Ж-16 原 罪 の 蹂 躙 ~Genocide Scream~
その後、 同じような勝負を繰り返し、 敵が襲って来ない間は
開けた草地でひたすら異能の練習を繰り返した。
はっきりいって魔導の練習をするまでには至らず、
日も傾いてきたから切り上げて拠点に戻る事にした。
一応そこらの樹々に目印は付けてきたし、
あんまり離れないようにしてたから迷うって事はないと想う。
入ったばかりと比べて鬼畜な「遭遇」がなかったのは、
オレの知らず知らずの内に
『迷宮』 の 「浅層」 にまで移動していたというコト。
だから拠点もその近くにあるしスライム共も纏わりついてきた、
無論危険な魔物もうじゃうじゃいるが迷宮自体の魔那の歪みは、
中心部に向かって大きくなっているので
魔物の強さはどこもかしこも一律じゃないらしい。
このまま南下すれば 『迷宮』 を抜けられるらしいが
生憎その気はないし相方を置いてけないから素直に拠点へ戻る。
ちょっとだけ出てすぐ戻ってみたいとかは想うけどネ。
でもアビスちゃんがどの 「星界」 に飛ばされるか
解らないって騒いでるから止めとくよ。
そんなカンジでトコトコ拠点へと戻っていくと
いきなり眼前にデカイ顔が。
≪CAUTION! バリアント、≫
あぁ~、 解ってる、 解ってる、 初日に出喰わした牛サンね。
浅層にも遭るのか、 前のは巨大ワームに喰われちゃったけど
ソレよりデカイね、 親戚? ンなわけないか。
今日はもう店仕舞いの予定だったけど、
戦るなら容赦しないよ。
『VUUUUGOOOOOOOOOOOOOOOOOOO!!!!』
「今日の主菜は、 おまえだ」
そういえば異能の練習に拘い過ぎて
「獲物」 の調達スッカリ忘れてた、
靴にも穴開けちゃったし後で直しとかないと。
ピシィ。
実際そんな音がしたわけじゃないけど
感覚的にはそんなカンジ。
猛烈な突進を躱しざま、 左の人差し指を鋭く振り抜く。
一瞬だけ延びた爪の先端は猛牛の眉間を正確に貫き
実際には躱す迄もなく大きく蛇行して地を抉りながら
ドサリと崩れ落ちて絶命する。
〇カーレット・〇ードル。 実際には殺してるから
いきなり〇ンタレスだけどそんな阿保なコト考える余裕も生まれた。
なんのかんので成長してるねオレ。
さて、 血抜きと臓物抜きか。
近くに沢があるから助かる助かる、
でも異能で切っちゃっても大丈夫かな?
何か爪で食材解体すって衛生的に問題あるような気が、
まぁ追々考えようか、 ンしょっと。
軽々とはいかないが何とか背負える位には 「力」 も向上ってる、
ウン、 悪くはないね。