Ж-22 双 星 召 顕 ~Chaos/Cosmos~ ③
「しかし遺憾ながら、 我々の存在により、
貴君達に危局が迫ってしまう状況を、 真に申し訳なく想う。
詫びる事に意味はないが、 心より陳謝したい」
そう言って深く頭を下げる相方、
周囲を再び畏怖が包む。
ソレを発しているのは頭を下げているリュカではなく
村人の方。
この人にこんなコトさせていいのか?
後でもっとヤバイコトが起きるんじゃないのか?
というある意味オレよりタチが悪い困惑が
焦燥の表情から伝わってくる。
想像するから膨らむ恐怖と違い、
想像すら出来ないのが畏怖。
善も悪も逸脱すれば、 行き着く先は結局同じ。
それは狂気の領域でありソレが人を戦慄わせる。
この時点で勝敗は決した、 正確には当座の目的を達した。
爺ちゃん含めて最悪なのは、
オレ達という 「異物」 をこの村が受け入れられず
内部崩壊を引き起こしてしまうコト。
コレがさっき散々っぱら話した議題の一つなんだけど、
オレの 「力で脅しつけりゃいい!」 「従わないヤツは後で〇○○○!」
という案が悉く却下されたのはソレを行う事により、
村内部に 「派閥」 が出来る事であり、敵が襲って来るまでもない本末転倒。
だからといって幾らオレ達が 「無害」 と訴えた処で、
その 『元凶』 であるオレが居る時点で説得力は皆無だし
根深い人間不信に陥っている彼等は聞き入れやしないだろう。
だから爺ちゃん→オレ→相方の順で力を見せつけつつ
揺さぶりを掛けるというのを即興でやってみたのだが、
オレは兎も角、 爺ちゃんと相方が予想以上にイイ仕事したのが
功を奏したらしい。
やっぱり戦闘じゃなく 「交渉」 の場合、
モノを言うのは力じゃなくて人望。
元の世界でも 「心・技・体」 で幾ら実績が優れていても
心がダメな人は国民栄誉賞貰えなかったしね。
ありゃ? 何か聴こえてくる。
~§落日に没した巨魁の残骸は、 星霜、 星霜、 大洋を穢し尽くさぬ§~
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