Ж-1 禁 忌 召 喚 ~Victim of Sacrifice~ ②
「あぁ~! もうなんだっつーのよ!」
('A`)←こんな顔になりながら半ばキレ気味にがばっと起きる。
「それとオレは萌え系は (あんまり) 読まねー!
妹属性とか〇〇〇〇なんじゃ!」
開けた視界、 妙に薄暗い、 炎がゆらゆら揺れている光景の中、
無数の人間がオレを取り囲んでいた。
「成功か!」
「待て! 油断するな! “悪魔” やもしれん!」
「わけの解らぬ言葉を叫んでいたぞ! やはり失敗か!?」
「だから早まるな! 前回までとは “依代” が違う!
12支族の直系も入っている!」
「しかし事態が起こってからでは!」
あ? 誰、 こいつら? 微妙に偉そうなジジイばっか、
ゼー〇? っつか人の部屋で勝手にナニしてくれてんの?
え? っつーかオレ、 昨日、 部屋、 帰ったっけ?
いつ、 寝た?
いや、 っつーか、 オレ、 さ……
「もう一人目覚めました!」
全員の注視が集まっていた中、
響いた声にその矛先が変わる、当然オレも。
「……ここ、 は?」
おおう! 金髪の少年。
こいつぁ極上だぜ! 人気なくて打ち切り喰らったけどね。
オレなんかが見ちゃいけないような、 ドエライ美少年が隣にいた。
青い、 否、 蒼い瞳にサラサラの髪、白く細い痩躯、
テンプレ過ぎる、 あまりにもテンプレ過ぎてボツ喰らいそうな
超典型的美少年。
「私は、 一体?」
澄んだ声、しかし妙に古風な響きを持って少年は呟いた。
しばらく信じられないと言ったような表情で両手を凝視していたが、
その掴めば折れそうな首がくるりとこちらを向く。
「君、 は?」
惜しい! 一緒に 「君の名は?」 って言えば良かった!
そんなくだらない事を考えていたオレをジッとみつめ、
いきなり眼を背けたかと思うとそのまま足元に敷かれていた
白い布をオレに差し出してきた。
ああ、 そっか、 いま君 「裸」 だもんね。
本当に、 一糸まとわぬ全裸、 当然オレもそうなわけで
一緒に寝かされていたオレの下にもそのシーツみたいな布はあるわけなのだが、
にもかかわらず自分のを差し出している。
いいヤツじゃん、 コイツ。
美形は性格が悪いと言うが、
実際はモテないヤツの僻みなのかもね。
凡庸で性格も悪い人間はたくさんいるからね、
オレとかオレとかオレとか。
んじゃま御好意に甘えつつオレもお返しにって、 アレ?
「な、なんじゃあこりゃあああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁ
――――――――――――――――!!!!!!!!!!!!」
周囲も少年もビクッとなる絶叫が轟いたが
オレの驚愕はソレ以上だったろう。
シーツを巻きつけようとしたオレの首から下に、
見慣れないモノが双丘……
いや違う! なくなっちまってるんだ! それより 「下」 の部分が!
そっちの方が重要だ!
「オレァ死にたくねぇよぉ……」
とか言ってる場合じゃない!
イヤ、 ある意味 「男」 としてのオレは死んだのか?
無くなる所か変わっちまってる。
毎日走ってたまに筋トレするくらいには鍛えていたオレの身体が、
“少女体形” に。
嗚呼、 最愛のオレの 「息子」 よ、
生まれて〇〇年、 一度も使ってやれなくてゴメンよ……
本当にゴメンよおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!!
と夕日に向かって叫んだオレは、
今は無き自分の 「息子」 の冥福を心から祈った。