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Ж-13 もう一つの大罪 ~Another Deadly Sins~ ⑤





 ここで摘んでおいた野草を微塵に刻んだものを

ハーブ代わりに一振り、 まぁ気持ち程度、

今の所良い匂いしかしないけど一応。

 ()がかなりの辛党で豆腐でもサラダでも何かしら振ってたからね。

それとラノベの甘党の女ってなんか鼻につくよね。

 ンでもってようやく焼けた肉の塊を座ってじゃ切り難いから

魔導で薄いプレートを宙に作成、 肉が冷めるのがヤなんだよね

(こま)いけど。


 そして一口大にカットしたものを大きな葉っぱ (無論洗浄、殺菌済み) に

乗せてまずは上座におられる御屋形(おやかた)サマに献上。

 畏れ多い事に待ってる間、 枝削って簡易的なフォークまで作って下さってたよ。

 そして更にメンドイのだが肉を更に小さく切って並べていく、

兎に角 「数」 が多いから大変だ。

 嬉しいのは解ったから群がるなスライム共、

切り辛くてしょーがないんだよ!

 あぁ、 御屋形サマが切った肉を葉っぱに乗せて

下々の者達に下賜(かし)なされていく。

 先に召し上がっていてよろしいのになんと慈悲深い。

 まだ喰うな! スライム(下僕)共!

 御屋形サマより先に口にするコト(まか)りならん!

 オレが魔氣で一喝するとスゴスゴと開けた口 (?) を閉じて大人しくなる。


「それでは」


 上座におわす御屋形サマの穏やかな声。

 オレは末席についていたのだがスライム共が寄ってくるので

仕方なく中程に移動する。

 無礼だが脚は崩させてもらってる、

すぐに()るから正座出来ねーのよマジで。


「「いただきます!!」」


 両手をパンと合わせこの異世界初めてのまともな食事に

感謝を捧げる、 スライム共もそれに倣って小首 (?) を傾げた。


「――ッ!?」


 木のフォークで串刺しにした肉を口に放り込んで

噛み千切った瞬間。

 今はもう帰れない地球の全体図が浮かび、

その地表から宇宙空間に向けて得体の知れない巨大な咆哮が

産声を上げた! でもってその後惑星(ほし)が割れた!

 嗚呼、 もう、 アレだね。

 本当に美味いと 「美味い」 とすら声に出なくなるね、

痛みと一緒で、 寧ろ何か殴りたくなるね!

 実際近くの木まで歩ってブン殴ったら圧し折れたわ。

 そんぐらいヤバイ! 脂がエグイ! 

焦げた塩の匂いが完全に殺しにかかってくる!

 肉は嫌いじゃないが特別好きというほどでもない。

寧ろ 「焼肉とかよりタタキとか馬刺しとか生っぽいヤツのが

好きなんだよねぇ~」、 とかぬかしてた過去の自分をブッ飛ばしてやりたい!

 嗚呼、 なんかもう、 涙まで出てきた。

 腹減ってたンだなぁ~、 異世界来て色んなコト有り(まく)りだったのに

ロクな食事をしてなかったからなぁ~。   


挿絵(By みてみん)




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