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【完結】婚約破棄された夜に王太子と一夜を共にしてしまい、逃げ続けたら捕まりました  作者: 木風


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1/1

婚約破棄された夜に王太子と一夜を共にしてしまい、逃げ続けたら捕まりました

「……ヤッてしまった……」


二日酔いで痛むこめかみを抑えながら、惜しげもなく鍛えられた肉体美を披露して、隣で安らかな表情を浮かべる美しいブロンドの男性を見つめる。

どう見てもこの国の王太子である、リチャードの姿が。


徐々に昨晩のことがクリアになる。


「僕は真実の愛を見つけたんだ!」

「私は真実の愛を見つけたんです!」


まさか、夜会でお互いの婚約者同士が浮気して、真実の愛を叫びながら走り去るなんて、誰が想像できるだろうか。


残された私たちを周りは遠巻きで憐れむだけ。


もう、こうなったらヤケ酒一択。

二人で泣き笑い、愚痴り合う。

周りも引くほどのお酒を、夜会が終わっても飲み明かした。


そんな彼との会話は、存外楽しくて意気投合して……


「婚約者が映えだの何だと言うから、全てに付き合っていたら、食べもせず代わりに食べ、2キロも体重が増えたと言うのに」

「ぷっ!ありがちですわね〜」

「ありがちなのか!?君もそんなものに付き合わせるのか!?」

「私?私は断然二郎派ですね!」

「それは……ぜひ付き合わせて欲しい……」


気がついたら、ベッドの中でも意気投合。ってやかましいわ。


「逃げなきゃ……!」


婚約破棄の噂はきっとすぐに出回る。

その翌日にこんなことになるなんて……


幸い、私は彼には一切名乗っていない。

このまま逃げ切れるはず。


そんな甘い考えを嘲笑うかのように、一週間後には目の前に王太子が。


「ローザ。なぜ逃げた?」


ちゃっかり名前までばれているし。

なぜも何も……私はただの男爵令嬢。

とてもじゃないけれど、王太子と釣り合うわけがない……!


「はぁ。また来る」


そう言い残して、彼は立ち去ったけど、この日を境に2日と開けずに会いに来る毎日。

軽くお茶をして、他愛もない会話をするだけ。

けれど、そんな関係にも三ヶ月が過ぎる頃、私の身体に異変が起きる。


「げぇぇぇぇ!」


まさかの妊娠……相手は一人しかありえない。

ダメだダメだ……これは本格的に逃げなければ……!!

その夜、ありったけの宝石を鞄に詰め込み、逃げるように王都から走り去る。


しかし、大きな街に逃げても、遠くの小さな村に逃げても、早ければ一週間。

遅くても三ヶ月で王太子は追ってくる。

姿を見かけるたびに逃げ回る日々を過ごしていると、遂に臨月を迎えてしまう。


日付を跨ぐほどの陣痛の末、やっと出会えた我が子。

私の赤毛とは似ても似つかないブロンドの髪の毛。


「リチャードそっくり……」


本当は気がついていた。

初めてお酒を交わした時。

酔うほどに饒舌になり、解ける表情。

年齢よりも幼く見えた笑顔。

事故のように触れた指の温度。

抱きしめる腕の強さに、耳元で囁く声の甘さ。


私はたった一夜で彼に恋をしていたのだ。

けれど、婚約破棄された直後、どうやって信じることができるというのだろう。

彼は何度も私の元に足を運んできてくれた。

彼は私を捨てた元婚約者とは違うこと。そんなのはわかっていたのに。


また裏切られるのが怖かったのだ。


この二ヶ月、彼の姿を見ていない。

——いや、正確には『見えていた』のかもしれない。

王太子らしき気配を感じた瞬間、身体が勝手に逃げる指令を出す。

けれど臨月の身体は、その命令に従えない。

見つけたら終わる。だから、見つけないふりをした。


きっと彼は、私を探すことを諦めたのだろう。そう思い込もうとした。


愛する人にそっくりな、可愛い我が子を抱きながら、涙が溢れてくる。


大丈夫。この子がいたら。

あの最後の温もりを胸に、生きていける。


そう胸に刻みつけた瞬間、その懐かしい温もりに包まれる。

——逃げろ、と命じた身体が、今度は動かなかった。


「やっと捕まえた」

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よろしくお願いします( *・ㅅ・)*_ _))ペコ

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