Ж－７８ 運 命 迸 流 ～Destiny Stream～ ⑯
あぁ～あ、改めて考えて「勢い」で何か言うもんじゃないね。
『爺ちゃん、国創ろう（キリッ）』とか抜かしてた
昔の自分をブッ飛ばしてやりたい。
「何がクニだ、 ク〇ニしろおらぁ～！」ってヤツか？
イヤ流石に全く無計画ってワケじゃないけどさ、
エルフの集落も奴隷達の拠点も
莫迦共が大挙して押し寄せればソレで終わる。
今まで滅んで無かったのはただの「偶然」なんだわ。
「運」が絡まなかったらもう最低でも二回は滅びてる。
ンな〇〇みてーなラノベ主人公レベルじゃ
ジリ貧だからこうして無い頭絞るわけよ。
そもそも『国』って滅びるコト前提だしね。
でもいや待てよ、数が多いから問題も起きるし
敵も脅威になるわけだよな。
じゃあ元々その数が少なかったらどう？
オレは『魔皇』だし善も悪も関係ねーんだから、
周辺諸国の人口を【激減】させればどうだ？
襲って来る敵そのものがいなくなる。
まだ修得してねーけど、 風と『疫病』の魔導とかでイケねーか？
オレらの世界でもウィルス蔓延してる時は、
戦争の数も減ったよな、確か。
え？ 酷い？ 残酷？ 非人道的？
うるせーそもそも『人権』がねーんだよ、オレらの周り殆ど全員。
善悪も道徳も倫理も『法律』って“後ろ盾”がなきゃ
〇〇の役にも立たねぇの現実問題。
何で「権利」がねーのに「義務」を果たさにゃならん。
何にも護られてねぇこいつらが、
律儀に善を護る義理はねー。
「なぁ？ 女の神サマ。また、アタシらの事で悩んでるのか？」
いつのまにか土で汚れたダガーを手にしたキョウコが
オレの前に立っていた。
後ろにはバラバラにされた土偶像の残骸が蠢ている。
結構ヤるな、『神々の恩恵』も入るのか？ コレ。
そうだねぇ～、考えてるよぉ～、おまえら〇クミンみたいに
弱っちぃから、如何に『外敵』を惨たらしく滅ぼすとか色々ねぇ～。
「女の神サマは、もう充分良くしてくれたよ。
美味いモンいっぱい食べさせてくれて、
大きい家を造ってくれて、風呂にまで入れてくれた。
だから、あんまり無理、」
大したコトしてねーじゃん、
そんなんで今までのおまえらの“疵”は癒えるのか？
慣れればすぐ不平不満が飛び出すさ。
そもそも他人のコト気にする余裕なんかねぇだろう、
おまえら弱っちぃんだから。
口にゃ出さねーけどそんなこと考えて
そのクセッ毛をワシャワシャしてやる。
お、意外に気持ちいーな。
サーシャの髪とはまた違った感じだ。
「な、なんだよぉ～。アタシは本当に心配してるんだぞ。
女の神サマが血ィ吐いてブッ倒れた時は、
本当に心臓が止まるかと思ったんだからな！」
１００年早ぇーよ、オレ様の心配するのは。
まずは人間１００人くらいその手でブッ殺してからだな、
話はそれからだ。
「お疲れ様です。魔皇サマ」
やめろ～やめろ～という声を無視して髪をワタアメみたいにしてると、
笑顔のサーシャが近づいてきた。
ン？ いつもと表情変わらんけどどことなく声に険があるような、
オレじゃなきゃ見逃しちゃうね。
ちなみにオレが『魔皇』、リュカが『英霊』ってのは
周りのヤツらがバラしちゃったんだけど、
奴隷のヤツらは基本変わらず「神さま」って呼んでくる。
まぁ別にどっちでも良いんだけどね、
今抱えてる「問題」に比べれば誤差よ誤差。
正直そんな細かい事にまで気にしてる余裕が無い。
漫画の「週刊連載」とか、こうしてアラや矛盾が生まれるんだろうなぁ～。
