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グリーンラブ

作者: 彗星 舞風

私は、昔からパクチーが好きだった。

おかずにパクチーが出れば、私のご機嫌メーターは跳ね上がりまさに有頂天になり、パクチーがでない日は部屋に閉じ籠りパクチー出せ運動を繰り広げる程、私はパクチーが好きだ。

今通っている学校も、名前で決めた。

朴地位高等学校。なんて素晴らしい名前であるか。

友達は、毎日学校がだるいだなんだと言っていたが、私は思わない。

思わないのには秘密がある。

学校の裏校舎でひっそりと家庭野菜ならぬ、学校パクチーを育てているからだ。

我が朴地位高等学校の裏校舎は、私以外誰も足を踏み込まない。

なぜなら、裏校舎へ行こうとすれば鬱蒼とした雑草達を越えてこなければ行けないからだ。

昔は業者に頼んで、草刈りなどしていたらしいが今は業者に頼むお金が無いらしく、今や生やしっぱの延び放題で、雑草の森化している。

その雑草の森を越えれば、私が開拓した綺麗な敷地ならぬパクチー畑が広がっている。

誰にも見付からず、パクチーに囲まれる幸せタイム。


11:30分。

昼休憩のチャイムがなり、先生が授業の終わりを告げる。

教室から、わらわらと生徒達は出ていく。

私もパクチー畑に行きたかったが、朝、現国の先生に手伝いを頼まれたが、パクチーが優先だった私は断りを入れた途端に鮭で張った押されたのでしぶしぶ了承したのであった。

パクチー畑ではないので、私の足は重りを着けたかのように重くノロノロと教室から出て職員室へ向かった。

途中、何度も了承したがバックレようかどうしようかと思い悩んだが、バックレた場合朝の鮭でまたフルスロットルされたら怪我どころじゃすまされない。

打ち所が悪ければ、死んでしまう。

死ぬならせめて、パクチー死が良い。

鮭死は嫌だ。


職員室に着き扉を開けた瞬間。

「…っ!」

現国の先生と話す彼を見て、カチリと心臓が止まる音が頭に響いた。

なぜならば、先生と話す彼はまるで私の好きなパクチーにそっくりだったのである。

「おー、よく来たな!」

職員室の入口で固まり彼を凝視してる私に気が付いた先生が声をかけてきた。

「こいつは転校生だ!仲良くしてやれ」

「よろしくお願いします」

先生に背中をバシバシ叩かれながら、パクチー似の彼が私に挨拶してきた。

「あ…はい。こちらこそ、よろしくお願いします」

彼に魂を抜かれてる私は、ふにゃふにゃした話し方をしてしまった。

「じゃあ、こいつに学校を案内してもらえ。鯖田。」

「はい」

…別の意味で私の時間が止まった。

「さ、さば…だ?」

「はい。僕の名前は鯖田鮭男です」

にっこり。という効果音がつきそうなくらい爽やかに、にこやかにパクチー似の彼は名前を教えてくれた。

私は、先生の机に立て掛けてあった鮭をそっと手に取りパクチー似の彼に向かって「鯖なのか、鮭なのかどっちだぁぁぁぁっ!」と言いながら振り上げた後は記憶に無い。


後日譚。

パクチー似の鯖田鮭男君は、私が振り上げた鮭にぶち当たりそのまま入院し、転校していき、鮭を持っていた先生は、鮭を持っていたという事で懲戒免職。

私はというと、あの後パクチーがすっかり嫌いになり校舎裏のパクチー畑はパクチー研究会の子達に引き継がせ、ぐーたらとした日々を過ごして体重があっという間に100キロを越えてしまったのである。


はぁ、初恋とは叶わないとよく言ったものだ。

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