「スマフォながら運転」なら6人殺しても7年の拘禁で済むのはあまりにも理不尽だろ!
筆者:
本日は当エッセイをご覧いただきありがとうございます。
今回は26年3月20日、新名神高速道路で、渋滞の列に大型トラックが追突し6人が死亡した事故で、トラックを運転していた水谷被告は津地裁は拘禁7年と判決を下した判決について個人的な意見を述べていこうと思います。
この判決について上告されるかどうかは分かりませんが、本人は罪を認め、求刑通りの刑期となっているので根本的な考え方としては変わらないという事で書かせていただきます。
質問者:
え……! 6人で7年って1人あたり1年ちょっとなんですか!?
そもそも、より刑罰が重い危険運転致死傷にあたらないんですか!?
◇危険運転致死傷に「ながらスマフォ」は「検討されただけ」
筆者:
まずその辺りを整理しましょう。
自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律第2条の要件に当てはまらなければ危険運転致死傷罪に問われません。
その具体的な危険運転致死傷の要件とはこのサイト https://www.daylight-law.jp/criminal/kikenunten/ によると、
① アルコール又は薬物の影響により正常な運転が困難な状態での運転
② 進行の制御が困難な高速度での運転
③ 進行を制御する技能を有しないでの運転
④ 他者の通行を妨害する目的での割り込みや幅寄せ
⑤ 高速走行中の車の前方での停止又は接近
⑥ 高速道路等でのあおり運転
⑦ 赤信号を殊更に無視する
⑧ 通行禁止道路への進入
などのことを言います。
しかも、これらに該当したとしても146キロのスピードで飛ばして事故を起こしても危険運転に該当しなかったケースもあるようです。
https://www.sankei.com/article/20250929-RP3GH2D7ZJPC7ER3UZ2HRCPN64/
その上で、「ながらスマフォ」による運転は上の事例の項目にあたらないとされており、それよりランクが下の「過失運転致死傷」にしかならないとされているみたいなんです。
質問者:
え……どうにも信じられないんですけど……。ただのわき見運転と違ってスマフォを見ながらの運転なんて誰が見聞きしても危険なことは明らかなのに……。
筆者:
マルチタスクは全ての集中力を阻害してむしろ効率が悪くなることが研究で明らかですしね。https://gendai.media/articles/-/109365
ちなみに26年7月21日に危険運転致死傷について改正されたのですが、
スマフォのながら運転も検討されたようですけど、
アルコール度数や時速などの「数値」が明確化された程度にとどまり、スマフォの流れスマフォは追加されませんでした。
https://personal-injury.jp/posts/5121
ただ、今回の一件は時速は82キロにとどまるために「制御困難」と認めることが出来なかったこともあるので、仮に上の定義に加わっても危険運転致死傷でも短い刑期になる可能性が高いと僕は推測します。
◇「併合罪加重」に該当しない理由
質問者:
そうは言っても1人の命あたり1年の拘禁ってとても納得がいかないんですけど……。
アメリカみたいに死んだ人が多いと拘禁が加算されるような制度って無いんですか? アメリカじゃ刑務所に300年という尋常では無い期間になることもあるそうじゃないですか……。
筆者:
実を言うと日本にもアメリカほどでは無いですが、確定裁判を経ていない二個以上の罪を「併合罪」として判断され、最大で1.5倍の刑期になることはあり得るようです。
https://lawplayer.com/jp/article/140AC0000000045/45
しかし、今回の場合は適用されていません。
殺人罪などではそれぞれ殺意を持って殺したことが累積になっていくと思うので、恐らくはアメリカでもこういった事故は刑期は伸びていかないと思います。
結局のところ殺意がそれぞれあったかどうか? が刑期の大きな要素になるからです。
過失運転致死傷でも「運転ミスは1回」としかカウントされるので加重されないという事なのだと思います。
質問者:
えぇ……そんなのあんまりですよ……。筆者さんは残酷すぎます……。
筆者:
あの……僕が残酷なのではなく、法学が残酷なだけですからね? そこのところを勘違いしないで欲しいのですが……(汗)。
当たり前のことではありますが、被害者家族の立場から見たら「罪のない家族が他人によって命を奪われた」と言う側面は「殺人」でも、「危険運転致死傷」でも「過失運転致死傷」でも変わらないことは間違いないわけです。
また、刑事における裁判の刑期が短くなるだけであり、交通事故の相手方に対する補償請求においては刑法の刑期とは関係なく請求することは出来ます。
おおよそ、一家の支柱(稼ぎ頭のこと)2,800万円、母親・配偶者:2,500万円、その他(独身・子ども・幼児等):2,000万~2,500万円が目安になっています。
https://bengoshi-jiko.jp/column/fatal-accident/
勿論、お金で誰の命も戻ってこないんですけど、制度的な問題ではそうなっています。
ただ、本件のように6人分ともなれば恐らくは補償総額は1億以上になるので、一般のトラック運転手にそこまでの返済能力があるとはとても思えません。
そうなると、やはりあまりにも重い状況であることには変わりは無いですね……。
◇ではどうすれば「納得感」がある刑罰法体系になるのか?
質問者:
そうなると、基本的には被害者家族は泣き寝入りになるんですか……。
筆者:
非常に残念なことに現行法では少なくともそうなります。今回の一件は過失運転致死傷なので拘禁7年は「上限」でもありますから。
しかし、理不尽であることには変わりなく、サスペンス系のドラマやアニメの話だと、刑期を終えた加害者の前に遺族が復讐に現れるとかそう言うレベルだと思います。
ただ、他の制度においては特定の条件下で「上限突破」をすることがあります。
例えばひき逃げは通常拘禁12年ですが、無免許が加わると最大15年に伸びると言った事があります。https://www.ask.or.jp/article/513
このように上限を特定の要件の下で引き延ばすことは可能なようなので、
社会に著しい影響を与えかねない事案に関しては拘禁の期間を引き延ばしたり、場合によっては死刑にすることも選択肢に入れるべきなのではないかと思います。
質問者:
交通事故に関してはドライブレコーダーもあるので冤罪も少ない気がするので、この辺りも検討して欲しいですね……。
筆者:
法律に不満を持ってしまう方が増えればそれこそ報復の応酬や自己救済、法律を守らない人が増えるなど社会全体の不利益も多くなると思います。
理不尽を感じないような法体系を考えて欲しいところですね――もっとも、政治資金規正を政治家自らは行わないように法律は理不尽な側面もあるという事です。
ともかく、運転する側が色々と配慮する必要性があると思います。
車は速くて重いものも運べて非常に便利ではありますが、人にとっては凶器がそこら中を走り回っているのと等しいですからね。
道路交通のルールはしっかり守って、守れない人には厳しい罰則があってもやむを得ないと思います。




