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太陽がおちるとき  作者: 垂落下
1話 召喚
2/5

食前

爆誕の直後のお話

 森が朝を迎え、森全体が動き始めるのを肌で感じながら、森の中にある木製の一軒家のなかで、自分は「鑑」というものに映る自分の姿を見ていた。お古の服を着ていて髪色は黒に近い青、長い髪に睨め付けるような目つきで黒い瞳、背丈は…比べる人物が他に2人しかいないため判断のしようがない…だがこの中で一番背が高い。


 次に背が高いのは(…と言っても自分とはほんの少ししか変わりないのだが)鑑の前で歯の手入れと言われる「歯磨き」と言う作業をしている男性。

 髪色は黄色に近いような茶色、髪型は短髪でボサボサ、目に「眼鏡」という物をかけており瞳は綺麗な青色、優しそうな顔立ちだ。今鏡に映し出されている自分の姿が全裸ではないのはこの人のお陰だ。

 つい先刻起きた出来事を理解しきっていないが「とりあえず朝食をとりながらゆっくり解決しよう」と提案したのがこの人で、「歯を磨こう」と自分を放置して「歯磨き」をしているのがこの人だ。恐らく時間を稼ぐ口実みたいな行為なのだろう。


 そして彼と自分の間にもう一人人物がいる。鑑に映ろうと精一杯背伸びをし、彼の真似事のように歯磨きをしている。背は自分の腰あたりまでしかなく、髪は金に近い黄色、髪型は長く彼女自身の腰に届くのではないかというぐらい長い、目は丸く赤みかかった瞳をしている。チラチラと自分ではなく男性の方を見ながら自分の歯磨きをしている。


 2人が同じように作業をし、妙にゆったりとした時間が流れていくのに対し、自分だけの時間が止まってるようにただ立ち尽くしている。…どうしよう、このまま彼らが「歯磨き」に半日を消費してしまったら。「歯磨き」は時間を要するものなのだろうか、本当にその行為に意味があり、必要不可欠なのか。自分にはわからない事だ。そもそも「一般知識が皆無」なのだから。

 今はこの2人にすがるしかない。「召喚」をしたのはこの少女で間違いないのだけれども、まだ「主従関係を結ぶ契約」もまだ行われていない。

 色々な事を無い知識を使おうとしながら考えを巡らませ、焦りと不安が体や顔に出そうになった時、ここに来る前に家の裏手にある井戸からとってきていた水で口を濯ぎ、

「よし!」

 と彼と彼女が息を合わせたかのように強き言い放ち、手に持っていたものを場所に戻す。ようやく終わったのか…と安堵した。

 がそれを合図に男性は家の奥へ、彼女は家を飛び出し森の方へと別々の方向へと進み始めてしまった。2人の後ろ姿を交互に見てしまう。唖然…元々動いていないに等しい思考が完全に止まった。追いかけるとしたらどっちが正解なのだろうか、「召喚」を行った彼女の方を追いかけるべきか、それとも頼りになりそうな男性の方についていくか。そんな決断を下す前に

「君もこっちに来て手伝ってくれー」

 と男性の声がした。

 (君も?)と疑問に思いながら駆け寄る。曲がり角を曲がりすぐのところの左手の方向に男性がいた。右手側には大きく、外へ直接行けるような開けた部屋になっていた。男性はこちらを背にし何か作業をしていた。その部屋には1人のみ、彼女の姿などあるはずもなかった。


 作業の邪魔をしたくなかったが作業内容がわからない以上話をしなきゃいけい上に、彼は彼女が居ない事をまだ知らないのかもしれない。

「さっきの子、いないんですけど…。」

「え、ニナもういないの!?」

 ようやく彼らと同じ次元に立てたというのと、彼女の名が「ニナ」という事を知ることができたなぜの達成感に満ちていたが、(もう…って)まるですぐいなくなることを想定していたような言い回し方に疑問を感じた。

「彼女…ニナって子ははすぐいなくなる子なんですか?」少し食い込んで会話をしようとした。

「ニナは自由奔放、気ままな性格だからなぁ… あっそこにある卵とってくれ」

 男性が火打石を使い火を起こしながら頼んできた。近くにあった5個の卵を見て

「…何個でしょうか…?」

「3個…あっ君も食べるかい?」

「いただきます。」「じゃぁ全部使っちゃおうか。」

 火を起こし終わった男性が火の上に「取っ手がある板状の物」を置く、そして十分に火力が足りると確認し卵を割り「板状の物」に黄身を落とし行く。ジュウゥゥと焼けていく音とおいしそうな匂いが彼の方からしてくる。「板状の物」には黄身2個が限界らしく、それ以上「板状の物」に落とそうとはしかった。そんな作業をしながら男性が独り言のように話した。

「今回の魔術、『使い魔召喚』も勝手にやられたことだし、協会にどう報告しよう…。」

 男性が失笑しながら話した。

 (使い魔召喚…、協会…)色々気になる事が出てきた。男性は黄身を焦がさぬよう細心の注意しながら次々へと焼いていく。

「1日に起こす問題は少なくて2つ、多いときは4つだ。それらの中でも今回の問題は特大だね…」

「今回の問題はどう処理されるんだろう…っね。」

 そう言いながらすべての卵を使い「目玉焼き」なる「料理」が出来上がっていた。


「これと此間買っておいたパンを食べよう。今日の朝食はこれだ。」

 少し嬉しそうに男性は言った。皿にのせていき卵が2個、2個、1個のと3人用となっている。「外が見えるテラスのところまで持って行って」と言われ3つの皿を「テラス」と呼ばれる空間にある丸いテーブルに持っていき並べていく。日影が出来るよう上にに薄い布が引かれていた。


 運んで先には丸いテーブルと、また見知らぬ物が2つ置かれていた。木製の足が4本あり腰より下のあたりに板がありそこから背に板がかけられている。座った際に人を守るようにして木製の柵が左右にあり、肘が丁度くるあたりにまた板がある物。男性が此方へ来る際にもう一つそれを運んできた。2つは家よりに、1つは外に、男性はそれに座り大きく息を吐いた。

 外の景色は木が多く、その奥に何がいるのか、何があるのか確認することを阻むように乱列されていた。此方からはよく見えないが、向こうからはこちらをよく見れるだろうか。動物が動いているのかそれとも風の仕業なのか草木の音が聞こえる程、とても静かな場所だ。そんなことを考えていると男性から「座らないのか?」と問いかけられた

「…え?あっはい」そう促さるやすぐに「椅子」と呼ばれるものに座った。

 男性が食物に対して数秒の祈りを捧げ、

「それじゃぁ、食べようか。色々整理もしていこう。」

 軽く返事をし、食べ始めようとした。しかし、

「ニナのことなんだが…彼女はボクの使い魔なんだ。」

 口に運んでいた食べ物が止まる。前菜には重すぎる言葉にのどが詰まる。「食事」はこれから始まる。

話数を1つにまとめようとしましたが3つに分かれてしまいました。

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