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Ж-12 樹 海 ノ 異 図 ~Disaster Of Green~ ④





 おい? お前達? 莫迦みたいに見上げてるだけでいいの?

 オレが両手を(かざ)したまま歩み寄ると

ようやく我に返ったのか一斉に飛び掛かって来る。

 オレは口元に浮かんでいる笑みを深めた。

 軟体が(しな)る音、

周囲にそんな柔らかいモノは存在しない筈なのに

ある種狂暴な緊迫を以て獣達に襲い掛かる。

 ヤツ等にそれを避ける術は皆無だった、

いくら敏捷(びんしょう)とはいえ、

背後からの奇襲すら察知出来る野性(本能)とはいえ、

回避圏全域、 全方位から襲来する

()()()(かわ)すコトは不可能!


 大きく蛇行した樹の枝、 (ほつ)れて薄刃状になった樹皮、

捻じれて飴細工のように歪む幹、 地中から撥ね上がる樹根、

更に網の目に変容した蔓、 文字通り群がるように延びる草叢(くさむら)

 正に視界に存在する全て、 樹海のスベテが明確な意志の下

生命の奔流(ほんりゅう)(さら)け出す!

 コレが 『原初魔導/樹海ノ異図』

射程圏内の()を、 自由に操り動かすコトが出来る!

 伏()の存在に気付けたのは、

魔氣が魔那と同調する際、 周囲の異物を感じ取ったため。

 魔物が正々堂々 「一騎打ち」 なんてするわけがない、

ピンチになったら仲間呼んで不意打ちかますに違いないという

オレの性格の悪さが生んだ予測(策略)対処(魔導)だ。


「いつもの(縄張り)に、 縛られた気分はどうだい?」


 オレは地面に刺していた槍を肩に担ぎ、

トントンしながら身動き出来ない獣共に歩み寄る。

 四肢、 胴体、 顎、 更には尻尾まで雁字搦(がんじがら)めにされた

虎が牙の隙間から忌々しそうに呻りを漏らす。

 本来なら今の拘束を容易く切断出来る筈の爪や牙も、

ソレが対象に振るえなければ無用の長物、

そして強靭な四肢もその力の基点(ツボ)を抑えられていれば

型無しに過ぎない。


 更に加えれば絡みついた枝からは

多量の樹脂(じゅし)(にじ)み出しており、 蔓や草からは微細な(とげ)が、

一本一本の殺傷力は低いとしても

無理に動けば引き締まるし擦り切れる、

それがより封縛を強固にしているのだ。

 何とか抜け出そうとしてるけど無駄無駄無駄。

 そうじゃなきゃオレが近づくわけないじゃん。

 軽く指先を弾くと、 拘束が伸びて

ちょうど良い位置に雁首(がんくび)が並ぶ。

 ジワジワ甚振(いたぶ)る趣味は無い、 一撃で終わらせる。

 再度脳裏に喚起(コール)される、『想念詠唱(サイレント・ヴォイス)

 でもソレは終幕への繋ぎに過ぎない。




≪CAUTION!≫




      ~§溢れ(いず)晩鐘(ばんしょう)を織り上げ§~


        ~§其の想いを奏でよ§~




 標的とは別に、 右手の槍に絡みつく樹海の魔導、

(おびただ)しい密度で(むら)がる樹の蔓や樹幹。

 ソレは即座に取り込まれ、 断頭に適した異容(カタチ)を織り上げる。

追奏詠唱(エコー・カノン)

 既に発動した魔導に追加効果を乗せる

魔 皇 種 源 泉(サタン・オリジン)】 『万魔殿(パンデモニウム)』から派生した

魔導異能(ウィード・フォース)

 手にした槍は、 翡翠(ひすい)がかった色彩の 『大剣』 へと変貌する。





       ~§(いつく)しみ、 (しい)するように§~ 


       『樹 海 (フォレスト・)ノ 牙(ブレード)ッッッッ!!!!』




挿絵(By みてみん)




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