1.高速移動 2.手摺りの上
掲載日:2026/07/19
1.高速移動
午前2時前。
そろそろ寝ようと電灯を常夜灯にし、布団を掛けて横になった。
目を閉じてしばらくすると
「ちょっと待ってぇぇーーー」
若い女性の声が天井裏を走って行った。
わずかにドップラー効果があった。
2.手摺りの上
ある日の夜遅く、私は愛犬金太郎の散歩をしていた。
近所をぶらぶらとして、自宅近くまで帰って来た時、どこかから視線を感じてふと見上げると
自宅より数軒離れた家の二階ベランダの手摺りの上あたりから、誰かがこちらの方を見ていた。
暗くてよくわからなかったが、その家の奥さんかな、と思い、軽く会釈をすると、手摺りの上からこちらを見ていた誰かの頭は
ズルルルッ
と手摺りの上を2メートル程横滑りして、
そのままボトリとベランダの内側へと落ちた。
「……」
自分が目にした物が何かわからず、呆然とベランダを眺めていると
ベランダの奥の部屋に明かりが点き、ガラス戸が開いて、その家の奥さんが出てきて洗濯物を取り入れはじめた。
そして奥さんは私に気づき、会釈をしたのでこちらも愛想笑いをして頭を下げた。
そのベランダでおかしな物を見たのはそれ一度きりで、今のところその家に異変は無い……と思う。




