Ж-12 樹 海 ノ 異 図 ~Disaster Of Green~ ③
~§此の命脈を聴きし者§~
~§不昧なる虚人の断末を捧げん§~
~§蒼緑の禁縛 大肢の呪縛§~
~§溢れ出ル晩鐘を織り上げ§~
~§其の想いを奏でよ§~
既に 『想念詠唱』 が掛かり、
魔導の術式は完成、後は発動を待つばかり、
意識の銃爪にはもう、 集束したオレの魔那が触れている。
「リュカ! 下がって!」
叫ぶと同時に相方、着地せず後方回避、
持ってる槍の柄を足場にしやがった!
改めて 『英霊』 の身体能力半端ねぇ~。
アッ〇ーマンかよ!?
刹那の情報密度に残像の錯覚すら覚えるその場所に
殺到する爪と牙、 だが寸前で目標が消えた為に
激しい空転と空中衝突を引き起こした。
そこにいたのは色彩の違う、 一騎打ちしていた虎よりも
幾分サイズの違う六匹の虎。
互いに同士討ちの戦形になったが致命には遠く
即座に態勢と隊形を整えようとする。
だがもう遅い!
お前等はもう魔皇の掌中に居るんだよ!
其処のお前等も含めてなッ!
『樹 海 ノ 異 図ッッ!!』
瞬間、 迸る魔導に周囲の魔氣と魔那が蠢動し、
弾けた属性に感覚が蠕動した。
さざめく樹々と巻き付いた蔓、 足元の草花、
風など吹いていないのに、 気流すら止まっているのに、
それこそ意志を持っているかのように
一個の動体としての存在感が群がって来る。
静寂は、 静寂で無くなった。
既に在る理を描き換えて。
ズゥッッッッヴォオオオオオオオオオオォォォォォォ――――――――
―――――――――――――――――――ッッッッッッッッッ!!!!!!!!!
捻り潰されたような悲鳴とは裏腹に、
地中から伸びた樹の根が百舌の速贄の如く
潜んでいたソイツ等を串刺しにする。
先ほどの同士討ち奴等より更に一回り小さい個体、
一人に14匹掛かりってドンだけだよ。
でも生命力だけは無駄に有りやがるらしく
貫かれた状態でまだ藻掻いてやがる。
足場のない所でジタバタしても刺創が拡がるだけさ、
枝の梢よりも高いもんねお前達の場所。
半径30メートル、 茂みの中からと突出した無数の墓標。
でもこんなもんはデモンストレーションだ、
後から始末するのメンドいから先に片づけただけ。
今日はここまでです。