Ж-16 原 罪 の 蹂 躙 ~Genocide Scream~ ②
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生前、 魚を捌いた事はあるが家畜の処理なんてヤった事あるわけない。
でも、 マンガ知識と残留魔氣の感知能力、
及び力や技量等のステータスを総動員させなんとか 「解体」 が終わった。
色々グロかったけど生きるためなら何か色々我慢出来るもんだ。
オレはかなり軽くなった牛の死体を担ぎながら拠点を目指した。
眩しい西日に照らされながらふと湧き出す懐かしい感覚、
小学校の時、 外でクタクタになるまで遊びまくって
家へ帰る時に似てる。
即席の拠点だけど、 大事な 「我が家」 だから?
まだ一日しか住んでないがね、
それとも、 待ってるヤツがいるからかな?
ちょっとズレた牛クンをよいせと背負い直し
坂の先に拠点が見えてくる。
あのバカ共、 まだ律儀に待ってんだろうな。
オレが逃げるとか微塵も疑わず、 全く。
よっしゃあ! 良い度胸だ!
生きて帰れると思うなよ! テメーら!
そう想い何か叫ぼうとした瞬間、 言い様のない異臭が鼻を突いた。
イヤ、 実際に何かを嗅いだわけじゃない。
でも、 否応なく感じるんだ、 覚えもある、
冷たい鉄で神経を直に弄られるような、
人間の悪意、 敵意、 害意、 侮意……殺意。
背中から獲物がドサリと落ちる、
音はした筈だが聞こえなかった、 どうでもよかった。
「……」
ズタズタに引き裂かれた、 ジェリービーンズ。
事実それだけの切れ端になって、 ソイツらは散らばっていた。
おいおい、 出迎えはどうした?
行く時何度言っても50メートルは追い縋ってきたろうがよ。
なのに何で静かなんだ?
それに、 何でオレ、 いま微笑ってるんだ?
おい、 おい、 お、 い。
オレ達の拠点に、 4人の人間がいた。
昨日のヤツらより若い、 未成年っぽいのも交じってる。
筋肉質の大柄な男が、 出来上がった肉の燻製を齧っていた。
樹に吊るしてたものは二つ共ない、 どこに消えた?
突然現れたオレに対し、 そいつ等は別段警戒した様子もなく、
リーダーっぽいヤツと横の女が会釈してきた。
周りには、 色とりどりの残骸が転がってる。
「やぁ、 君も冒険者?」
青っぽい髪をしたヤツが気さくに声をかけてきた。