トライアングルレッスン 続・ゆいこが転生したら◯◯だった件〜古代ローマより愛故に....〜
古代ローマについて習っていた中学生の娘の歴史の宿題を手伝っていて思いついたストーリーです
「ポンペイ特別展示会に行かね?」
突然たくみにそう誘われたのは2日前のこと。
「ポンペイ?」
「噴火で滅んだ古代ローマの都市だよ」
ひろしが説明してくれる。
初めて聞いたはずの「ポンペイ」と言うその響きに胸を締め付けられるような懐かしさを感じ、考える間もなく承諾した。
なんだか根拠のないモヤモヤ感に襲われつつも、私はたくみとひろしの後に着いて展示会を見て回る。
高熱の火山灰に埋もれ息を引き取った人々の遺体跡に石膏を流し入れた「石膏遺体」が展示されているエリアに来て、私は足を止めた。
なぜだろう?
目が離せなかった。
そこには重なり合うようにくっついて倒れている3体の人型があった。
触れてはいけないのは分かっていたが、思わず手を伸ばしそれに触る。
途端ビリッと感電したかのような感覚に襲われ、意識が薄らいで行った。
ふと目を開いた瞬間、とてつもない爆発音に地面が震えた。
あっという間に辺りが騒然とする。
怒号と悲鳴が飛び交う。
私は震えながら窓へと駆け寄り外の様子を伺った。
真っ黒な煙を吐き出す火山とその火山から飛んでくる噴石に破壊された家々....。
それまでの平穏な日常は消え失せていた。
逃げなきゃ!
私は慌てて外に飛び出した。
「ユイコリア!」
「タクミムス!ヒロシウス!」
家の外に出ると2人の幼馴染が私に駆け寄ってきた。
「噴煙が来る!」
タクミムスが私の手を引っ張りながら叫ぶ。
「ユイコリア、逃げよう!」
ヒロシウスが私の反対側の手を取った。
私は2人と共に走り出す。
火山灰が辺りを舞い、息苦しくて走り続けられない。
「待って....」
思わず咳き込みながら足を止めた時だった。
すぐ背後に噴石が落下し、破壊された家の瓦礫が私たちに降り注ぐ。
「ユイコリア!」
ヒロシウスの胸に抱え込まれるように、私達は地面に倒れ込んだ。
飛んで来た瓦礫で負傷したのか、体が動かない。
意識もぼんやりとし、全ての感覚が消え失せていた。
ふと見ると、目の前にはタクミムスが倒れていて、その顔は真紅に染まっていた。
タクミムスが弱々しく私に手を伸ばす。
「ユイコ....リ...ア....ごめん...守れなかった....」
その瞳から涙が流れ出す。
私も必死に手を伸ばし、タクミムスの手を握った。
「ユイ...コリア...愛してる....」
「タクミムス....」
タクミムスの目が静かに閉じられた。
「ユイコリア....」
背後から私を抱きしめたヒロシウスの声がする。
「また....生まれ変わったら...今度こそは....君を守るから....ユイコリア...愛してる....」
「ヒロシウス....」
「おい、ゆいこ!」
耳元で聞こえるのはタクミムスの声....?
いや...違う...。
「たくみ....?」
「ゆいこ?大丈夫か?」
優しいヒロシウス....ううん、ひろしの声もする。
私はゆっくりと目を開いた。