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余裕

 『レベルとはなんぞや?』

 何故僕はレベルがマイナスなのか?

 僕の本当のレベルはいくつなのか?

 『アナゴイナゴ』の小さな群れを探して森の中を行ったり来たりしている時にマリンから聞く。

 『人は自分の思う通りに身体は動かせない』

 何をそんなバカな、と思う。

 自分が思った通りに身体を動かせなかったら誰が身体を動かせるのか?、という話だ。

 でも10000人に剣を振らせて、当人の思い通りに剣が振れているのは3人程らしい。

 剣に重量があればあるほど、普通に剣を振れる者など皆無に近い。

 『重量物を持たずに、ある程度自分の思い通り身体が動かせる』その状態を『レベル1』という。

 じゃあ僕はどうか?

 『重量物どころか竹槍すら持てない』

 『全力疾走どころか小走りもおぼつかない』

 色んな要素を見て『レベル−34』

 魔法の使用はレベルがマイナスじゃなくなったら考えよう、と。

 『重い物を持った時の動きが変』よくある話だ。

 ボーリングの玉を投げる時に投げ方がおかしい人なんか珍しくない。

 果物ナイフしか持てない、果物ナイフすら満足に使えない僕のレベルが『−34』というのもある意味納得だ。

 でも仕方なくないか!?

 男同士だって、他人の肉体に入ったら思うように動かせないだろう。

 なのに『女児』だぜ?

 しかも『運動音痴さ』だけは元の僕の身体から数倍にして引き継いでるんだよ?

 まあ、いいや。

 『アナゴイナゴ』の群れをパーティで倒したんだぜ?

 いかも一匹とはいえとどめを刺した。

 ドラクエなんかでも『レベル低いほど、レベルアップ』の幅が大きい、と相場が決まってるんだよ!

 どのぐらいレベルが上がったかなー?

 「えーっと、タバサちゃんはレベルアップしてるわね。

 『−32』になってるわ!」

 大して上がってないじゃんか!

 「『成長曲線』みたいなのがあって、今は成長が遅いタイミングなのよ!

 伸びる時には爆速で伸びるから!」

 成長が遅いタイミングでもレベルが2つ上がった事を喜んだ方が良いかもね。

 僕はプラス志向に考えを改めた。


 僕はまだ自分で自分のステータスを見る事が出来ない。

 他の人はみんな見えてるみたいだから、レベルが上がったら自分と他人のステータスを覗き見る事が出来るに違いない。

 僕はマリンに聞く。

 「僕のステータス、レベルアップして何が上がったの?」

 マリンが恐る恐るこちらを見る。

 「やっぱり聞かれたか!」という顔だ。

 いやいや、そりゃ聞くでしょ。

 上がった能力を意識して立ち回らなきゃならんだろうし。

 「えーっと、『HP』が14上がったわ」

 『14』と言われても漠然としててわからん。

 「元々MAXいくつのHPだったの?」と僕。

 「『3』」とマリン。

 何てこったい!

 MAXで既に瀕死じゃねーか!

 実は目の前まで『アナゴイナゴ』が迫ってたのって『命の危機』だったんじゃねーの?

 「大丈夫!

 防具の上から攻撃されてもダメージは受けないから!」マリン。

 だから、防具付けてない口の中目掛けて跳んで来るんだろ?

 「顔さえ防御しとけば大丈夫なんだよね?

 足元は『水の羽衣(はごろも)』の(すそ)が地面にタレ下がってるから地面の中潜って攻めて来ない限り大丈夫だろうし」と僕。

 「えーっと・・・」マリンは煮え切らない。

 「正直に言ってよ!」

 「『アナゴイナゴ』の仲間の『特殊スキル』として『防具脱がし』があるのよ。

 だから『水の羽衣(はごろも)』を過信しない方が良いわ。

 脱がされる可能性もあるからね」

 あの形状のモンスターが服を脱がして来るって完全にエロゲじゃねーか!

 「だから言ったでしょう?

 『最初は戦闘には参加しないで』って」

 そうは言ってもなー。

 『アナゴイナゴ』は的確に弱点(ぼく)を狙って来るんだよ。

 小さな群れなら良いけど、さっきより大きな群れならパーティも僕を完全に防御してる余裕ないでしょ?

 HP上がって良かったよ。

 思った以上に『死亡確定』だったじゃん。

 どうすんだよ?

 僕の心の声が聞こえたのかマリンが僕にアドバイスする。

 「『いざ』という時のために私はタバサちゃんに『霧隠れ』を教えたはずよ?」

 あ、そうか。

 でも『霧隠れ』発動しなかったら?

 口の中にアナゴみたいな形状のアレが突っ込んで来るんだぜ?

 口の中噛まれて大丈夫か?

 大丈夫だったところで死にたくなるだろう。

 この時の僕は「口、閉じとけば良いじゃん」と冷静になる余裕がなかった。

 それ以外に『美しさ』のパラメーターが爆増していた。

 ・・・がスタイルは変化無し。

 「各種女神は『美』を司っているから、『代理』とは言え『水の女神』になるには『まだまだ美しさが足りない』」と、気のせいかマリンは僕の胸を指差した。

 仕方なくねーか?

 元男を無理矢理女神の代理にしときながら、何を求めてるんだ?という話だ。

 『土の女神』は『豊穣の女神』だから、スタイルも半端じゃないらしい。

 でも今のままじゃ僕は『火の女神』より貧相らしい。

 からなんだ?

 ルッキズムだ!

 そんなモンが許されて良いのか!?

 

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