Ж-79 逢 魔 ヶ 路 ~Devil Load's Road~
「なぁ――? 訊いてもイイ?」
「ん――?」
「何で、『オレらの世界』だけなんだろうな?」
「 ❝転生❞ 、概念では無く仕組みそのものの話か。
確かに、あらゆる論理的配慮が破綻している事象だな、
我々の存在も含めて」
「『オレらの世界』でも、惑星は解ってるだけで“兆”を遥かに超えてた。
でも何でこの星界に ❝転生❞ してくるモノは、
銀河の辺境のケシ粒みてぇなしょぼくれた地球の、
その更に表面に寄生してるだけのクダラネェ 「人間」 だけなんだ?
その他数千超の全ての星に、【生き物がいない】って、 いくら何でも無理があるだろ?」
「うむ。 実際には生命の裡に宿る “魂” を召喚しているらしいが、
❝転生❞ ではなく 『転移』
生きた者をそのまま召喚する儀も存在するらしい。
にも関らず何故我ら二人とも 「人間」 なのか?
時間と空間を超越するのなら、
何も『現代』に絞る必要は無い。
そして人間より巨大な生物など幾らでも居る」
「ガチで、この世界の召喚者がラノベ作家並みの〇〇か、
或いは別の理由があるのかその両方か、
今のオレらに直接関係なくても考えといた方が良いと想うんだ。
異世界なのに、何で【現代の地球】に固執しやがるのかどうか」
『戻りたいのか? 元の世界へ――』
『どっちも同じだろ?
異能と魔導が金と権力に挿げ変わるだけで。
力の強い者が弱い者を虐げて高笑いする、
「人間」がいる限りどこもヤるこたぁ変わんねーよ、
現実世界だろうが異世界だろうが。
そもそもオレら死んじまってるし、
”死人”に居場所はねぇ。
それとも、 『異世界のチート能力で現実世界無双!』
でもヤれっての?
……寒ッ! もう余計に何が何でも帰りたくなくなった』
「フッ、 冷えるから帰りたくない、か」
「元の世界に未練はねーよ、
ガチで【死んだら異世界に転生出来る】って理由で
事件起こす莫迦が大量発生してたから。
死ぬ事が 『別の世界への移動』 なら、
オレらの世界って一種の【地獄】だったンじゃねーの?」
「愚かしくも傷ましい事だ。
私が命を落とすキッカケとなった暴漢も、
想えばそのような譫言を呟いていた気がする」
「へぇ~、ってかそう云えば、お互い【来る前の年代】とか話した事ないね?」
「――少し閑談するか? 酒でも持ってこよう」
「あ、いいよ、オレの『亜空間』に入ってる。
ツマミは、ちょっと火の魔導で炙ろうか?」
そんなこんなで深夜のツリーハウスの中、
久しぶりに二人で長い話をした。
オレら以外に通じない、毒にも薬にもならねー話だったけど
結構盛り上がったし楽しかった。
最悪だったのは宴も酣だった処で
声だか匂いだかに気づいた”いつもメンバー”が、
眼を半開きにして眠気と戦いながら(何故か半泣きのヤツもいた)
ズラリと並んでこちらを凝視していた事。
5歳のガキかテメーら! 酒が入ってた所為かオレは無論
相方までちょっとビクッってなったよ。
「女の神サマァ~、アタシも腹減ったよぉ~」
まだ寝惚けてるのか、奴隷の中じゃ唯一起きて来た
キョウコが甘えるようにしなだれかかってくる。
そのついでに皿にあったツマミをパクリ。
「うぉ! ウメェェェ~! コレ!
アタシも食べて良いか? 女の神サマ!」
喰ってからいうな、ってツッコンで欲しいのか?
ヤだよそんな紀元前のラノベギャグ。
令和の時代でも平気で書いてた〇〇いたケド。
解らんのかね自分で読み直して「寒い」って。
飴玉一個で数ページに渡って大ゲンカするヤツとか。
「な!? 魔皇サマに対してなんて無礼な! すぐに離れてください!」
眼がパッチリ開いたサーシャが即座に駆け寄り
まだぞろキョウコとギャーギャーやり出す。
最近アビスちゃんに似てきたなこの娘。
他のメンバーは勝手に銘々に席につき、
テーブルの上の酒や料理に手を伸ばし始める。
あぁ~あ、男(?)二人の神聖な夜が台無しだよ。
何で今日に限って起きてきやがるんだ
いつも寝てやがるのに。
《CAUTION!》
あぁ、そう、こいつら魔皇と結構長いコト居るから、
その魔氣と魔那にずっと触れてるから、
「魔皇察知」とかいうフザけた異能が
クジ引きの粗品みてーに生まれたわけね。
ハズレスキルじゃん、追放してやろーか『深淵』の奥底に。
キョウコは素で起きたみたいだけど
勘が鋭いのかねこれも異能的に。
あぁもう、調理場使えねーから大したモノ出せねーぞ?
そう言って指を弾く度に亜空間から出される
酒や料理にヤツらは一々大袈裟な歓声と拍手で応じた。
ソフィア”静寂”の結界張ってくれてありがと、
これ以上他のに起きて来られたら場がカオスになる。
あぁ~もう呑むしかねーや、呑まなヤってられん。




