Ж-13 もう一つの大罪 ~Another Deadly Sins~ ②
おはようからおやすみまで、
暮らしを見つめるラ〇オン。
生き残りたいのかそうでないのかという是非は置いといて、
朝の目覚めの一言、 皆さんはどうだろうか?
大体あ~、 とか、う~、 とか、 昨日の酒が~とか
まぁそんなモンだろう。
大体フツーそんなコト意識しないよね、 当たり前だよね。
そう想ってた時がオレにもありました。
「だらっしゃいいいいいいいぃぃぃぃぃぃぃッッッッ!!!!」
今日の第一声コレ↑よ。
どこぞの燃える闘魂じゃあるまいし
オレは格闘技はリアル派だっての。
しかしこんな雄たけびを発して木の葉の布団を跳ね上げなければ
ならないほどの火急がオレを襲ったのだから已む負えまい。
赤、 白、 黄、 緑、 青、 紫、 オレンジetcetc、
ジェリー・ビーンズでもブチ撒けたみたいに
色とりどりの物体がオレの躰の至る処に纏わり付いていたのだから。
あぁ~、 もうこれアレだ! 一目で解った。
ファンタジーで一番有名な魔物、
スライムだ!
ソイツらがオレの魔那と魔氣に誘われて一斉に寄ってきたらしい。
魔導が感知しなかったのは弱過ぎて危害を加えないから。
取り憑いてナニカを吸ってるわけではなく単に傍で寝てるだけだから
アビスも警告しなかったンだってさ。
危害がなくてもオレの安眠が妨害されてンじゃん!
どーりで昨日もう二度と喰えない雪〇だいふくに埋もれる夢見るわけだよ。
取り敢えずアレ買った時、 「一個くれ」 って言うヤツは
市中引き回しの上、 磔、 獄門で良いと想う。
閑話休題、 スライム共妙に冷たくてスベスベしてるから
それがキッカケになったんだろうね。
布団で強引に吹き飛ばしたにも関わらず
何故か 「ママー、 ママー」 と寄って来るのが鬱陶しい。
喋れるのかよ! と想ったら魔皇の異能が
副産物的に鳴き声とソレに含まれる感情を
言語化してるんだってさ。
ってかやめろ! オレはおまえらのお母さんじゃない!
それどころかたった一人 (?) の 「息子」 を失って
未だに微妙に立ち直れてないんだよ!
「うぉ! うわわ! うひょひょひょひょ!」
我ながら頓狂な声をあげてると思うが、
服の下、 胸元から未知のこそばゆさと共に
なんか昇って来る!
『ママ……』
広い襟首からヒョコッと顔を覗かせたのは、
オレの髪色に少しばかり似たピンク色のスライムだった。
「うぉらっしゃいいいいいぃぃぃぃぃ!!」
むんずと鷲掴みにしたソレを某大リーグ養成なんちゃらを
上回るフォームで投擲しようとするオレを周りのスライムが
「ママ、 やめてー」 と必死に群がって止めようとする。
アビスも 「マスター! 御気を確かに!」 じゃねーよ!
オレをDV毒親にしたくなかったらおまえがキチンと管理しろ。
大体オレは某四皇の一人じゃねーぞ!
海賊王になりたいわけでもなければ、 一繋ぎの大秘宝もいらん!