Ж-2 招かれざる者 ~too late? not、already too late!~ ③
ヴァジィィィィ!!!!
腕がまだ伸び切ってない、
半ばくらいで二つの拳が止まる。
草薙クン、 あぁめんどい、 リュカでいいや、
その金髪碧眼に古風な日本名合わな過ぎ、
も一緒に殴ってたみたい。
でも不条理にもってか、 案の定っつーか、ジジイの顔の遥か手前で
オレ達の渾身の一撃は止められてしまった。
うおぉ! 握った親指がゴキゴキとか鳴っててヤバイ、
拳の先には何もない筈の空間に小型の魔法陣が浮かび上がって
周囲に不可思議な紋章と紋字が散らばっているという、
安易なラノベの〇〇設定みたいな 『障壁』 が出現している。
こいつの常時発動スキルみたいなもん?
不敵な笑みでドヤ顔してるジジイがムカつく、
フ、 やはりな、 みたいな面してんじゃないよ。
でもまぁ、 流石にこのザフィケルとかいう一番偉そうなジジイ殴るのは
虫が良過ぎたか、 陰湿な奴ほど自分の 「保身」 には人一倍長けてるからね。
何の 「保険」 も打ってないわけがない。
寧ろ複数構築してるってのが妥当、 そうじゃないと伸し上がれない。
あぁ~、 後ろの騎士共ももうこっちに向き直って剣振りかぶってるし、
ジジイぶん殴ってその勢いで一気に駆け抜けるのがベストなんだけど
望み薄か、 悪いねリュカ君、 異世界転生したなら
何かトンでもパワーが目覚めててここにいるヤツらくらいなら
無双出来るかもと想ったけど 「答え③」 みたい……
いや! ダメだ! 元々勝手にオレが突っ掛けたんだから、
こんな極限状況に近い状態で二人しかいないなら、
「同調行動」 で片方はもう一方に従わざる負えない!
何とかリュカ君だけでも逃がすんだ!
≪CAUTION! 特質異能 『創造者』 の共鳴に拠り、
【幻 朧 封 紋】 『抵抗者』 を創成! PLEASE USE≫
ちょ、待て待て待て! さっきから専門用語多過ぎ!
「設定」 はもっと単純で明確にしろ!
荒〇先生みたいに! 売れへんぞ! そんなんじゃ!
グャギィィィィッッ!!
あれ? 何か急に抵抗圧なくなった、ってか
平面に浮かんでた魔法陣が立体的に膨らんでンじゃん!
何か溶けたガラスに空気吹き込んだみたいに!
でもってその押し込まれる法陣ごとオレ達の拳が
ジジイの顔面に近づいてる!
モ〇マンに首根っこ掴まれてム〇打ちマッシーンに
持ってかれてる山〇邦〇(旧名)みたいに!
うお! ジジイの顔面白ぇぇぇぇ!
二つの拳がちょっとずつ近づいてくる間に
AAの 「うわあああああああ!!」 みたいになってる!
さっきまで莫迦みたいに日本刀ブン回すだけの、
クソ生意気な小娘みたいにドヤ顔してたのに!
初期の 『黄金体験』 喰らう直前みたいになってる!
≪CAUTION! 準友軍個体、 リュカ・K・サンダルフォンと、
【幻 朧 封 紋】の共成を確認!
連環! 神架呼導! 186%!?
INCREDIBLE! 我が主よ!≫
取り敢えず専門用語的なモノは全部無視!
今この場で目覚めた能力が、 〇T・フィールドの
位相空間を中和してる的なコトが理解れば十分!
死ねジジイ!!
おそらく途中から嗤っていたオレの貌は、
さぞ魔皇的なモノになっていただろう。
ジジイの面の皮一枚までのもどかしいような急迫が、
いきなり潔いまでに 『障壁』 が割れる!
結構良い肉喰い千切った時みてーに!
え? その後? 位相空間に滞ってた衝撃が
全部 「加速」 されて顔面に負っ被されて、
トマトソース噴き散らしながらブッ飛んでったよ!
「ジジイざまぁ!!」
某格闘マンガの少年Aみたいにオレは舌を出して
ヒャッハー! 的なカンジでその勢いのまま駆け抜ける。
後ろの騎士共の剣は現在の状況を想定してなかったので
盛大に空振った。
ガイン! とかベタな音が聞こえる、 腰だけは入ってたみてーだな、
的外れのスイカ割りご苦労様。
「ザフィケル様!? そんな!」
「竜族の爪も弾いた聖障壁が!?」
「魔皇が逃げるぞぉぉぉーーーーッッ!!」
背後から色々聞こえるけど知りません。
もう二度と会う事はないでしょう、 未来永劫永遠に。
それじゃあ皆さん良い終末を。
アディオォォスッッ!!
NEXT PHANTASM…Ж