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Ж-13 もう一つの大罪 ~Another Deadly Sins~ ④





「一応血抜きはして臓物も粗方抜いてある。

解析で調理次第では()()る部分もあったが

保存が心許ないので今回は放棄した」


 そう言って崇拝するオレ達を無視して

既に剥がしてある毛皮を枝に干し、 炉を組み上げ始めた。

 オレも慌てて魔導で葉を操って張り合わせ即席のまな板に、

魔氣で生み出した刃で巨大な肉塊を部位ごとに切り分けていく。

 こう見えて料理は好きなんで実は魚捌いたりとか出来るんだ、

流石に狩ったイノシシの解体とかはやったコトないけど、

魔皇の感覚(本能)でわりとすんなりいった。

 流石にどこぞのゲームみたいに一頭丸ごと

串刺しにしてグルグル焼くというのは出来ないので

(っつーか喰い切れない)

適当な大きさに切って洗った枝に刺し火で(あぶ)る事にした。

 中に火が通るまで結構時間がかかりそうなので

ここで一手間。

 周りでスライムが 「ママー、 まだー」 「なにしてるの~?」とうるさいが

無視して集中する。


魔 皇 種 源 泉(サタン・オリジン)】 『万魔殿(パンデモニウム)』 発動。

現在修得出来る魔導が結構な数、 脳内で網羅(もうら)されるが

(あ、『魔薬(ダーク・ポーション)』 だ。 ホントに在るのねこの魔導)

上位ガン無視で下の下の方、 特に戦闘じゃ〇○の役にも立たないような

地裂(グランド)系、 下位魔導(ロー・ウィード)尖石飛礫(ストーン・バレット)」を修得する。

 即座に特質異能(スペリオル・フォース)、『創造者(ジェネシス)』 発動。

 その魔導を()()()()()()()()()()()

劣化変成(ダウン・チェンジ)」 させる。

 良し、 上手くいった!

 早速行使した魔導を確かめたオレの反応は

ペッ、 と輩のような顔でそれを吐き出すというモノ。

 リュカにも試してもらったがやはり無表情のまま

静かに吹き出してた (横を向いて口元を隠すのは育ちの違いだろう)


 そう、 オレが今修得したのは 「岩塩」 を生み出す魔導。

 硬度は余り関係なく先端を尖らす必要もないので

コスト(魔氣)はさほどかからない、 でも元が 「人間」 であるオレ達には

現状この上なくありがたい魔導だ。

「名前」 がないとややこいから 「魔塩(ダーク・ソルト)」 とでも

テキトーに付けるが実はコレ、 『戦略級』 にヤバイ魔導なんだよね。

 オレらの世界じゃ昔、 「塩」 を巡ってガチの戦争が起こったらしいし、

どんな国でも勝手に塩の 「専売」 を許せばそこの経済機構に大きな亀裂が走る。


 聖書とかの有名な格言にも使われてるからホント 「塩」 って大事なのよね。

生命的にも社会的にも、 (あだ)(おろそ)かに扱ってはいけない逸品。

でもそのうち醤油や味噌、 他の調味料も造れるようになってやる!

 だって魔皇だもん、 他の事は知らないね。

 あとオレ達のマネして舐めるんじゃないスライム共、

どいつもこいつもエライ形になってるぞ。

 でもって岩塩(ソレ)を粗く砕いて水に溶かし、

濃くなった塩水を茎で作った刷毛(はけ)で肉に塗っていく。

 もっと大量に溶かして蒸発させればより純度の高い塩が手に入るかも。

 とかなんとか考えてる間に肉汁と脂が

ジュウジュウ焦げる匂いと共にその表面へ塩の霜が降りる。




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