EPILOGUE ~Death & Rebirth~
『貪喰ッッ!!』
術式を維持しながら再度 【號魔異能】 を発動。
スライムの魔那だけじゃ 「幽体の座」 に魂が定着しなかった。
癪な話だが出番だ屑共!
お前等に奪われた生命、 多少なりとも返して貰うぜ!
想像よりもずっと多い、 魔氣と魔那、
この場に適した言い方をすれば
生命エネルギーと精神エネルギーの塊が
ズタズタに引き裂かれた醜悪なモノから
攪拌して取り込まれる。
もう右手でピンクを抱えるのは止め、
代わりに放出したエネルギー帯の中に躰を留める。
正直細胞の僅かな振動ですら魂魄が剥離しそうな危うい状況、
帯流を繭状に変化させその裡を生命エネルギーで充たす。
この生物はまだ死んでない、 その証拠に生命で充ち溢れている、
だから魂が離れる必要もない、 云わば魂魄を騙す、
万物の法則に戯弄を仕掛ける。
どこまで効果が見込めるかは解らないが、 打てるべき手段は全部打つ!
屑共の生命エネルギーは云わば培養液代わり、 それくらいしか使い道がない、
精神エネルギー? 廃棄ちまったよンなもん!
残りの幽体は全部オレの魔那で創り上げる。
「ぐっ!?」
左眼に走る激痛。
慣れも抵抗も無い箇所だからガチで痛ェ。
当たり前だ、 『万魔殿』 と 【號魔異能】
二つの【魔 皇 種 源 泉】 をフル稼働させている状態で
更に 【原初魔導】 の発現も誘引しまくってる。
「特質異能」、 『創世者』 なんか最初から遣ってる。
この状態で更に魔氣と魔那を自分から挽き絞ってれば、
躰に過負荷が掛からない方がオカシイ。
眼窩の縁から滔々と溢れる鮮血が首筋まで滴ってくる。
でもダメだ!
ここまでヤっても魂が定着しない!
「(星) 幽体」 はなんとか完成したのにオレが造ったのじゃダメなのか
器から逃げ出そうと暴れまわる。
死にたくねぇ筈なのになんて抵抗だ!
明らかな意志との矛盾、 コレが 『死』 か!?
今までのどの戦いとも次元の違う、 無動の死線。
何かをブッ破壊すのに対して、
何かを救済うのがこんなにも難しいとは。
それもこんなに小さい生命!
ダメだ!
オレもピンクも必死で繋ぎ止めようとするが、
何か別の意志みたいな力で強引に牽っ張られる!
まるでいいから死ね、 いいから寄越せって
無数の手に引っ掴まれてるみてーだ!
単純な魔力じゃジリ貧!
永遠に魔導を放出してなきゃいけなくなる!
何ヤっても一時凌ぎにしかならねー!