Ж-23 殲 滅 の 誓 約 ~Lime Light~ ②
闇夜を払う、 翡翠色の陽光。
ソレがオレを起点として一斉に周囲を包み込み、
光芒がそれぞれに纏わりやがて身体の内に沁み込んで消える。
鮮やかだが柔らかな色彩なので村人達も驚きは一瞬で、
戸惑いはあったけどすぐにその感情はそれと対極のモノとなった。
オレ自身にも掛かってるから感覚は解ってるんだけど
向こうの衝撃はそれ以上だろうな。
人間の、 ってか生物の体内を走る神経電流、
ソレを 「活性」 させ敏捷さや精密動作を向上させる魔導。
所謂増強系なんだけど 「自分が味方だ」 って想わせる時は役に立つ。
無論効果は永続的ってワケじゃないし、
対象人数と範囲が増えれば密度も精度も薄まるんだけど、
「感覚」 は脳が記憶してるから個人によっては
多少なりとも恩恵も出るだろうね。
両掌で燻る残留魔氣を手首を返して流すと同時に、
ザワザワとした喧騒がさざ波のように伝播していき、
それはやがて歓呼の声を変わる。
「魔皇様ッ!」
人垣の狭い隙間を、 サーシャが俊敏に駆け抜けてきた、
皮膚の表面に淡い緑色の光が僅かに滞留している。
「スゴイです! なんか体中がビリビリして、
でも凄く体が軽いんです!
それに夜なのに、 周りがよく視えます!
後鼻も、 特に耳が敏感になってるんです!」
初めて魔導に頬が上気している。
神経に作用する効力だから
興奮の感情も活性されちゃうみたいだね。
それはデメリットだな、 気を付けないと。
そう想いながらなんとなく柔らかな杏子色の髪を撫でる。
また周囲の注目を一身に浴びるが、
警戒色は大分薄らいでるように感じた。
そんなわけで告げる最後通牒。
雲間から照らす蒼い月光がやけに眩しい。
今日はここまでです。




