Ж-21 踊る異世界議場 ~Cold Extrapiece~
≪CAUTION! 冒険者ギルドの来歴データを限定的に探った処、≫
おう、 仕事早いね、 ステータス係、 いやさアビスちゃん。
でもいーよ、 本人から直接聞く。 変な先入観ないほうが真贋は見極めやすい。
まだこの人が 「味方」 とは確定してないからね。
ほらほら謝らない、 感謝してるよいつもサポートしてくれて。
……だから照れるなよ。 本当色々メンドイなこの幻精霊。
周囲より倍ほど大きい、 元の世界でいうなら山小屋風の家に通される。
入ってすぐの場所に長いテーブルが置いてあるから
会合や懇談に使われるんだろうね。
御付きの二名が椅子を引き座るように促される、
おおう、 なんと上座だよ、 恐縮しちゃうね
この世界にそのマナーがあるかしらんけど。
その後相方とどうぞどうぞどうぞと譲り合ったが
お互いしつこく周囲が若干キレ気味になってきたので
仕方なくオレが席に付いた。
そうだねこんなことしてる場合じゃよね、 反省反省。
「改めまして、 御足労、 心より感謝致します、 魔皇様。
この村の長を務めております、 “ハクエイ” と申します」
ありゃま古風な名前、 いやイントネーションだけだけど。
この世界の言葉の意味知らんしね。 っつーわけで、
「魔皇、 ノエル・L・メタトロン」
「英霊、 リュカ・K・サンダルフォン」
名乗られたからこっちもきちんと名乗りますとも、
ちょっとこっ恥ずかしいけどね、
自分で魔皇って言うのとフルネーム言うの。
なので御付きの人が置いてくれた
木の杯に注がれた飲み物を口に含む。
ん、 美味っ、 ちょっと薄いけどなんかジュースみたい、
果実を絞って濾して水で割ったんだね。
でもやっぱ少し温いな、 なので指をパチンッ、
空中にキューブ型の氷が3つ出現しコップに落ちる。
うんうん、形も大きさも狙い通りだ、
黄泉還りの魔導に比べれば楽勝、 楽勝、
相方にもいる? って訊いたら頷いたから
今度はドリンク・バー風にザラザラの砕氷にする。
ちょっと調子に乗り過ぎて中身が溢れた、 ゴメンよ。
あ、 爺ちゃんもいる? 氷?
「流石で御座いますな。 降誕なされて月日も浅いでしょうに、
この “魔導力” とは」
指を弾く体勢で前のめりになったオレに、 一言そう呟く。
一応氷を三つ作成してコップの中へ、
ほほう、 これは。 と喜んでるみたいで良かった。
一つの魔導が遣えるとそっから色々と応用が利くんだよね、
まぁこれはなんでもそうだし異能の恩恵もあるかもだけど。
そうそう異能、 異能、 ソレについて訊かないとね。