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正しさの後悔

掲載日:2017/10/22


 誰が悪いわけではなかった。

 きっと、誰しもが己の”正しさ”を信じ、誰しもが己の選択を後悔しない。

 けれど、それで本当に良かったのだろうかと、僕は考えてしまう。

 果たして、僕が信じた僕の”正しさ”は、誰もが”正しい”と思えるものだっただろうか。

 すでにその問いの答えは失われているのにも関わらず、過去は何度でも問うてくる。

 僕の”正しさ”は、誰の”正しさ”だったのか、と。

 僕の”正しさ”は、誰が信じた”正しさ”だったのか、と。

 僕が持っていた”正しさ”は、果たして誰から受け継いだ”正しさ”なのか。

 その答えすら、流れ出る血のようにもとには戻らず、時の流れと共に薄らいでいった。



 夢の終わりは、いつもその光景を見る。

 まるで忘れ去られることを恐れるように。

 どこか記憶の底に留めておけと言うように。

 けれど、忘れるわけがない。

 それはきっと、僕が初めて”正しさ”とは何かを考えた瞬間だったと思うから。

 荒廃しきった丘の上で、灰色の空に浮かんだ月に見守られながら、くずおれる少女の姿。

 きっと、考えてしまったのだろう。

 信じてきたその”正しさ”は、本当に”正しい”ことだったのだろうかと……。



 人は誰しもが己の”正しさ”を信じ、誰しもが己の選択を後悔しない。

 ならば、僕はどうして問われ続けているのだろうか。

 どうして僕は、ずっと探し続けているのだろうか。

 その問いもまた、導き出されることはないのかもしれない。



 目が覚めると、すでに日が落ちかけた教室には僕しかいなかった。

 いや、よく見ると僕の前の机に学校指定の鞄が置かれているので、きっと物好きな誰かが残っているのだろう。

 そこでタイミングよく教室のドアが開く音がした。

「お、ようやく起きましたね」

 教室に入ってきたのはよく知る少女だった。

「ほらほら、もう下校時間だから帰りますよ」

 スカートの裾を翻し、少女は僕に近寄ってくる。

 僕は何も言わずに枕代わりにしていた鞄を手に取ると、まっすぐ教室を出た。

 少女はそんな僕の後を黙ってついてくる。まるでそれが当たり前かのように。

「それで、今日はどんな夢を見てたんですか?」

 そんなの、決まっていた。

 僕の間違った”正しさ”を、後悔する。

 そんな夢を、ずっと見続けている。



久しぶりに短編書きました。

こういう雰囲気の話大好きです。

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