんは甘えん坊ねえ。」


「パパ~大好き~。パパとけっこんする~。」


 才華は体に抱き着いきて、愛音は俺の頭を胸におしあてる。俺はなすがままにされる。


「って、違うわあ。その頭は飾りか。」


 才華はマアカの胸をはじきあげる。


「じゃあ。どうゆうこと?。」


「私が嫁だ。」


「私が妻ね。」


 2人は俺の腕に絡みつく。


「・・・・・・まずは、座って話し合おうか。」


「才華のいうとおりね。在人、マアカ。」


「よろしい。なら会議せんそうだ。ってのは違うかな。どう思うザアイ?」


 炎と氷は共鳴し、雷が落ちる。


 





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