Ж-21 踊る異世界議場 ~Cold Extrapiece~ ④
「取り敢えず、 この敵が視えない “七人の侍” 状態なんとかしよう。
観た事ないけどね!」
「な!? あの不朽の名作を、 観ていないのか!?」
「だってアノ人の映画観た後モヤモヤするんだもん。 長いし」
「いや、 それは巨匠の拘りと矜、」
「それは後程お伺い致しましょう、英霊閣下」
長年の功で爺ちゃん流石に仕切り巧いね、
でもオレは陛下で相方は閣下なんだ、 違いが解らんな。
改めて席に着き、 その後は各々持論を展開して白熱した議論、
今そこにある危機と、 何れ来るべき危機と、 訪れたら破局する危機を
明確に分けて細分化し決して混同しないよう注意を払いながら
一つ一つ対策を練って潰していった。
オレの氷の魔導が大活躍、 でも喋ってる途中でコップ出してくるの
ズリーよ、 ディベートの戦術使ってるじゃんソレ!
何でオレだけハンデ付き?
まぁオレの打ち出す対策がほぼサーチ&デストロイで
過激だった所為だろうけど。
後半自分達の命とこの村の命運が掛かってるのに
何か楽しくなってきちゃったよ、 ソレはオレだけだとは言わせない。
この状況でグッスリ寝てたミウもある意味スゴイと想うが。
そして、 やがて室内に差し込む西日にようやく気づき、
三者三様テーブルに突っ伏し精も根も尽き果てた頃、
知恵熱だけではない他の凶暴な神経熱を伴いながら
議論が一応の妥結点を見出した後。
「氷、 いる人ぉ~……」
弱々しく二つの手が上がり、 こちら見る事もせずコップだけ
振るえる指で差し出してくる。
はっきり言って戦いより疲れたわ、
殺すより護る事の方がこれほど難しいとは。
話し合いだけでこれじゃ先が思い遣られるね。
どこぞの年齢詐称疑惑のある高校生張りに呟きたいわぁ~。
やれやれだぜ――。
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