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その変わった2人は終末に近づく世界で何をする?  作者: 沼主
その小さな傷は少しずつ広がりやがて
1/5

出会いと歩行の再開

「この際限のない欲望や好奇心は生物を人じゃなくさせる。何になっても、どうあがいても。」

春の雨はきれいな花を乱雑に洗い流すようで嫌いだ。何かの本にそう書いて

あったのをレインはふと思い出した。


「まぁ、そんなの思い出しても何にもならないんだけどな....」


そう言いながら天井につるしたロープを見る。建付けの悪い部屋では少しの雨風で

ロープが揺れた。ベットとテーブルが置いているだけの生活感のないその部屋も

今日で終わりだ。そう言い椅子に乗り首にロープをかけた時だった。

コンコンとドアがノックされた。少し驚いたがドアの向こうからいつもの声で


「新聞です。」


と声が聞こえ少し安堵した。


「死ぬ前に新聞でも読もうかな?」


そう思いドアの下に通された新聞を拾いあげ近くの床に座り新聞を読んだ。


「ん?、怪死体?」


目に留まった記事にはそう書かれていた。いささか気味の悪い記事を見てしまった

と後悔しながらもその記事に目をやる。なにやら、脳が破裂した状態で見つかったとか


「世の中物騒だな」


そう言うと立つとテーブルまで歩き、入れてから時間がたちぬるくなった紅茶を飲みほした。その紅茶は時間が経っておりとても苦く思わず顔をしかめた。そして決心して椅子の上に上り2,3回ほど深呼吸をしロープに身を任せた。

どこかの本で首を吊ったら楽に逝けると書いてあったが今になって嘘とわかった。意識があるうちはとても苦しい。しかし、こんな苦しい思いをしても生きていたくないのは16歳の未熟な頭でもこの社会でのこのこ生きく意味が値打ちがないとわかってしまったからである。

ここに来るまでいろいろなものを見すぎてしまった。そのせいでこれからの自分の人生が幸せになるビジョンが見えなくなってしまったのである。

その時、頭の後頭部に激痛が走った。「いっ!」そう言うと何かが脳の中を這う感触がした。そして体の全身が光りだしたと思うと消えた。だんだんと意識が遠くなり眠る直前、手がぐっと伸びる感触と指がナイフみたいに変形するのぼんやり見るとロープがいきなり切れてドサッと床に落ちた。


「えっ、手が、左手がナイフに!?」


痛みより先にそんな言葉が出てきて、慌てて左手を確認するがいつもの5本指だった。


『あー乗っ取れなかったや』


頭の中にと聞こえた。


「だれだよ?だれかいるのか?」


「バカ、頭の中にいるんだよ。」


「はぁ?どういうことだよ」


「だから、頭の中に入って脳を乗っ取る気だったんだよ。」


「でも、乗っ取られて、、、、いない、、、よ?」


「ああ、死にそうだったから手のほうに行ってロープを切ろうとしたら活動時間が来てしまって結局、左目しか乗っ取れなかったし、それも結局乗っ取り返されて今は頭の中でしか生きられないけどな」


「俗にいう心の中ってやつ、まあ精神世界と言ったらわかるか。」


「いや、いや、それより聞きたいことがあるんだよ。」


「ああ、俺もだ。」


「「誰だよお前。」」

こんにちは、ぬまぬしと書いてぬまぬしと言います。

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