Ж-16 原 罪 の 蹂 躙 ~Genocide Scream~ ③
「冒険、 者?」
あぁ、 そういえばどいつも武装してるわ、
女二人は杖みたいの持ってる、 こいつらも魔導士か?
「ねぇ? どうかした?」
若い男が肩に手をかけた。
やめろ! 触るな!
手を振り払いそうになるのをなんとか抑える。
やめろ、 理由は解らないけど、 いま、 触るなよ。
「あ……」
「え?」
「そ、 こ……」
震える指先で差した場所。
「オレ、 の、 家」
「え!? そーなの!?」
頓狂な声を出した優男、
大柄なヤツはこっちを見据えながら燻製を喰い千切る。
「だ~から言ったでしょう~。
幾ら 『深淵迷宮』 だからって
肉の燻製なんか干してあるわけないって」
蓮っ葉なカンジの若い女。
「ごめんなさい。 貴女の 「拠点」 とは知らずに休憩してしまって。
お肉もすぐにお返しますから」
礼儀正しいもう一人の女。
違うのか? だがオレの傍に歩み寄る際、
アイツ等の切れ端踏んずけてるんだけどな。
なぁ? おい?
オレはようやく跪いて、 地面に散らばった残骸を集め出す。
後ろから 「返せ」 だの 「拾ったものは冒険者のもの」 だの聞こえるが
どうでもいい、 今そんな話してんじゃねぇんだよ!
……魔物が襲ったものじゃない。
鋭利な刃物で斬られた創傷、 強烈な力で無理矢理叩き潰された割創、
高熱で焼かれた熱傷、 何やら半端な力で執拗に打たれた挫滅傷。
爪で切り裂かれたり、 牙で喰い千切られたりしたら、 こんな疵にはならない。
浅層の魔物が持ってる武器は手入れの行き届いてない
切れ味の悪いものばかりだから。
≪CAUTION!≫
理解ってる、 曲りなりにも魔皇の眼だ。
凝らさなくてもアイツ等の細胞が付着してるのが視えるよ。
あの男の斧とあの女の鉄杖に。
拭ったみたいだけどな。
「肉は、 やるよ。 だから、 さっさと帰ってくれ!」
「あぁん?」
それまで黙っていた大男がのそりと起き出し
威嚇するような眼つきでオレの方に向かってきた。
今日はここまでです。
「嫌な所」で終わってすいませんね……('A`)