Ж-13 もう一つの大罪 ~Another Deadly Sins~ ③
っつーか、 どーすんのよ!? この大所帯!
だ〇ご大家族ってレベルじゃねーぞ!
ハッ!? こんな時一番頼りになりそうな相方がいない!
流石に愛想尽かされたか!?
そりゃそーだよな、 食い扶持ロクに稼げず出戻って
こんな子 (?) 持ちじゃ。
オレでも愛想尽かすわ! 一族親等絶縁だ、 絶縁!
ってなコトを実際口に出してたらしく
渇いた笑い声をあげ続けるオレの周りを
「ママー、 泣かないでー」とスライムがピョコピョコ飛び回る。
「早朝から、 賑やかだな」
其の時聴こえた声が、天啓のように感じられたのは
オレの錯覚ではないと信じたい。
その天使、 否、 英霊、 リュカ・K・サンダルフォンは
よいしょと背に担いでいた 「獲物」 をどさりと下し、
蔓の紐で括りつけていた得物を地に突き刺す。
「もう、 帰って来ないかと思った……」
「置き手紙も無しでか? どんな鬼畜だ私は?」
四つん這いで肩を落とすオレを相方は怪訝な表情で見ている。
スライム共が 「ママー、よかったねぇ~。 なんかしらないけどぉ~」 とか
言ってるがうるさい。
ガチで見捨てられたと思ったんだよ!
そりゃあ相方は樹に背をつけて傍に大剣を置き、
精神の一部を覚醒させたまま臨戦態勢で寝てたのに、
その横で大の字になってガーガー寝てりゃあ
愛想も尽かされますわ。
一応交代制を提案して深く寝たくなったら起こしてとは
言ったがね、 でも自発的に起きようとはしなくて
爆睡しちゃったんだよ!
そんで冒頭に戻る!
≪CAUTION! “バンデッド・ルード・ボア”
R・ランク/D+。
基本、 雑食ですが魔物や冒険者にも襲い掛かる凶暴な種です!≫
うんうん、 もう完全に死んでるからアビスちゃんの説明も簡素だね。
決め台詞の安売りしないわよっ、 てか?
そのセリフが既にして安っぽいと想うのはオレだけだろうか?
まぁ、 いいけど。 あとスライム共、 妙にテンション上げて周りを跳ねるな。
生のまま齧ると寄生虫喰らうぞ!
まず早起きして一仕事してくれた相方様に最大限の感謝をしろ。
そして地に頭を擦り付けその御姿を拝め!
今日はここまでです。