居酒屋編
オネェと……シリーズ シチュボ版 居酒屋編
『あらすじ』
友人達との飲み会でガッツリ眠る程飲んでしまった女性。数年来の付き合いの男友達(オネェ口調)に揺り起こされる。
起きた女性はついつい飲み過ぎてしまった理由を話す。それを聞き何やら怒り心頭の男友達。
そこから話は女性にとって想定外の方へと進む。
以下本編
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「ねぇ、ねぇちょっと大丈夫? 大分うなされてたみたいだけど」
「あっそ、なら早く起きてくれないかしら。こちとらあんたの為に酒も飲まずに二時間ずっと待ってたんだから」
飲めば良かったのに、てか置いてってくれて良かったのにーと返され。
「はぁ!? このあたしが甲斐甲斐しく待ってあげたってのに出てくる言葉がそれ!? はぁ……、本当に置いてってやろうかしら」
「はいはい、知ってるわよ。本心じゃ無いくらい。で、どうなの、まだ暫く動けそうに無いの?」
「頭ぐわんぐわんて……どうしてこの娘はそんなになるまで飲んじゃうのかしらねぇ……」
「お酒が美味しいのが悪いって……。心配して損した。じゃあもうそのまま酒に溺れてなさいな」
「ん? 後何よ? 言わなきゃわかんないでしょ。……うん。……うん。……そう……。え!?」
「別れたの!? あんなに仲良くしてたじゃない、一体何があったのよ」
(男口調でドスを効かせて)
「はぁ!? 浮気!? こんな可愛い娘差し置いて浮気たぁ良い度胸してんなぁおい、あの野郎。今度あったらただじゃ済まさねぇぞ……!」
「あぁ、ごめんなさい、ついポロッと本音が、ね?」
「しっかし今日は妙にペース早いと思ったらそういう事だったのね……。ごめんなさいね、気付いてあげられなくて」
「因みにいつ別れたの? は、昨日? あぁ〜、そりゃこんな事にもなるわね」
「でもそういう事なら無碍にするわけにもいかないわねぇ。……いいわ、あんたの気の済むまで今日は付き合うわよ」
「にしても本当に見る目の無い男ねぇ。あんたみたいな娘そうそういないわよぉ?」
「具体的にはって……。はぁ……、うん。じゃあ言ってやろうじゃないの。耳の穴かっぽじってよぉく聞きなさいよ」
「先ず、気配り上手。上下関係なく浮いてる人がいればすぐそこに行って話題を振ってあげる。でもそれを望んでない相手なら決して無理に話題には引っ張り出さない。そこら辺の塩梅というか、空気の読み方上手いわよねぇ。
それから料理上手、前に家にお邪魔した時御馳走してもらったあれ、凄く美味しかったわー。また食べたいから作ってよ。……やーよ、あたしはあんたの作った料理が食べたいの。
それに家にお邪魔した時思ったけどあんた綺麗好きよねー。バリバリのキャリアウーマンでガッツリ働いてるのに、家事も完璧にこなして、その上浮気したくs……ゴホン。元カレの家にもちょこちょこ通って家事とかしてあげてたんでしょう?」
(ボソッと呟くように怒り心頭で)
「だのにそれを差し置いて他の女に現を抜かすなんざ男の風上にもおけねぇな……マジで覚悟しとけよ……」
「え、あぁ、何でも無いわよ。そう、それからあんたの良い所ね。気風が良くて誰とでも仲良くなれるし、悪い事にはちゃんと駄目だって言える。気にして無い風に見せかけてるけど、人一倍美容に気を使ってるのも女の子らしくて可愛いじゃない。趣味も色々あって良いわよねぇ、色んな事に興味が持ててその上それを実行に移す行動力。あたしにも少し分けて欲しいもんだわ。それから……あら、どうしたの顔真っ赤にして。さっきより赤くなってなぁい? ほら、お水飲みなさい」
「ねぇ、今日はここらでお開きにしましょ。少しは酔いも覚めたでしょ? え? 今ので全部かって?
まぁ言おうと思えばまだまだ沢山あるけど、取り敢えず今日はもう良いじゃない?
次の機会に幾らでも言ってあげるわよ」
「あ、そうそう。一番大事な事言うの忘れてたわ。あたし好みですっごく可愛い。
もっと近くでもっと色んな事を知りたくなっちゃう。……なんてね、さ、お会計済ませてさっさと帰るわよ。
あらやだもうこんな時間じゃない、早く寝ないと美容の敵だわ〜。
あたし先にお会計してくるから、あんたはその水飲んで、ゆっくり来るのよ。急がなくて良いからね」
(小声で)
「フフッ、あたしにもようやくチャンスが巡って来たかしら?」
「あ、店員さーん。はいコレ、お会計お願いします。……はい、はい、ご馳走様でした。あ、後から女の子が一人来ますけど連れなんで通してあげてくださいね」
店の外に出て、深呼吸する。
「んぅ〜、良い空気! さーて、あたしも頑張るわよぉ〜!」