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水神

『水』のイベントに参加しようとして体調を崩して大遅刻してしまいました。

まあ、折角書いたなら読んでもらいたいな、と。

 「金持ちになれますように!」「彼女が出来ますように!」「ハゲませんように!」僕は初詣で必死に拝む。

 「五円しか賽銭箱に入れてないクセにあつかましい願いだな!」と友達。

 「五円玉には『御縁がありますように』って意味があってだな・・・決して賽銭をケチってる訳じゃないのだ!」

 「モノは言い様だな。

 でも、神社って願い事を拝む場所じゃないらしいぜ?

 『去年もお陰様で無事に過ごせました』と・・・」

 友達の蘊蓄(うんちく)を僕は途中で止めさせる。

 「ダウト」

 「何でだよ?」

 「神社には『学業の神社』『恋愛の神社』『交通安全の神社』なんてあるじゃん。

 『願い事を叶えるための神社ですよー』って神社自体が認めてるのに、お前が決めつけるな!

 お前ごとき、神様と何にも関係ないクセに」

 「良いじゃんか!

 こないだ『神社での作法』っていうのをネットで学んだんだよ!」

 友達は付け焼き刃なことをすんなりと認めた。


 「ここの神社の神様って何者なんだろうな?」友達。

 「確か『水の神様』だっけ?

 漁師とかだったらわかるけど僕らが正月に『水の神様』に手を合わせる、というのもおかしな話だよな。

 夏に『水難事故がおきませんように』っていうならわからんでもないけど。

 確か、洪水が起きたのって秋だよね。

 今考えたら台風の直撃かなんかだろうな」と僕。

 「確か元禄時代にここら辺で大水害があったんじゃなかったっけ?

 で、大洪水が三週間経ってもおさまらなかったから『水龍様』を祀った・・・」と友達。

 「おかしな話だよ。

 大洪水発生から三週間後に神社建て始めても神社建て終わる頃には大洪水はおさまるに決まってるじゃん」と僕。

 「そういう事言わない!

 でも世間は大洪水だ。

 『大雨』『大洪水』の中、神社建て始めたって事だよね?」と友達。

 「よく考えると気が狂ってるな。

 その時代の人らは『んな事やってる場合か!』って言いたかったろうな」

 「昔は水害を『水の神様が怒ってる』って考えたんだろうな」

 「オカルト全開だ」

 「神社に来て『神様を信じない』っていうのも罰当たりだと思うぞ。

 お前はその信じていない神様に必死で祈ってたのか?」

 「都合が良い時だけ信じるのが現代人っぽいだろう?

 お前だって結果が良かった時だけ『朝の占い』を信じないか?」

 「それは確かに...」

 「それより寒くなってきた。

 早く帰ろうぜ」僕に急かされて友達と僕は来た道を引き返した。


 昔から日本の『水神』は河童、蛇、龍と相場が決まっている。

 僕が祈った神社には龍が祀られている。


 「金は構わん。

 金などは『神社の運営資金』で我自身が欲する物ではない。

 賽銭が多かろうが少なかろうがどうでもよい。

 問題は『我に対する不敬』だ!

 あやつは神社を目の前にして『神など信じない』と言った。

 神を信じぬのも勝手。

 そういう者も多い。

 だがあやつは我を信じていないにも関わらず、三つも願い事をしたのだ。

 あやつは同行した友人に『神社での作法』を聞いたのに、それを無視した。

 『罰を当たえる』のは我の流儀ではない。

 根性を叩き直してやろう」

――――――――――――――

 「いくつか聞きたい事はある」

 「何でも聞いて?」

 「アンタが優しげな女の子だから、僕は虚勢を張ってられるんだ。

 アンタがコワモテのオッサンだったら、僕は土下座して泣き叫んでる。

 ・・・まあ、それより。

 ここはどこなんだよ!」と僕。

 「『ここはどこか?』ね。

 少し古い話をしなきゃいけないけど、それでも聞く?」と女の子。

 女の子の知っている『昔の話』など、極限まで古くても十年ぐらい前だ。

 それほど長い話にはなるまい。

 「聞かせてくれ」と僕。

 「そうね。

 ちょっと前の話、6600万年ぐらい前の話よ」

 「お、思ったより昔の話だったぜ。

 昔っていっても『三年前』ぐらいの話だと思ってた・・・」

 「6600万年前ぐらいに地球の何処かに隕石が落ちたのよ。

 それで粉塵が舞い上がって、太陽光が地上に当たらなくなった。

 それで『氷河期』が来たのよ」

 「『来たのよ』って見てきたみたいな言い方だな」

 「見てきたんだけど?」女の子は『何で当たり前の事を言うんだ?』という顔でこちらを見る。

 「その『氷河期』の時代に恐竜は絶滅しちゃったのよ。

 まぁ、アイツらの知能だったら『氷河期』じゃなくても『他の何か』も乗り越えられなかっただろうし、それは良いのよ。

 でも愚図でノロマな恐竜(アイツら)以外にも竜はいたのよ。

 それが私達『賢龍』ね」

 「ケンリュウ?

 それが6600万年前の地球には存在したの?」

 「『した』じゃなくて今でも『する』のよ。

 貴方の前にいる私、私も『賢龍』よ」

 「君が『竜』?

 冗談だろ?

 それに6600万年前から存在してるなら地層に化石が残ってないのはおかしな話だ」

 「死んだら地層に埋もれて化石になる。

 でも6600万年前から生きてたら化石として発見されるはずがないでしょう?」

 「つまり、君ら『賢龍』は6600万年前から今まで生きてる、という訳?」

 「うん、おそらく」

 「ハッキリしない言い方だな」

 「他の『賢龍』が生きてるかどうかはわからないのよ。

 それが今から話そうと思ってた内容ね。

 6600万年前に『氷河期』が来たのは話したわよね?

 それで地上の生物の多くが絶滅して、食べ物がほとんどなくなっちゃったのよ。

 でも私達『賢龍』は何千年かは食べなくても大丈夫なのよ。

 だから絶滅を免れた訳」

 なる程、ダイオウグソクムシなんかも数年間何も食べないでも大丈夫っていうし『賢龍』も数千年は休眠出来るのかも知れないな。

 「で、だから何なんだよ?」と僕。

 『賢龍』という生き物がいるのは信用した、とする。

 『賢龍』が絶滅を免れた・・・から一体何なのさ?

 何でその「絶滅を免れた『賢龍』」が僕をここに拉致してきたのさ?

 そもそもここはどこ?

 「我は数千年、食事をしないでも大丈夫なの。

 問題はそこじゃない。

 本当の問題は『冷え性』なのよ。

 氷河期の寒さに我は堪えきれない。

 そこで『地球が氷河期の間、異世界に行っていた』という訳ね」と女の子。

 「夏になったら北海道に翔んでくる鶴か!?」

 「理解が早くて助かるわ。

 氷河期が終わったから200万年ぐらい前に地球に帰ってきたのよ」

 「その話を信じろ、と?」

 「どの部分が信じられないの?」

 「全てだ!

 君が『竜だ』って部分から信じられるか!」

 「『龍という証明』をすれば良いのね?

 それはともかく翻訳魔法の不具合かしら?

 我が『龍』と言っても、貴方は我の事を『竜』と言うのね?」

 「???

 何がどう違うのかわからん。

 それより『竜という証明』は出来るの?」

 「なんで我が愚鈍で下等な、あの『竜』である事を証明しなきゃいけないのかしら?

 ・・・まぁ、いいわ。

 どうも貴方は『龍』と『竜』の違いがわかってないみたいだし。

 取り敢えず『龍』に変化(へんげ)すれば、信じれるかしら?」

 「君のとんでも話をかい?

 とてもじゃないけど全部は信じられないよ。

 でも変化を見れば『言った事の中に本当の話もあったみたいだな』とは思うかもね」

 「だったら変化を見せないと話は進まないかもね。

 わかった。

 『龍』に変化します」

 言うとすぐに女の子は青い竜に変化した。

 しかし、僕が驚いたのは変化した事だけじゃない。

 女の子が竜に変化した時のサイズだ。

 数ヶ月前に僕の家の横にマンションが建った。

 マンションが建って僕の部屋は日当たりが悪くなった。

 五階建てのマンションが平屋建ての僕の家より遥かに大きかったのだ。

 僕が住んでいた平屋建ての一軒家に僕はルームシェアしている。

 僕は友達と共に、そのシェアハウスに転がり込んでいる。

 家では寝るだけだ。

 日当たりなんてそこまで拘っちゃいない。

 でも家賃は日当たり込みで設定されているんで、家賃を決めた後に日当たりが悪くなった事が僕はちょっと納得いっていない。

 話は脱線した。

 そんな話はどうでも良い。

 僕の部屋の日当たりを悪くしている憎きマンションより竜は高さがあったのだ。

 「こ、こんなところで、そんな姿になったら近所迷惑だろう!?」

 ルームシェアが上手くいくかどうかは「気配り」そして「金の話はしない」。

 僕は気配りが出来る男なのだ。

 急に隣に大きな構造物が登場して、大きな日陰を作ったら?

 マンションの住人が大挙して文句を言ってくるかも知れない。

 えらいこっちゃ。

 「大丈夫。

 ここは貴方の部屋からだいぶ離れた所だから」と竜に変化した女の子の声が空から降ってくる。

――――――――――――――

 ちょっと待て?

 記憶を整理しよう。

 年末、なんとなく紅白歌合戦を友達と二人で見ていた。

 「今年は年末、格闘技やってないんだな」と僕。

 「いや、やってるはやってる。

 ただ有料ネット配信だがな。

 これからスポーツとか格闘技は金払わないと見れない時代が来たのかもな」と友達。

 こたつの中に僕と友達が二人きり。

 ルームシェアしている他の仲間は帰省したり、恋人と過ごしたりでシェアハウスにはいない。

 つまりシェアハウスにはこたつに入り年越しカップそばをすする僕と友達しかいない。

 友達とは僕が入った田舎の三流大学のオリエンテーリングで出会った。

 僕は元々大学の寮に入寮したんだけど、その寮の先輩達というのが癖者揃いで、何か良くわからないけどホモビデオを見せられた。

 意味がわからない。

 何でこんなモノを無理矢理見させられるんだろう?

 その話をオリエンテーリングで知り合った同じ学科の友達になったばかりの男に相談する。

 「もしかして先輩はホモ仲間を育成しようとしてるんじゃないか?」と友達。

 僕は思わず尻の穴を抑えた。

 勘弁してくれ!

 アソコは腸だし!

 入り口じゃなくて出口だし!

 それ以来、寮に帰るのが怖くなった。

 すると友達が「寮引き払っちゃえよ。ちょうどルームシェアしたいヤツを探してたんだよ」と言った。

 それから僕の行動は早かった。

 それ以来僕は友達とルームシェアをしている。

 4月の中頃ルームシェアを始めて、8ヶ月と少しが経過して、大晦日になった。

 で、大晦日の12時を越える頃、初詣に男二人で出掛けた。

 でも出掛けた神社はマイナーも良いところで普段は人っ子一人いない。

 だが初詣シーズンになるとこんなど田舎の神社でも、何処からともなくちらほらと参拝客が訪れる。

 先程、男二人で僕達は寂しく初詣からシェアハウスに帰ってきたはずだ。

 シェアハウスの引き戸を開けようとした時、友達が「あ、俺、コンビニで飲み物買ってくるわ」と回れ右した。

 「何か欲しいモノとかある?」と友達。

 「あるけど我慢。

 金がない」と僕。

 「『金がない』ってのは悲しいね」演技がかった声で友達がため息をつく。

 「うるせー!」

 僕は笑いながらヒラヒラと手を振る。

 『行ってこい』と。


 そこまでは確かな記憶がある。

 シェアハウスの引き戸をカラカラと一人で開けて中に入ったのだ。

 そこから先の記憶があやふやだ。

 ドライアイスを焚いたような一面モヤがかかったように真っ白な世界。

 そこに『竜』を名乗る女の子。

――――――――――――――――

 「ここは貴方の家ではないわ」

 「だろうね。

 『誰かがバルサンを焚いた』んだとしても異様な光景だ。

 だとしたらここはどこなんだ?」

 「ここは我が氷河期の寒さに堪えかねて転移した世界」

 「?

 君、出戻って地球に来たんじゃないの?

 今更、氷河期に避難してた異世界に来た意味ある?」

 「随分、現状を受け入れてますね?」

 「変化した姿を見せられたら受け入れるしかないでしょ?

 で、何で異世界へ来たの?」

 「貴方が願ったのでしょう?

 『金持ちになりたい』と。

 地球じゃ貴方は大した金持ちになれません」

 「断言すんな!」

 「いや、なれないでしょ?

 優れた能力もないし。

 三流大学だし・・・。

 逆に金持ちになれる要素ある?」

 「夢見たって良いじゃんよぅ!

 神頼みしたって良いじゃんよぅ。

 現実を見せる事ないじゃんよぅ・・・」

 「地球で『まるでダメ』な貴方でも異世界なら金持ちになれるチャンスがあるわ!

 貴方の『努力次第』よ!」

 「そこは『間違いなく金持ちになれる』って嘘でも言ってくれよぅ!

 しかも努力とかしたくないんだよぅ!」

 「『金持ちになりたい』んでしょう?」

 「地球で!

 日本で!

 金持ちになりたいの!

 訳のわからん世界に行きたくないんだよぅ!

 しかも努力とか正しく出来る人間なら、この少子化の時代に三流大学なんか入る訳ないじゃんよぅ!」

 「うーん。

 清々しいぐらいの人間のクズね」

 「日本に転移させてよぅ!」

 「それは出来ないわ。

 そんなにすぐに転移させられるなら、氷河期に絶滅した生物全て異世界に連れて行ったわよ!」

 異世界に転移したら、そう簡単には地球には戻れないらしい。

 「って事は日本には帰れないんだな。

 ・・・エラい事してくれたな。

 留年確定じゃねーか!

 それ以前に僕、日本じゃ行方不明者になるじゃねーか!」

 「それは大丈夫。

 異世界転移した途端に貴方の存在は地球で消えたから」

 「『消えるから』じゃなくて『消えたから』!?

 もう既に僕の存在は地球では忘れられてるの!?」

 「その通り。

 理解が早くて助かるわ。

 ありがとう」

 「どういたしまして・・・。

 じゃねーわ!

 何してくれてんだよ!

 今すぐ僕を日本に戻せ!」

 「そうは言っても、すぐには帰れないってさっきも言わなかったかしら?

 貴方、三年は地球に戻れないわよ」

 「何で君は余裕かましてるんだよ!?

 帰れないのは僕だけじゃないだろ?」

 「我は地球に帰れますよ?

 何て(たと)えたら良いんでしょう?

 貴方も『転移魔法(ルーラ)』を覚えれば、地球に戻れるわよ?」

 「『魔法』?

 そんなゲームみたいなモノがあるの?」

 「戻れると思うわ。

 我は『転移魔法(ルーラ)』を覚えて地球にもどったわ」

 「そんな魔法覚えなくても君が僕を地球に連れて行けば良いじゃん。

 異世界までだって君が僕を迷惑にも連れて来たんでしょう?」

 「連れて来たのは我。

 それは間違いない。

 でも我の力だけで、第三者を異世界には連れて来れないのよ。

 必ずアーティファクトの助けが必要になるわ」

 「アーティファクト?」

 「そう。

 神社にあったでしょう?

 『賽銭箱(アーティファクト)

 貴方は『賽銭箱(アーティファクト)』に向かって『金持ちになりたい』『彼女が欲しい』『ハゲたくない』という3つの願い事をした。

 我は数ある願い事の中で、その3つの願い事を拾いあげたの」

 「『賽銭箱(アーティファクト)』の力は絶対よ?

 必ず願い事は成就するわ。

 どんな形であっても。

 貴方は『金持ちになりたい』という無謀な願い事のせいで異世界に跳ばされた。

 地球では絶対に金持ちになれないんだから仕方がないでしょう。

 諦めて、ね?」

 女の子の姿に変化した竜が僕の肩にポンと手を置いて優しく言う。

 「うるさい!

 本当に『転移魔法(ルーラ)』覚えられるんだろうな?」

 「それは間違いなく」

 「覚えたらすぐに地球に帰ってやる!

 ・・・それともう二つの『願い事』は叶うの?」と僕。

 「あさましいわね。

 この状況でも他の『願い事』が気になる、とか・・・」

 「どの口が『この状況』とか言うんだよ!?」

 「勿論、貴方の神社での『願い事』がこの状況を生んでいるのよ」

 「『神社で願い事したら異世界転移させられる』とか初耳だよ!」

 「だから言ったじゃない。

 『異世界に転移した者達の存在は忘れられる』って。

 今まで散々異世界転移した人らの事を貴方達は忘れてるのよ。

 ホラ、中学時代とか転校生が来なかった?

 彼らの5%は異世界からの転移者なのよ」

 「5%って微妙な数字だな。

 僕が今までの人生で転移者と同じクラスになってない可能性も充分あるじゃねーか!」

 「でも実際にそうなんだからしょうがないでしょ?

 『異世界転移した者を覚えていない理由』は説明した。

 あとは貴方が信じるか信じないか、ね。

 どうせこれから嫌でも信じるんでしょうけど」

 「・・・僕の勘繰りならごめん。

 君こうやって『異世界転移者』を集めてないか?」

 「・・・ナンノコトヤラ」

 「コラ!

 急にカタコトになるな!

 目線を合わせろ!

 『異世界転移者を集めなきゃいけない』→『初詣客から目ぼしいヤツを異世界に連れて行く』

 違うか!?

 当たりだろう!?」

 「・・・惜しいわね。

 正解は『いなくなっても困らなそうな、わがままで不敬な者を連れて行く』よ」

 「こ、コノヤロウ!」

 「何よ、『正直に正解を言え!』と言ったのは貴方じゃない!」

 「正解は知りたかったけど、面と向かって『いなくなっても困らなそう』とか言われると傷つくんだよ!

 あと、僕のどこがわがままなんだよ!?」

 「わがままじゃない!

 普通、五円で三つも『願い事』する?

 あの『願い事』が『この男だな』て決定させたわよ!」

 何て事だ。

 あれが原因で異世界行きの要員に選ばれちまったのか。

 奮発して10円玉を入れればよかった。


 いつまでもウジウジ言っていてもしょうがない。

 僕は異世界で生きていかなきゃいけない。

 でも『僕が異世界に呼ばれた理由』があるはずだ。

 その理由さえ達成出来れば地球に帰れるかも知れない。

 まあ、達成する気なんてサラサラないんだけど。

 女の子の言っていた『転移魔法(ルーラ)』とやらを覚えたら、すぐに地球に帰ってやる!

 でも保険だ。

 転移魔法を覚えられない事もあるかも知れない。

 だいたい異世界に呼ばれた人間全員が魔法使いになる、なんて話は聞いた事がない。

 『魔法職を選ばなきゃ地球には帰れない』なんて理不尽が許される訳がない。

 一応だ、一応聞いてやる。

 『魔王を倒せ』と言われても『異世界に平和を』と言われても知った事か。

 「何で僕は異世界に呼ばれたの?」

 ・・・女の子は答えられなかった。

 『気に食わなかったから』これが本音だ。

 五円で3つもお願いしやがって。

 でも今までにまともに聞いた『願い事』なんていくつあっただろうか?

 まともな場合で「願い事を叶えてやるから、その代わりに働け」というモノだった。

 それか『願い事』を叶えたフリをして騙して働かせたシチュエーション。

 「・・・それは、貴方の三つの願い事を叶えるために・・・」苦し紛れの言い訳を女の子はする。

 「残り2つの『願い事』は?」

 「必ず叶えるわ!」

 「じゃあ僕はハゲないんだね!」

 「ちょっと待って!

 貴方の未来を覗き見るから!

 そして対策を練りましょう!」

 「へえ、さすが賢竜。

 未来が見えるのか!」

 「覗き見が出来る程度よ。

 未来視なんてとてもとても・・・こ、これは!」

 女の子はかなりわざとらしく驚いてみせた。

 演技が下手なんてもんじゃない。

 指摘するのもバカらしい。

 こちらの指摘待ちなのもバレバレだ。

 僕はわざと聞こえていないフリをした。

 「いや、こ、これは・・・」

 女の子は全くの大根役者ぶりなのに、めげずに演技を続けている。

 僕の負けだよ。

 「どうしたの?

 そんなに驚いて」この一言をついに口にしてしまった、無視しとけば良いのに。

 「貴方は25歳でハゲ始めて30歳で貴方はハゲは完成します!」

 聞かなきゃよかった。

 ハゲなんて事故に巻き込まれたみたいなモンだ。

 ハゲたくはないが自分でどうこう出来るモンじゃない。

 それに滅多にはいないが『ハゲが似合ってるダンディなオッサン』だっていない訳じゃない。

 ジャン・レノみたいなカッコいいハゲだっているんだ。

 『ハゲたから絶望』という訳じゃない。

 問題はハゲ方だ。

 「僕はどういうハゲになるの?」

 そりゃ聞くよ。

 気になるもん。

 「『鈴カステラ』みたいなハゲ方をするわ」

 「『細川たかし』タイプかよ!

 激レアタイプのハゲ方じゃねーか!

 やだなー、何とかならないのかよ?」

 僕は女の子をシカトしておくつもりだったのに、つい『ハゲ話』にのっかってエキサイトしてしまった。

 「貴方のハゲはマッサージ、育毛剤、食事療法、生活習慣改善では一切歯止めが効きません。

 ただ一つの方法を除いて」

 「ただ一つの方法?」

 「薄毛の原因『男性ホルモンの抑制』ね」

 「難しい事はわかんない。

 それは狙って出来る事なの?

 出来るなら世の中にハゲはいないような・・・って何か隠してるな?」

 「ナンノハナシカナー?

 兎に角答えて!

 『ハゲる?ハゲない?』

 あと5数える間に!」

 「ちょっと待て!」

 「待ちません!

 5、4、3、2・・・」 

 「じゃぁ、えーと、えーと、えーと『ハゲない』!」

 「絶対『ハゲたくない』のよね?」

 「卑怯だ!

 無理矢理『ハゲない』って言葉を引き出しただろ!

 その質問方法で『ハゲたい』て答えるヤツなんていないだろ!?」

 「どうあれ貴方は我に願い事をしたのよ。

 それを我が叶えた。

 『願い事』には代償が必要よ。

 貴方には『代償』を支払ってもらうわ」

 「無理矢理願い事させて、無理矢理対価を支払わせるって反社のやり口じゃんか!

 僕は絶対に代償を支払う気がないからね!」

 『ハゲたい』訳じゃない。

 でもここまでのやり口みてきたら、裏がない訳がない。

 『ハゲさせない』ってやり方にも裏はバリバリに感じる。

 異世界に無理矢理連れて来るヤツがまともな方法で願い事を叶える訳がないのだ。

 それに『男性ホルモン』どうこうと女の子が言い始めた時点で、ちょっと嫌な予感がしたんだ。


 「オカマさんを悪く言う気はないよ。

 多様性の時代だ。

 でもホルモン注射を大量摂取する事に抵抗があるんだ」

 僕は出来るだけ言葉を選んだつもりだったが、少し言い訳がましくなってしまった。

 だってイヤだろう?

 いきなり注射打たれるのも、いきなり胸が大きくなるのも。

 「安心して。

 ホルモン注射を打つんでも、『性転換手術』をするんでもないから。

 男性ホルモンの発生を抑えるだけだから」

 それを聞いて少し安心した。

 いきなり異世界のモロッコみたいな所に連れて行かれるのかと思った。

 しかも異世界が現代地球みたいに医療がはってんしてるかどうかわからないから『性転換』に激痛が伴うかも知れない、という。


 「もう『3つの願い事』は受理されてるのよ。

 もうすぐにでも叶えられる。

 今更『イヤだ』って言われたら困っちゃう」

 「『金持ちになれるように』でいきなり異世界に連れて来られちまうから残りの2つの願い事だって、イヤな予感がしちまうじゃねーか。

 変な改変が加えられないなら良いんだよ。

 『彼女が出来る』はどうでも良いや。

 どうせ異世界で彼女が出来たって、地球に戻る時には連れて行けないんでしょ?

 ホラ、君『2人転移させるのは難しい』とか言ってたじゃん。

 日本に連れて行けない彼女に興味はないよ」

 「わかった。

 じゃあ『3つの願い事』を叶えると同時に貴方を異世界に転移させるわ。

 それで良いわね?」

 「良いも悪いもあるか!

 本来『異世界になんて転移したくない』んだよ!

 詐欺みたいなもんじゃねーか!」

 「転移しまーす」

 「聞こえないフリしてるんじゃねー!」

 内心僕は胸を撫で下ろしていた。

 『彼女が出来ますように』

 この願い事がなかったら性転換させられるかも、なんて思っていた。

 さすがに「そこまでやるか?」という話ではあるが、無理矢理異世界に連れてくるような神だ。

 油断はしない方が良い。


 僕を取り囲むドライアイスのような煙が突然舞い上がる。

 だからと言って息苦しさとかはない。

 視界が遮られただけだ。

 目の前が真っ白な霧につつまれた。

 まるで『霧の摩周湖』の霧の中にいるようだ。

 しかしその霧もしばらくすると晴れてきた。

 どうやら僕が立っているところは水に囲まれた小さな陸地のようだ。

 水に海特有の磯臭さはない。

 どうやら水は淡水のようだ。

 淡水の水・・・湖か?

 湖の中にある島、どうやら島には小屋がある。

 カメハウスか?

 取り敢えず「ここは何処か?」を知る必要がある。

 危険を承知しつつも小屋を訪ねてみる。

 「すいませーん」

 外からの声をかける。

 応答がない。

 誰もいないのかな?

 ノックしてみる。

 「はーい、いらっしゃい。

 そろそろ来るかな、と待ってたわ」と『水竜』を名乗る女の子が顔を出す。

 「お前かい!」とツッコミを入れる気力も起きない。

 色々言いたい事もあるが、僕はそれらを飲み込む。

 「ここは『神ハウス』・・・いや『神の(ほこら)』、またの名を『水龍の(ほこら)』」

 確かに『カメハウス』って言ったよな?


 「我は日本でも『水神』として崇められてるんだけど、異世界でも『水龍』として崇められてるのよ」

 「ふーん。

 それって両立できるの?」

 「正直、厳しいわね。

 行ったり来たりでなんとかやってはいるけど、今回、異世界で予定してない大洪水を起こしちゃった」

 「『予定してる大洪水』なんてあんの?」

 「『大』ではないけどあるわ。

 確かに洪水は災害になり得る。

 しかしある程度、降る地域で大量の雨が降らないと、川の水が行き届かない地域だってあるのよ。

 そうすると干魃(かんばつ)とか飢饉(ききん)も起こる。

 我だって嫌がらせに雨を降らせている訳じゃないわ。

 それにそういった『気象現象』に我が干渉するのは二割程度。

 それ以外の『気象現象』は我とか関わりのないところで起こっているわ」

 なるほど。

 全ての水害は水竜の仕業ではない、という訳か。

 「それにしても現状『二割程度』しか気象現象に干渉出来ていないのは少なすぎる。

 そこで我は考えたのよ。

 異世界で我の代理を置こう、と。

 その『水神代理』が貴方、という訳」

 アホぬかせ!

 『神の代理』なんて僕に出来る訳がない。


 『そんなもん出来るか!』と僕は怒鳴ろうとした。

 「そんな事を言われても実際には困るわよね。

 で、どうかしら?

 この『神ハウス』で『水神』になる修行をする、というのは?」

 「神になって僕に何のメリットがあるのさ?」

 「我は忙しかったけど、役割分担がしっかり出来れば、いつでも地球に帰って来れる。

 勿論『転移魔法』を覚えれば、だけど。

 それに人々に『神』として崇め奉られるのも気分良いわよ!」

 「そんな事考えてたのかよ!

 俗っぽいな!」

 「試しに『水神』になる修行してみない?」

 そう聞くと悪くない気がしてきた。

 でも疑問が後から後から涌き出て来る。

 「君が『水神』なことはわかった!

 でも『神様に仕える者』っていないの?」

 「いるよ。

 やめて欲しいけど『水の神殿』があって、神職が数千人いる。

 それが我の弟子になるのかな?」

 「その中から『次期水神』を選びなよ!

 何で僕が『次期水神候補』なのさ!?」

 「確かに弟子は多くいるわ。

 でも考えてみて。

 そこから後継者を選べる?

 弟子の中には『良くない野望』を抱いている者も多い。

 大きな派閥に入っている者も多い。

 その派閥に我が肩入れなどは出来ないし、弟子の誰かを選んだら『結果的に一部の派閥に肩入れした』事になるのよ」

 「だからって無関係の僕を後継者に!?

 無理だって!

 宗教的な知識は皆無だよ?

 頭だって自分で言うのも悲しいけど、そんなに良くないし」

 「無理なら無理で良いのよ。

 『試しに候補者を連れて来たけど上手くいかなかった』と言える。

 さっきも話したでしょ?

 実は我が地球に行っている間に結構な大災害が起きてしまったのよ。

 その災害は我とは一切関係ないし、我がいたから防げたとは思えない。

 ただ異世界の人間は『大災害が起きた時には水神がこの世界にいなかった』というのは納得がいかないのよ。

 大切な家族が亡くなった納得出来る理由が欲しい訳」

 「そんなのとばっちりじゃんか。

 どうせこの世界にいたとしても『大災害』は防げなかったんでしょ?」

 「そうね。

 でも我の弟子の中に『大災害が起きたのは水神がこの世界にいなかったからだ』と言うデマを撒き散らしてるヤツがいるのよ」

 「その話の信頼性は?」

 「我は民衆の前に顔を出していない。

 だから『我がこの世界にいない』事も本来なら民衆は知らない。

 なのに大災害が起きた時に『我がこの世界にいなかった事』を民衆は誰かから聞いていた。

 それを知っていたのは弟子の連中だけ。

 民衆は我の不在の事実を弟子の誰かから吹き込まれた、というのは間違いないわ」


 どうせ数ヶ月は日本に戻れない。

 弟子に寝首をかかれそうな水神に同情しない訳じゃない。

 だったら数ヶ月、水神の代理をやっても良いんじゃないか?

 「『代理』だよ?

 本当の神様になる気はないよ?

 数ヶ月だったらやってみようかな?

 その代わりって言ったらアレだけど・・・本当に彼女出来るんだろうね!?」

 「それはもちろん。

 貴方は『神代行』になるのよ?

 そっち方面は"やり放題"よ。

 相手に拒否権はないわ」

 「そういうの、イヤだってば!

 ・・・というか『神の姿は民衆に見せない』んじゃなかったの?」

 「『我はそうした』というだけの話よ?

 貴方がどうしたいかは貴方の好きにすれば良いと思うわ。

 なんならハーレムを作るとか」

 水竜は『数ヶ月しか異世界にいない予定なんだから、好き放題すれば良いじゃない』と言いたいようだ。

 魅力的な提案ではある。

 でもそれって実行したら最低じゃない?

 後から聞いた話だが神という存在はロクでもないモノらしい。

 地球の『全知全能の神』でも無茶苦茶、女にだらしなかったりする。

 「仕事さえしてれば他が多色だらしなくても大目に見る」

 それが神の世界の常識らしい。

 だから僕も「多少女にだらしなくても『水神として』キチンと仕事さえしてれば、不問にふす」と。

 「そのぐらいのメリットがないとやってられないでしょう?

 『魔法の練習』も『神として修行』も楽ではないのだし」

 「そう?

 そんなん言うんだったら・・・」

 僕はすっかりその気になった。


 「これから我は地球に戻るわ。

 その前に貴方の名前を教えて?」と水竜。

 「いやだ」

 「これは契約なの。

 我と貴方は『名前を互いに呼び合う』のよ」

 どうやら教えないとダメらしい。

 「・・・玉三郎(たまさぶろう)

 僕は仕方なしに名前を教えた。

 「それは・・・」水神が突然動きが止まった。

 わかってる。

 『玉三郎』と言えば、女形(おやま)の代名詞だ。

 『下町の玉三郎』と言えば、梅沢富美男の事だし、子供の女形(おやま)の役者を『チビタマ』と言ったりする。

 名前と見た目の中性さで子供の頃から『オカマ』扱いされてきた。

 でも異世界じゃ大丈夫だと思ったんだけど。

 「『玉三郎(たまさぶろう)』じゃダメなの?」

 「ダメじゃない。

 ダメじゃないけど・・・わかった。

 正直に話すわね。

 異世界で一般的に使われている言葉は『中央大陸語』なのね。

 その『中央大陸語』で一般的な女性の名前というのが『タバサ』または『タマサ』なのよ。

 日本語で言う『花子』みたいなモノね。

 で『ブロー』と言うのが『風のように自由な』と言う意味になるのよ。

 地球の英語に似ているでしょ?

 他にも『異世界』と『地球』で似ている言葉と言うのはいくらでもある。

 我みたいな『異世界』と『地球』を行き来しているモノの存在が影響しているのかも知れないわ」

 「君みたいに長生きしている存在が知らないなんておかしくない?」

 「我はかなり古くから、全ての言語に『翻訳魔法』をかましてきたから全然違和感に気付かなかったのよ。

 言語が『地球と似てるな』と気付いたのだって、ここ数百年の話ね。

 それはどうでも良いのよ。

 『タマサ』『ブロー』この世界での意味はね、『自由奔放な女の子』転じて『ヤリマン』って意味になるわ。

 いや厳密に言うと『ズベ公』かしら?」

 「どっちでも良いわ!

 わかった。

 別の名前を名乗るよ」

 「じゃ、我は日本に戻るわね」と水竜。

 「ちょっと待て。

 僕の名前は考えるとして君の名前は?」

 「我の名前は『リウム』

 『水龍 リウム』よ!

 じゃあまたね!」

 「『またね!』じゃないよ!

 『3つの願い事』のウチ、1つしか叶えてもらってない!

 しかもその1つは『異世界に連れて行かれる』という微妙なモノだし!

 それに『魔法』だって教えてもらってないよ!

 魔法覚えなきゃ地球に戻れないんでしょ?」

 「大丈夫。

 『願い事』は時間経過に従って徐々に叶っていくから。

 魔法は我の弟子が教えてくれるから」

 「君って姿を晒してないんじゃないの?」

 「晒してないのは『民衆』に対してよ。

 一部の弟子達には姿は晒してるわ。

 それに我は貴方の前には姿は晒してる。

 誰の前にも出ちゃいけない訳じゃないのよ。

 また様子を見に来るわ」

 (リウム)は逃げるように姿を消した。

 

 「逃げられた・・・」

 神ハウスにポツンと取り残された僕は・・・。

 1 チンタラした。

 2 グウタラした。

 3 のんびりした。 ◀


 頭の中で『3番』にカーソルを合わせたところで「何やっとんねん」と後ろから後頭部をパシーンと叩かれた。

 「『何やっとんねん』はこっちのセリフだ!

 不法侵入だ!

 人の家に忍び込んできてからに!

 何で人の頭叩くんだよ!」と僕が怒鳴る。

 「『人の家』てここがどこだかわかってるのか?」と謎の声。

 「『神ハウス』だろ?」

 「変な名前をつけるな!

 ・・・しかし、認識は間違ってなさそうだな。

 『しばらくここで修行させて欲しい者がいる』とリウム様に言われて来たら、そこには腕枕でゴロンと横になって寛いでる謎の男がいたような気がしたのだが・・・」と謎の声。

 コイツが僕に転移魔法を教えてくれる存在か。

 しょうがない、最初『だけ』はやる気を見せてやろうか?

 ずっとやる気だせって?

 『ずっとやる気出せるヤツ』が8流大学に入ると思うか?

 「違います!

 見間違いです!」

 僕は直立不動で形だけ『やる気』をアピールする。

 「そりゃそうか。

 『代理』とは言え『水神様』候補なんだから」

 そう言えばリウムには弟子が沢山いたんだっけ?

 弟子の中から『代理』を選ぶ訳にはいかない。

 弟子同士が激しく争ってしまうから。

 ふと僕の頭の中に疑問が浮かんだ。

 「今まで『代理』を選んでおかなかった理由とは?」

 しかし僕が聞く前に謎の声は教えてくれた。

 「リウム様は不老の存在で、ほぼ不死の存在であらせられる。

 今までも、これからも『代理』など必要ないと思われていたのだ。

 『放っておいても大丈夫だ』と。

 それは今でも変わりないはずだった。

 リウム様と同等の力を持つ『賢龍様達』が干渉して来なければ」

 「『賢竜様達』?」

 「『翻訳魔法』をかまさないと貴様と私は会話は出来ない。

 しかし貴様の認識の齟齬(そご)が時々、鼻につくな。

 貴様は『龍』と『竜』が同じだと思っているな?」

 「だって地球には『恐竜』って『竜』しかいなかったもん。

 今はいないし」

 「この世界では『龍』と『竜』は全くの別物だ。

 その間違いなど、侮辱以外の何ものでもない」

 「わかった気をつける」

 「では話を続ける。

 この世界には『神』と同格の『賢龍』が四柱いる。

 その一柱が『水神』のリウム様だ」

 「その他に『火』『土』『風』の賢龍様がいます。

 今回の災害も、洪水だけなら『手が回らないんじゃないか?』などとは言われなかった。

 北部の堰となっていた北部の永久凍土を『火龍』様が悪戯に溶かしたタイミングと堰が決壊したタイミングがかぶった。

 『今回の水害は火龍様の挑発に対して、水龍様の不在が原因なんじゃないか?』と。

 それでリウム様不在の間の代理を置く事になった。

 ・・・が、しかしなんで代理が貴様なのか!

 何で我々、弟子の中から選ばないのだ!」弟子の男は納得いっていない様子。

 「何か『弟子の中から代理選んだら争いが起こる』とかあの()、言ってたよ」

 「リウム様を『あの娘』呼びするな!

 ・・・しかし確かに弟子を『代理』に立てようとしたら、争いは起きるだろうな。

 しかし何故よりにもよってこの男なのだ!?」


 『弟子を名乗る男』はブツブツ言っている。

 僕は『弟子を名乗る男』を観察する。

 男は「僕より少し若いんじゃないか?」というぐらい若々しいイケメンだ。

 イケメンの耳は尖っている。

 コイツが噂に聞くエルフか。


 「これから俺が貴様の師匠だと思え!」とイケメン。

 「何が師匠だ。

 クソガキじゃねーか」

 「『クソガキ』?

 これだから『短命種』は!」

 「誰が『養命酒』だ!」

 「何と何を聞き間違えたのかわからん。

 貴様との会話には『翻訳魔法』がかけられているのだ。

 貴様は1世紀程度しか寿命はないだろう?

 それより短い寿命の種族を『短命種』と言うのだ。

 俺のようなエルフは『長命種』、リウム様のような永遠の時を生きる龍などは『恒久種』と言うのだ」

 「ふーん、それで?」

 「『それで?』じゃない!

 『何で貴様がリウム様の代理なのだ?』と聞いているのだ!」

 「知らねーよ。

 オメーら弟子が仲悪いからだろ?

 少しは仲良くしろよ!

 僕は巻き込まれて良い迷惑だよ。

 ったく、イケメンだしさぁ」

 「その『イケメン』という単語は何なのだ?

 こちらの世界に『存在しない単語』としてそのまま翻訳されないで耳に伝わるのだ」

 『養命酒』でも翻訳されるのに『イケメン』が翻訳されないのか。

 どうやら『翻訳魔法』にも得意分野と苦手分野があるらしい。


 「それはそうと貴様の『願い事』を叶えるように、リウム様に言われたのだ」

 「僕の『願い事』は賽銭箱(アーティファクト)が叶えてくれるんじゃないの?」

 「良く知っているな」

 「アンタが『リウム様』って呼んでいる娘さんから聞いたんだよ」

 「確かに『賽銭箱(アーティファクト)』は願望器だ。

 だが、賽銭箱(アーティファクト)は万能じゃない。

 欠点の1つ としては、『極端に願い事を叶える件数が少ない事』だ」

 それは知っている。

 初詣で数百万人が神社で賽銭箱の前で色々な願い事をするが、願い事が叶う人なんて数名だ。

 「もう1つの欠点は『融通がきかない事』『一度叶えると決めた願い事は必ず叶える事』だ」

 つまり『何があろうと僕の願い事は必ず叶えてくれる』という事だ。

 ちょっと待て。

 願い事は何一つ叶えられてないぞ?

 『金持ちになるために』と異世界に転移したけれど、まだ実際に異世界の金銭は全く得ていない。

 「『願い事』は叶えられる速度がまちまちだ。

 速い『願い事』だと願ったその場で叶う事もあるが、遅い『願い事』だと半年~一年かかる。

 だから貴様も『願い事』が叶うのを待て。

 修行しながら待つがよい」

 「『待つがよい』じゃねー!

 冬休みだから付き合ってやるけど、これが原因で大学の単位落としたり、留年したら・・・」

 「したら?」とエルフの男。

 「無茶苦茶泣く。

 つーか、留年したら親からの仕送り打ち切られる!

 『金持ちになりたい』って願い事をした理由の半分は仕送りが足りないからだよ。

 異世界でどれだけ金持ちになってもしょうがない。

 日本に帰った時に今の仕送りが減ったり、なくなったりしたらもう大学生じゃいられない!」

 「リウム様が言うには向こうの世界はこの世界と比べて時がゆっくり流れてるらしい。

 貴様が早く『転移魔法』を覚えたら・・・」

 「冬休み中に大学に戻れる!?」

 「それはわからない。

 俺は『冬休み』というモノが何時から何時まで続くか知らんのだ。

 だが、早く修行を終えれば、その可能性はあるかもな」

 「修行を始めよう!

 今すぐ!

 レッツビギン!」

 「待て!

 修行というのは『する立場』だけじゃなくて『つける立場』にも準備が必要だ。

 『修行は明日から』

 それは決定事項だ」

 「僕らはアンタらが言うところの『短命種』なんだ。

 そんな悠長な事は言ってられん!」

 「わかっている。

 だが覚えておけ。

 『命の数は長命種も短命種も恒久種も1つだけだ』

 修行に『命の危険』がある以上、その危険性を出来るだけ失くすための『心の準備』も含めた準備が必要不可欠だ。

 こればかりは貴様がいくら急かしても今日から修行開始する訳にはいかん!

 納得いかんならここから出て行け!」

 「出て行ける訳ないだろ!

 この装備で外に出たら、おそらく速攻で殺されちゃう!」

 「貴様のその格好は、そんなに戦闘力が低いのか?」とエルフの男。

 「『戦闘力』?

 良くわからんけど、ユニクロは『戦闘力』を意識して服は作っちゃいないだろ。

 あと気をつけなきゃいけないのが『火気』ね。

 僕が着てる上着の化学繊維は火が燃え移ったら『おしまい』だからね」

 僕がおちゃらけて言っているのに、『火はダメ』という一言にエルフの男は深刻な顔をした。

 「本当に『今日、取り敢えず修行を開始』しないで良かった。

 貴様が最初に覚える予定だった事は、最近ちょっかいをかけて来ている火龍陣営の『火の嫌がらせ』対策だった。

 本来『水』は『火』相手には相性が良いから火龍陣営がやってくる『火の嫌がらせ』は『水の対策』が出来てないと、致命傷を負いかねない」

 何でも修行途中に『火龍陣営』がちょっかいをかけて来る事も考えられるし『火龍陣営』のちょっかいを想定した『火の攻撃』を修行で最初にするつもりだった、と。

 つーか、聞いてないよ!

 そこまで『命の危険』があるとか!

 そりゃ異世界と言えば『剣と魔法の世界』現代日本よりは危険はあるんだろうけどさ。

 でも危険すぎないか!?


 「しかし『火対策』全く無しの装備、どころか『火気厳禁』の装備とは。

 取り敢えず貴様の『修行の装備』だけでも揃えておかないと」と男エルフ。

 「頼むわ。

 『火無効』レベルの『水装備』を。

 あるんだろ?」と僕は軽口を叩く。

 本当は『ちょっと恥ずかしかっただけ』だ。

 元々『武』を志していたんではないにしても『お前、こんな事も出来ないの!?』って言われたら恥ずかしくない?

 照れ隠しに軽口ぐらい叩こう、と言うモノだ。

 そんな僕の心の機微など『男エルフ』は知らない。

 「『火無効』の『水装備』って何があるだろう?」と。

 男エルフが調べたところ、『火完全無効』の『水装備』は二つしかない。

 「『火完全無効』の『水装備』は『水の羽衣(はごろも)』と『エッチな水着』の二つしかない。

 だから諦めるんだな・・・」

 「『エッチな水着』と言うのは?」

 「着る気かい!」

 「どうせ恥ずかしいのは異世界にいる間だけだからな。

 『痛い』のよりも『恥ずかしい』ほうが良いし、それで命か助かるなら装備しない手はない」と僕。

 「考え直せ。

 『エッチな水着』はセパレートタイプでビキニタイプの防具だ」

 「何で考え直さなきゃいけないんだ?」

 「布面積が極端に小さい防具なのだ。

 そして、あろうことか『男性でも装備可』なのだ。

 それを見せられる周囲の視線を考えてみろ。

 地獄だぞ?

 頼む『エッチな水着』だけは装備しないでくれ」

 「だったらもう1つの装備、あったよ」

 「『水の羽衣(はごろも)』か?」

 「それは装備出来ないはずだ。

 何故ならそれは『水神専用装備』だからだ。

 今までリウム様以外装備出来なかったし、しようとも考えなかった」

 「『水神代理候補』は装備出来ないの?」

 「図々しいぞ!

 リウム様の装備を横取りしようなど!」

 「だから!

 冷静に考えて見ろよ。

 リウムは最強なんだろ?

 その代理なんだぜ?

 多少の強さは必要なんじゃないの?

 せめて装備ぐらい最強じゃないと」

 「・・・・」

 お、意外にも説得に効果ありか?

 もう一押しだ!

 「僕が弱いってのは『水陣営』が弱いって事にならない?」

 男エルフはピクリと動く。

 「言ったな?」

 「貴様は俺が責任を持って『死なない程度に』鍛える。

 心配するな。

 貴様が『頼む!殺してくれ!』と懇願しても絶対に死なせてやるんか!」

 男エルフは何か『()る気スイッチ』が入ったみたいだ。

 男エルフは『神ハウス』に入っていくとキラキラと輝く、シースルーの布切れを持って戻ってきた。

 どうやらあの布切れが『水の羽衣(はごろも)』のようだ。

 ゲッ、シースルーかよ。

 スケスケじゃねーか!

 「コレ、下まで透けません?」と僕。

 「別に下に下着を着れば問題なかろう?」と男エルフ。

 そりゃそうか。

 リウムだって18禁な格好で『水の羽衣(はごろも)』着てた訳じゃないよな。

 僕はホッと胸を撫で下ろした。

 「それじゃぁ『水の羽衣(はごろも)』の下に服を・・・」

 「『水の羽衣(はごろも)』の下には『エッチな水着』を着てもらう」と男エルフ。

 「何で!?」

 「『エッチな水着』は『炎属性完全無効』。

 万が一『水の羽衣(はごろも)』が破壊されても、今、ちょっかいをかけて来ている火龍陣営の攻撃は大方防げる」

 「『エッチな水着』なんて着たくないよ!」

 「『炎属性対策』として俺に、『水の羽衣(はごろも)』をよこせ!、と言ってなかったか?

 なら『炎属性対策』として『エッチな水着』も着るのが道理じゃないか?」

 そう言われたらグゥの音も出ない。

 ・・・これ『エッチな水着』着ない訳にはいかないよな。

 しょうがない、『エッチな水着』の上に何かしら服を着よう。

 じゃないと(ピー)がはみ出しちゃう。


 「『エッチな水着』って女性用

じゃないんだよね?」

 「不思議な事にな。

 不愉快にも時々、男で『エッチな水着』を装備しているヤツもいる」

 「不愉快に思っているクセに僕に着せようとしているのは何で?」

 「『炎属性対策』を完全にすると言いだしたのは貴様だろうが!」

 そうだった。

 「『水の羽衣(はごろも)』は男性も着れるの?」

 「おそらくな」

 「何でそんな曖昧な言い方?」

 「俺は『ステータスオープン』のスキルを持ってるけど、レベルが高い人の『ステータス』は見れないし、同様に『レベルの高い装備』のステータスは完全には読めない。

 『水の羽衣(はごろも)』のステータスは所々、俺にも読めない。

 だから『男性でも装備可能だが・・・』の続きは読めなかった」

 「『水の羽衣(はごろも)』は男性でも装備可能だが、晩飯のメニューは牛丼だ」

 きっとステータスには、そう書かれているに違いない。

 「晩飯のメニューは牛丼じゃない」とエルフの男。

 どうやら異世界には『牛丼』と訳される食べ物があるらしい。

 『牛丼』があることも驚きだが、異世界に『牛』がいる事も驚きだ。


 「貴様が望んだのだろう?

 早く『水の羽衣(はごろも)』を着てみせろ」

 わかってる。

 わかってるけど、思ったよりスケスケなんだもん。

 でも着るっていっちゃったもんな。

 ええい!ままよ!

 今回は『エッチな水着』は着ないぞ!

 下着の上に『水の羽衣(はごろも)』を着てやる!

 着ている服を脱いでパンツとシャツ姿になる。

 エルフの男が僕をまるで汚物を見る目だ。

 「アンタなあ!

 僕は確かにエルフ基準ではブサイクかも知れないけどなあ!

 人間基準ではブサイクと言われた事はないんだぞ!」

 「さぞ人間の雌に人気があったのだろうな」

 「い、いや。

 僕は『高学歴』『高身長』『高収入』には程遠い。

 『八流大学在学中』『153センチ』『バイト生活で年収80万円』

 で、異性からの『見た目の評価』だけど『男として見れない』『ナヨナヨして見える』

 ・・・という事で女性からは絶賛不人気だったんだよ」

 「『絶賛』だったのか『不人気』だったのか、ハッキリしないな」

 「察してくれよ」

 「そんな事より早く『水の羽衣(はごろも)』を装備しないか!

 俺は何時までその忌々しい半裸を見させられるのだ!」

 「そうは言ってもだな。

 スケスケだぞ?」

 「何度も言わせるな!」

 「わかったよ。

 着るよ。

 着たら良いんだろ!」


 僕はヤケクソになって『水の羽衣(はごろも)』を羽織った。

 『水の羽衣(はごろも)』は身体に吸い付いてくる。

 これはヤバい!

 呪いの装備だったのか!

 だが、痛みも重みも全く感じず、(むし)ろ心地良い。

 まるで井戸水のように寒い時に暖かい。

 きっと夏場はキンキンに冷たく感じて気持ち良いんだろう。


 「うん、着心地は最高だね!」

 これでスケスケじゃなきゃ言う事ないんだが。

 僕はエルフ男の前でクルリと回ってわざとらしく聞く。

 「どうよ?

 僕の『水の羽衣(はごろも)』姿は?

 似合ってる?」と。

 しかし男エルフのリアクションは芳しくない。

 「き、貴様、自分がどういう見た目なのかわかっているのか?」

 そんなに似合わないのかよ。

 「似合わないんでも見慣れてよ!」

 「似合わないもんか!

 良く似合っている。

 似合いすぎだ。

 まるでリウム様だ!

 いや、良く見たらまるで似ていない。

 だが、雰囲気が同じだ!

 まるで天女だ!」

 コイツ頭おかしいんか?

 男が『天女みたい』って言われて喜ぶ訳ないじゃんか。

 しかも僕は好きになった女の子に散々『男としてみれない、ごめんなさい』とフラれて『女扱い』される事に良い思い出はないのに。

 しかし参ったな『水の羽衣(はごろも)』が男にとって『女装アイテム』になるとは。


 「しかしアンタの尊敬する『リウム様』と単なる女装を『雰囲気が一緒』と言うのも無礼じゃないか?」と僕。

 「『女装』?

 そんな訳はない。

 俺は人のステータスがある程度読める。

 勿論、貴様のステータスも。

 ん?

 貴様、何故ステータスの名前の欄が空白なのだ?

 それは今回は良いとしよう。

 貴様の性別『♀』。

 うん、貴様は女で間違いない」と男エルフ。

 この時、ムカつく事に男エルフは人間を下に見ている。

 人間が犬を見た時に、雄犬を見ても雌犬を見ても『可愛い』としか感じないように、男エルフにとっては僕が男だろうと女だろうと大して関心がない。

 ただ『リウム様と雰囲気が似ている』となんとなく感じただけだ。


 この時僕は訳がわからない。

 だが『水の羽衣(はごろも)』のステータス画面にハッキリと書かれている。

 「『水の羽衣(はごろも)』は男性でも装備可能だが、『水の羽衣(はごろも)』を着た男性は女性になる」と。

 今までそれが問題になった事はない。

 何故なら『水の羽衣(はごろも)』を装備出来る者が、リウム以外にいなかったからだ。

 『水の羽衣(はごろも)』の装備条件は『水神である事』だ。

 そしてこの時の僕の肩書きが『水神(代理)』。

 ギリ『水の羽衣(はごろも)』を装備出来る。

 今まで『水神』が受け継がれてきて『代々の水神が女性だ』と誰かが気付いたなら、こんな悲しい事故は起こらなかった。

 しかしリウムは恒久種、何万年も一人で『水神』を勤めている。

 『水神は女性』などという事実は当の水神であるリウムですら知らなかった。

 だから知らずに僕を異世界に連れてきちゃったのだ。


 僕は股間を慌てて握る。

 それだけ勢い良く股間を掴んだら玉が『コリッ』となってのたうち回るに違いない。

 しかしそこには『男なら』という注釈がつく。

 今の僕には『コリッ』となる玉がついていない。

 「ない!ない!ない!・・・」

 ショックを受けていると、男エルフが気休めに僕をちょっと慰めようと

 「俺はリウム様ほどじゃないが少しは『未来予知』が出来るんだよ。

 良かったな!

 貴様は女性になった事で将来、ハゲない!」と言った。

 女性がハゲない、なんて事はない。

 でも男性のハゲとはメカニズムが違うはずだ。

 少なくとも『若くして、鈴カステラみたいなハゲになること』だけは免れたらしい。

 ちょっと待て。

 これ、初詣で祈った『ハゲませんように』が叶えられた形か?

 凄い嫌な予感がして、男エルフに聞いてみる。

 「もしかして異世界って『女同士』のカップルって有り得る?」

 「『女同士』のカップルも『男同士』のカップルも普通に存在するぞ。

 それがどうかしたのか?」

 嫌な予感は的中しそうだ。

 『金持ちになりたい』→地球ではムリ。異世界にGO!

 『ハゲたくない』→男である限りムリ。女になろう!

 『彼女が欲しい』→男である限り女性に異性として見られる事はない。異世界なら同性のパートナーが見つかる!

 これ、もしかして神社で無謀な『願い事』を3つもした報いなんじゃないの?


 それはともかく男に戻れるんだろうな?

 男エルフに聞いても「わからない。女性に変わる事も知らなかった」との事。

 転移魔法を覚えれば地球には帰れる。

 『彼女が出来る』のだって、『彼氏が出来る』より三倍(当社比)マシだ。

 後は『男に戻れば』辻褄が合う、かどうかはわからないけど、合わせるしかない。

 「男に戻る方法知らない?」

 僕はダメ元で男エルフに聞いてみる。

 「知るか!・・・と突き放したいところだが、いつまでも貴様に修行をつけていたくない。

 貴様は男に戻れば元の世界に戻るのだよな?

 ならば俺も貴様に協力しよう!

 『水、火、風、土』の四属性の上に『光、闇』の二属性が存在するらしい。

 その六属性を極めたら『願い事』が何でも一つ叶うらしいぞ?」

 その話を聞いて僕はゲンナリした。

 水の修行を始める前に『六属性を制覇したら』か。

 

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