EPILOGUE ~Death & Rebirth~ ⑤
「ゎ……」
おおやっと声が出た、 確かに驚いたからね。
真っ暗な空洞から出てきたもの、
それは元の体積を無視した長剣や円盾、
様々な衣服と日用雑貨だったのだから。
「 “泡沫” と呼ばれる、 魔導具の一種らしい。
特殊な素材に施された魔導の効力に拠り、
内部は 「亜空間」 になっていて実際の容量以上の物資を、
重量も無視して持ち運べるようだ。
冒険者には必須の要具らしいが、
値が張るので普及率はそれほど高くはないらしい」
ほうなるほど、 あのクズ共が持ってたのね。
盗った肉の燻製どこにしまいやがったと思ったら
こんな袋がありやがったのか。
そんでカップも鍋も着火器具も、 全部そん中にあったわけね。
苦い薬湯を啜りながら相方の言葉に耳を傾ける、
アイツ等の使ってたものと思うとチト気分が悪いがね。
「何が在ったのか、 今は訊かぬ。
周囲の惨状と残留魔氣から、 大体想像はつく、 が、
現状は君の回復が最優先だ。だが、」
アレ? なんか相方、 怒ってる?
「此れほど、 心胆寒からしめるとは想わなんだぞ。
君の性格は、 把握していたつもりだったが、
今回は少々、 悪巫山戯が過ぎたな……」
……
ああ、 まぁ、 そりゃ驚くわな。
拠点の場所から巨大な魔導が迸って、
急いで戻ってきたらオレが血塗れでブッ倒れてたんだろうから。
同時に、 アイツ等が皆殺しにされた事も知っただろう。
亡骸はオレが魔導に遣っちまったけど、
誰一人姿を見せないんだからな。
多分、 オレよりキツかった筈。
その怒りを、 ブツける相手すら居なかったんだから。
ハハ、 いや、 笑っちゃ悪ぃけどさ、
そう捨てたモンでもなかったぜ。
だってさ――
「ぃ…………だ……け……」
まだ掠れながらしか声が出ないから、
震える指先を何とか一本立てる。
「知っている」
そう言って横に積み上げた木の枝で
胸元の間を(本当に)軽く叩く。
律儀にすまぬなと訊くがイヤ別に気にせんけどね、
心まで女ンなったつもりねーしオレはオレだし。
って言ってる間にモゾモゾ来たよー、
おいおまえ、 ワザと間違ってんじゃねーかっつーくらい
迷走して途中一回 「下」 に行きやがった。
一体何をどーしたら間違うんだよ、 おい!
POMッ☆ とホントにそんなフザけた音が聴こえるような
カンジでローブの広がった襟ぐりから飛び出す物体。
ハァ~、 やっぱりか、 死んでも生き返っても直らんか、
オレの所為で殺されたってのに、 ったく。