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死んだはずの彼から、毎晩LINEが届く

作者: Wataru
掲載日:2026/02/08

彼からのLINEは、毎晩届いた。


【ちゃんと帰れた?】


事故で亡くなって、

もう半年も経つのに。


既読もつく。


返信も来る。


最初は誰かの悪戯だと思った。


でも。


彼しか知らない話をする。


二人しか知らない約束。


部屋に置きっぱなしのマグカップのこと。


他人のはずがなかった。



仕事で失敗した夜。


スマホが震える。


【気にすんなって】


涙が出た。


誰にも言えなかったことを、

彼だけは分かってくれる気がした。



「……まだ引きずってるの?」


友人に言われる。


「LINEなんて来るわけないでしょ」


分かってる。


でも。


スマホを開けば、

彼はそこにいる。



ある夜。


通知が途切れた。


何日待っても来ない。


怖くなって、

過去の履歴を遡った。


最初のメッセージまで。


そして、気づく。


送信者の名前。


彼じゃない。


自分だった。



事故の直前。


未来の自分に向けて、

予約送信されていたメッセージ。


『お前、一人になるから』


『でも、生きろ』


『大丈夫だから』


スマホを握りしめる。


声が出ない。


彼はいない。


最初から。


でも。


あの夜、確かに救われた。



新しいメッセージを打つ。


未来の日付を指定する。


送信予約。


『ちゃんと、生きろよ』


送信ボタンを押す。


画面を閉じ、深く息を吐く。


これでいい。


もう、大丈夫だ。



その時。


スマホが震えた。


通知。


画面を見る。


差出人。


――彼の名前。


【もう少しだけ、一緒にいるよ】


送信時刻は、たった今。


予約送信の履歴には、存在しない。


手が震える。


部屋には、自分一人しかいない。


それでも。


画面を見つめながら、小さく息を吐く。


「……ありがとう」


スマホの光が消える。


静かな部屋で、


誰もいないはずの隣が、


少しだけ温かい気がした。


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