あんぶれら
じつはね。
きっと、みんな知っていると思うけど。
僕は、思った以上に怖がりで。
いつも、いつも、傘の下。
晴れの日も、雨の日も。
曇りの日も、雪の日も。
空がどんなに晴れていたって、
明日が台風の日だったって。
僕は、いつも、傘の下。
黒い空。
黒い点。
明るい外を眺めながら。
じっと、じっと、傘の下。
布にあたる雨音。
露先を切る風の音。
石突を焼く太陽の音。
そして、影。
手を振って、
染みついた思い出も。
中骨に沿って、流して。
明日もここでじっとして。
軒下から、
こんにちは。
流れる雲を眺めている君。
足元の水たまりに浮かんだ、傘と、長靴。
きらきらと輝いた影。
眩しいくらい。
君をのせて。
昇っていく太陽を見ないように、
ぱっ。
傘を、また。
嫌いだ。
ありがとうございました。