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Ж-79 逢 魔 ヶ 路 ~Devil Load's Road~ ⑫



 真昼間なのに轟く天雷(てんらい)、渦巻く黒雲が周囲を覆い尽くす。

通常の天候と同じく広範囲に響き渡る雷鳴。

 だったらソレで攻撃すりゃあいいだろうにと

(つか)うオレでもそう想うが先刻(さっき)も云った通り

無秩序(ランダム)なんだわ【原初魔導(プロト・ウィード)】は。

 ブッちゃけオレでも発動するまでは

どんな魔導か解らんし正直ガチャでも引いてる気分、

ただなんとなくイケるっていう実感が在るだけ。

閃きとか直感みてーに自分の意志じゃどうにもならねーのよ。


 なるほど、獣帝のヤローが怒りに任せて仕掛けて来なかったのも

オレの魔導を警戒してやがったのか、見かけと違い頭の切れるヤローだ、

どっかのラノベ主人公よりは。

 でもコレは読めるかな? 何しろオレ自身ですら想像出来ねーからな、

発動して初めて既視感(デジャヴ)に近い感覚が脳裏に(よぎ)るだけだ、

予知や予測ですらねぇ微細な感覚だから実質意味ねー、

ラノベ女の「恋の予感」と同じくらい。




 ヴァギ……ヴァギヴァギヴァギ……………!

 ヴェギヴォギヴァギヴォギヴェギギギィィィィ……………………!!!!!!!!



 骨の軋む音、罅割(ひびわ)れる音、(さいな)む音、

(おぞ)ましき(むくろ)の共鳴、共振。

 ソレは空間を引き裂く響きを想起させ、

生死の尊厳すら凌辱する(おこり)を肌に這わせた。

 意外だな、想定外の事態が起きると、

互いに隙だらけでも吃驚(びっくり)しちまうんだ。

 今一瞬オレも獣帝(おまえ)も互いが「敵」って

忘れてたろ?

 それもその筈、まず周囲に変色した骸骨が地面を突き破って

夥しい数起き上がった。

 なるほどなるほど、自然に出来た空白地帯だと想ってたけど

どうも規模と形状が人工クセェのは

此処が昔「処刑場」或いは「狩り場」だったからか?

 つい先日アノ屑共がヤってたような()(うたげ)

ソレが昔より大規模で組織的、継続的に行われていた何よりの証。

 その(うら)みだの(うら)みだの(うら)みだのをオレの躰の魔那が感じ取っていたわけか?

オレ自身も意識しない内に。

 ってコトは知らず知らずの内に ”この場所” に躰が引っ張られてた

ってワケかね? 或いは呼んでいた? 魔皇(オレ)を。

イヤ知らんけどマジで、だって無意識だから。




 ()()()()()()()()()()()? 誰か(オレ)に――。




 問いに呼応するように、森の方から降り注ぐ(むくろ)(つら)なり、

頭骨(とうこつ)尺骨(しゃっこつ)腰椎(ようつい)肋骨(ろっこつ)、更に座骨(ざこつ)橈骨(とうこつ)尾骨(びこつ)大腿骨(だいたいこつ)

骨の雪崩(なだれ)ってカンジかね? でも各部位(パーツ)はすぐに組み上がる。

どれも錆びて変色半壊しとるがね、頭蓋骨に穴が空いてるのも多い。

本体(オレ)と距離が離れてるからなのか

森の中で狩られた個体もそりゃあ多いだろうからな、

オレの意図は無視して勝手に分解(バラ)けて集まってきちまう。

 ほぼ直感だが理解(わか)りかけてきた。

 コレは ❝奴隷を支配する魔導❞ だ。

 生きてる死んでる関係無く、 また時間の経過も無視して

(カタチ)だけ残ってりゃソレも”動く死骸(アンデッド)”として

操れるらしい。よく解らねーケド最悪(ワンチャン)「死霊」とかでも

イケんじゃねーの?

 奴隷(どれい)奴僕(どれい)奴婢(どれい)、最近ソイツらとばっか接触してたから、

その魔氣(マギ)魔那(マナ)に異能が反応して生まれた魔導かも。






 ただ、()()()()生きたかっただけなんだよな――。

挿絵(By みてみん)





 アンデッドの骸骨兵士(スケルトン)とはいえ魔皇の魔導だ、

威嚇して場を膠着させるには充分だったみてぇだな。

 結構強いんだよね、竜退治のゲームの中だと。

まぁコレの場合は兵士じゃねーと思うけどね、

奴隷の骨だし。

 でもどれも全身から驚々(おどろおどろ)しい負のオーラが立ち上ってるし

その朽ちた全身は病原の凝集とも云える毒の温床だ。

 爛れた肉やソレ突き破って臓腑にでも攻撃されたら

例え獣帝と云えどもどうなるかな?

 魔皇(オレ)を殺したって結果は変わらない、

骸骨兵はオレの魔導でも後から来る疫病はオレの魔導じゃねーから。

 あぁ、アレだな、歴戦の勇猛な戦士とは戦えるケド、

汚物塗れの奴とは戦うの躊躇するってヤツ?

 モノスゲー情けねぇ理由で攻撃免除してもらってるな現状。

 まぁどっちが()()かは較べるべくも無いがね、

魔皇(オレ)獣帝(テメー)も殺した奴らも。

 ()()()()()()髑髏も山ほど起き上がってんだよ――。





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