パンと爆弾と神と悪魔に
「あー疲れた。タバコ吸おう。」
そう言うとレインは、駅の中にあるベンチに腰掛けた。ベンチは冬の風にさらされて冷たかった。さっき買ったばかりのライターをボール紙の箱から出してシュッボッと勢いよくつける。少しの間で黄昏ていると、前に見えるベンチにボロボロになった作業着の男性と修道女のエルフの女性が口論が起こっていた。
「迷惑なんだよ、そんなの!」
男性が修道女に怒鳴る。ふと見ると、修道女の女性がヒトにパンを恵むイベントをやっていた。確かにありがたいことだが人からしたら、はた迷惑というか、なぜか哀れにみられている感覚がして嫌な気になることがある。
「で、でも」
「でもじゃねぇ!」
そう言い持っていたパンが入っていた段ボールをたたきつけた。包装されたパンが床にばらばらと落ちる。
「人の親切心を踏みにじるのはやめなさい。」
ヒトの声の大きさに負けないように同じような大きな声でスーツ姿のオーガの男性が割って入った。
「お前にはわかんないだろ!この気持ちは!」
一触即発の状態で周囲に緊張が走る。オーガの人もヒトもにらみ合い、いつ取っ組み合いが始まってもおかしくない状況になる。
「レイン。」
そんな中、左がいきなり声をかけてきた。
「なんだ?左」
「あの人食べたい。」
「わかった。」
少し考えてからレインが割って入った。そしておびえていてしりもちをついているシスターに話しかける。
「あっ、シスター、パン一枚くれるか?」
きれいな笑顔でそういう。シスターはびっくりしながらも落ちたパンを自分の服で汚れを拭いた。
「は、はい!」
パンを渡してくれた。そのパンは一般的な食パンだった。
「お前もヒトだろ?悔しくないのか?」
そう怒号交じりに男性が聞いてきた。しかしその顔は少し悲しさを秘めていた。
「俺にとっては、パンはどれだけ行ってもパンさ。」
男が呆れた顔をする。すると、男が急に上着の広げた。 そこには爆弾が巻き付けられていた。
「お前ら動くな!」
左目で観察すると「バリア無効」や「攻撃貫通」などの付与魔法や壊しても発動する仕組みなところからだいぶ作戦が寝られていることがわかる。大爆発が予想されるからここに見える人は多分死ぬ、普段ならそう思うところをだが今はただただ食事前の遊戯にしか見えなかった。
「きた!」
そう言うと魔法で霧を作り(魔霧)左の指の口から頭をきれいにバクッと喰った。
すると背後から声がした。振り返るとシスターが青ざめた目で見てきた。
「ひっ」
恐怖が混じった悲鳴が聞こえる。シスターが見ていたのだ。
「あっ、見ちゃった?」
「あなたは誰?」
「誰って、ヒトだけど?」
「人じゃないでしょ。こうバクッと左手が、、、左手が、、、」
「しーーーー」
口に人差し指を持ってきてそういう。
「忘れなさい。あんたはこれからいろんなことがある。こんなことすぐ忘れるさ。」
そう言うと何かがわかっり無言でうなずいた。
「まあ、あんたがこの社会を深く潜りすぎたらまた、お会いすることがあるかもしれない。その時が来ないことを願おうかな?」
そう言いお辞儀をして、出口へ走っていった。そして、避難者に紛れ見えなくなった。
レインが去った後、しばらくすると治安官が来て保護された。
「何があったんですか?」
治安局の車に乗せられてそんなことを言われた。不思議がるのも当たり前だろう。そこには、頭がもげた男性の死体のみが残されていたのだから。しばらく黙り頑張り言葉を選んで発する。
「男が喰ったんです。左手がこう口になって」
そう言うとその女性の治安官が窓から別の治安官に小声で合図を送る。「医師の手配をお願い」だろうか?自分でも何言っているのかわからなかった。
「大丈夫です。なにか幻覚が夢でも見たんです。」
そう言うとシスターは苦笑してこう告げる。「そうだといいんですけどね。」
それだけ言ってあとは何もしゃべらなかった。




