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【ZODIAC PARADOX EXTREAM/CHAOSPHERE!】 ~戯題・愛のままにわがままに 魔皇少女は異世界に屈しない!~   作者: 沙波羅 或珂
【第三章/冥 獄 の サ タ ナ エ ル】

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Ж-79 逢 魔 ヶ 路 ~Devil Load's Road~ ④





「へ、へへ、女の神サマが、帰って来た。

これで、おまえももうお終いだ」


 麻痺で床に縫い止められたキョウコ嬢が、

苦笑しながら言葉を絞る。

 それを一瞥して戻す視線、刹那の間に

「人の威を借りて(イキ)るな、弱く見えるぞ、

どこぞのラノベ主人公みたいに」等と思考したのだろう。


「 ❝大精霊(だいせいれい)❞ ドライアド……!」


 フム、ソフィア嬢は理解(わか)ったか、流石に博識だな。

 背後から首筋に回されている黄金(きがね)の両腕、

「肉」の質感とは明らかに違うので私も対処に困っている。

 そもそも人の(ことわり)で判断して良いものか、

美しい女性の姿をしているが体高(たいこう)は2mを優に越える。



「しかし我が伴侶に何を――!」


 む、いかんな、そうして”敵意”を向けると――。

 構えた錫杖(ロッド)に集束する魔氣(マギ)


 パァンッ!

挿絵(By みてみん)




 一抹、金色の霧が弾け彼女の風貌を漂う。


「こ、これは……『反射能(リフレクト・)麻痺香(パラライズ)』……

不、覚……!」


 杖を本来の用途で使い抗うがやがてコトリと膝がつく。

その魔力こそ秀逸だがやはり肉体そのものの抵抗力は弱いようだ。

珍しく冷静さを失っていたようだな、

卒無(そつな)き者の瑕疵(かし)もまた()いモノだが。

っと、いかんな。


「伴、侶……」


 その()が樹の床に伏す前に支える。

 異能を遣うまでもない、

此処に至るまで私自身の「速度」も相当に向上(あが)っている。


「申し、わけ、」


「後は、 私に任せて貰えるか?」


 賢明な彼女にならこれだけでも伝わるだろう。

 微かに震える輪郭で一度コクリと頷いた後、そのまま瞳を伏せた。

 麻痺以外にも鎮静や誘眠の効果も同時に複合しているらしい、

効果は偶発(ランダム)で異能の保持者にも制御不能だそうだ。

()()から聞いた話だが、彼女を両腕で抱えたまま、

樹内(じゅない)(くぼ)みで造った長椅子(シート)に横たえる。

 席に戻るまで友は両腕を組んだまま黙っていた、

何故かその隣も同じ体勢をしていたが。


「――オレとミウには掛からねぇ。

攻撃的魔氣(マギ)自動(オート)で反応する異能(フォース)か?

お莫迦5人が麻痺(まひ)ってんのが良い証拠か」


『まぁまぁ、なんともお珍しい。

ワタクシの存在を目の当たりにして、 何の感慨も示されないとは。

(さら)う” ”襲う” 一文字(ひともじ)でも想起すれば、

即座に 『樹精霊異能エレメンタル・フォース』 が発現致しますのに』


 心底不思議、といった様子で光る指先を頬に当てる。


「おまえが誰か解んねーんだよこっちは。

即座に殺してもいいけど相方に免じて

手ぇ出さないだけ」


 云った通り即座に麻痺の異能が眼前で弾けるが

友は暖簾(のれん)をくぐるような感じであっさり避けてみせる。

魔眼(まがん)”ナメんな

一度()た異能ならコレくらい見切れるんだよ、

視線からそんな声が聞こえてくるようだ。


『まぁまぁまぁ――』




「で、何? コイツ 『味方』 ?

()うヤツ()うヤツ〇〇(ピー)ばっかだったから、

いまいち信用出来ねーんだけど」


 (いぶか)しげに宙に浮かぶ女性を親指で差しながら友は隣の席についた。


「別段、悪しき気配はしなかったのでな。

攻撃する気ならとっくに行っている筈。

一応警戒はしたが、余りに無垢で無防備な心性(しんしょう)だった故、

此方(こちら)も毒気を抜かれたというのが大きい。

そうだな、その()の「最初の姿」に近い、

と云えば、少し解るか?」


『にゅふふ~☆ おやかたさまぁ~☆☆☆』


 私が視線を向けると席を立ち、

背後の女性を無視して無垢な抱擁を寄せて来る。

 友は終始嫌がるが、存外悪いものではない。

 ソフィア嬢の顔が珍しく若干紅潮しているが

他意は無い、許されよ。

 ちなみにファム嬢の方は盛大に眠ってしまっている、

「誘眠」の効力が強かったようだな。


『まぁまぁまぁ~。人間かと想いましたら

❝ダーク・コーラル・スライム❞ でしたのねぇ~?

でも「人型」に変貌(メタモルフォーゼ)出来るのは

希少中の稀少ですわぁ~。

そしてこの古大樹(こだいじゅ)を精霊樹にまで『進化』させたのは

アナタ様ですのねぇ~。

”核”はほぼ死にかけていたのになんともまぁ~』


「セリフが長い、専門用語が多い、

あと論点「飛び」過ぎ。

ド素人のな〇うラノベ作家か」


『まぁまぁまぁ~、その“らのべ”というのは一体何ですのぉ~。

随分と浅薄で杜撰で、冗長な響きを覚えますわぁ~』


「――悪いヤツじゃねぇのか?」


 本当に珍しく、友の瞳から猜疑(さいぎ)(もや)が一瞬で消えた。





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