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太陽がおちるとき  作者: 垂落下
1話 召喚
4/5

名前

「食前」→「食事」→これ の順番です。

 深い森の奥にある木造の一軒家、昼に差しかかるころに3人の人物がテラスにあるテーブルを囲み木製の椅子に座っていた。外側に置かれている椅子に少女ニナがこれから食事をとろうとしている中、彼女の正面に座っている2人は真剣な顔で昔話をしていた。ニナはそれを食事の音楽にするかのように食事をとり始める。


 昔、食物連鎖の底辺を行く人類が二足歩行して手に鈍器を持ち始めた時代に神サマが現れてそこから暦を数えて400年間人類を導き、複数の人間に『強い血の呪い』をかけて動物の冬眠のように眠りについたのが約200年前。神サマはトカゲに鳥類のような空を自由に飛ぶことができる翼が生えており、人間を丸かじりにできるほど大きい龍、ドラゴンと呼ばれる存在を使役していた。神サマは人類に生きる残る力と知識を与え、食物連鎖の頂点へと導いた高位なる存在だとジェフトさんが語った。


「神サマと魔法の関係性は?」

「神様が時折使っていた奇跡のようなものを使っていたんだが、だいたい100年前にそれが魔法だと判明してね。そこから魔法の研究が始まったんだよ。」

「人類に残した強い血の呪いって?」

 ジェフトさんを質問攻めしている自分がいた。うまく説明できない怒りや嫉妬に似た感情がこみ上がってきて完全に頭に血が昇っていた。

「えっとねぇ…、正式な文献は協会にあってボクの記憶が正しければ、神様が不在の間、人間が人間を治めなきゃいけないんだけどそれを人間がやると不都合があるとかで、神様が直々に指名した王の証、最初は10人だったけど神様が言ってた通り揉め事や統合とかあって、でも血を受け継ぐ人間は増えて全部で20人強から30人弱、現在の正式な王様は8人」

「その人たちは通常の人間とどう違うの?」

「呪いっと言ってはいるけど本当にそうなのかはわからないんだ、魔法についてはまだわからない事だらけだしね。特徴は人間への絶対命令かな…。」

「絶対命令って、使い魔との関係じゃないんだそんなことできるはずが、」

「うん、言いたいことは分かる。でも王様の言葉を拒否することが出来ないんだよ。」

 ジェフトさんは淡々と答えた。それのせいもありジェフトさんが嘘を言ってる風には見えなかった。


 神サマとやらが使った強い血の呪いについて全く思い当たる魔法・魔術がない。そんなことが本当に起こっているのか、本当に魔法・魔術なのかも分からない。今の自分では理解できない技術と知識を持っていた人物への嫉妬と、得意とする分野で負けを言い渡された敗北感が合わさったように若干の苛立ちを覚えた。

「ほかに質問あるかい?大丈夫かい?」

 説明続けで少し疲れた顔を見せていたジェフトさんが問いかけてきた。

「…納得は出来てないですけど落ち着きました。」

 そう答えると少しほっとしたのか安心した表情に変わる。ニナはまだ食事の途中で食べ物を口に頬張りモグモグと口を動かしていた。

「…自分たちの体の中を走る血が何であるか、安全なものか早く知りたいのか…。」

 そうか、何時なにかが起きてもおかしくない呪われた血を早く分析して解放されたいのか、だから魔法協会と言う組織を各国で人員をだしてまで作り上げたのか…。

「それもあるだろうし、早く神様と同じ目線に立ちたいってのもあるだろうね。」

「…だいぶ遠い道のりだと思いますけどね。」

 ジェフトさんもそれを聞いて少し笑い、難しい話から少し解放された感覚がした。ニナは置いてけぼりを食らっていたが笑っているのを見て少し笑っていた。


「そう言えばニナの誕生について尋ねていたね。」

 軽く肯定の返事をして、ニナがギョギョッとパンを食べながら目を丸くした。

「こっちに来てから魔術を研究していたって説明したよね。召喚術について研究していたんだ。今までの出来た使い魔召喚は小動物で、生存できたのも数日が限界だった。そこで色々と生物学や医学のことを学んで魔術に生かせないかと思って研究してついこの間ニナが誕生したってわけ。」

「…大変でしたね。」

 凄い努力家だった。本来なら数十年の研究でようやく出来るだろう魔術を奇跡のように見つけてしまったんだろう。それだけのことではない、この魔術には物質以外の、魔力でもない物が必要とされる。人間にある感情や願いなどの目に見えない存在が一定量必要になってくる。ニナと言う規格外の存在を生み出す程の感情や願いの類、相当熱心になってやっていたことがわかる。

「召喚した後の今が一番大変だけどね、」大きく笑うジェフトさん、ここまでやった結果として、報酬がこの程度の幸福では足りないと思ったが本人良いならいいんだろう。

「魔力感知が出来るとか言っていたが、君の眼で見てニナはどのくらい凄いんだい?」

 少し自慢げに言ってきた。親馬鹿だと思うが自分の子に重ねていて愛情を持っているのだと思った。

「表現が少し難しいですね…。 ジェフトさんの体内にある最大魔力量を10として…、この森全体の魔力量を1000としたら…、ニナの魔力量は600弱ですかね…。」

「おお!凄い!」「人類が交配していって最大魔力量を増やしていって、何十世紀後に奇跡的に1人現れるかどうかってところですかね。」

「わたしすごいの??」

「凄いぞニナ!!やったな!!」

 あぁこの2人のやりとりを見てなんとなく察しがついてきたぞ。甘やかして暴走を阻止することできないんだ。

「ワンワンありがとぉ~」 「ッ!? わんわん!?」 

「そう言えば君まだ名前なかったね。」

 今後のことを考えて名前はあったほうがいい。と言うよりここで決めない限り一生『わんわん』と言う恥ずべき名前になってしまう。


「使い魔の契約としても名前が欲しいです。何かないですか?」

「ワンワ…」「嫌です!!」

「…使い魔の契約は誰とするんだい?、ニナはボクの使い魔だし…」

「あっ…」しまったそうだった。

「ワンワン、わたしのつかいまになるの??」

「わんわんじゃない! 使い魔になるかもしれないですけど!」

 ジェフトさんは上を向きながら口を開き考え込む、自分も早く何かいい名前がないかと考える。

 次に言葉を発したのはジェフトさんだった。

「…ルフト、ルフトってのはどうだい?」

「…!!、いいですね!、それにしましょう!!」

 少しの間でいい名前を思いつくジェフトさん凄い。これでわんわんと言う呪われた名前を捨てられる。

 …あれ?どこかで似た言葉を聞いたことがあるような。

「…ジェフトさん?今オレたちが食事をしたこの家の構造の名前なんでしたっけ、」

「忘れたのかい?ロフトって言うんだよ。」

「ジェフトさん?オレの名前なんでしたっけ?」「もう忘れたのかい?君の名前はルフトだよ。」

「名前ロフトから取りましたよね?」「凄いね、君は心も読めるのかい?」

「…。」「HAHAHA」

「どうだいロフト君、ボクの使い魔になるってのは。」「考えさせてください。」


 何はともあれ自分の名前も決まり、この世界のことを簡単な上辺だけでも知ることができた。協会の動きを見るに自分の存在を知られれば間違いなく召集がかかるだろうが、実態を見るのにはいい機会だと思う。

 召集がかかるまで『自分の主を誰にするか決める』が目標になるだろう。

「ワンワン!いっしょにあそぼー!!」

 ご飯を食べ終わりまた森へと駆け出していくニナが木々の隙間から手を振り叫んでいた。

「ルフト!ルフトって呼んで!!」

 何処に行くのかも気になっていたしニナの行動も気になるしで遊びに付き合うとジェフトさんに言い自分も森へと駆け出して行った。



 深い森の奥にある木造の一軒家、ロフトに男性ジェフトが木製の椅子に1人で座っている。目線の先は森の奥、ニナやルフトが出て行った先の方に目をやる。当然彼らの姿を見る事は出来ないが自然とそちらの方を凝視してしまう。今日の昼ごはんの献立を考えていたり、彼の服など当分どうしようかなどを浮つきながら考えていた。すると、全身が白く羽の生えた鳥類の小動物がテーブルの方へ飛んできた。

「?」

 小動物の足には紙がついており、伝書鳩のようだった。

「おやおや?」

 ジェフトは紙を恐る恐るとり読みだす。

「魔術師ジェフト=カナートへ、魔術占いより数日後に不吉な結果現る、至急報告を。 魔法協会」

 伝書鳩でもここから魔法協会がある都市まで3日はかかる、恐らく不吉な結果とは人狼ロフトの召喚の事を指しているんだろう。

「あらら、今日の運勢最悪みたいだ。」

 一瞬この紙を見なかったことにしようとしたジェフトだったがすぐに諦め、家に入り身支度をし始める。

3つに分けた中で一番最後にあたる部分です。 ようやく書き終わりこれまでが1話になります。 長い道のりですがよろしくお願いします。

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