Ж-10 英 霊 盟 約 ~If I'm Enveloped By Tenderness~ ③
ヒシッと抱きつくオレの肩に手を回す、
口数少なく視線はこっちに向けないのが実に男だ。
下で牛さんが八つ当たり気味にドッカン、ドッカン
ブツかってる上で甘い色のナニカがホワホワ浮かんでいる。
どこぞの進〇中学校みたいに。
っていうか魔那が在る所為で無駄にこういう効果出るのね。
オレが魔皇で彼が英霊だからかもしれないケドさ。
あ、 そうだ、 もう安全地帯なんだから逃げ果せた記念でアレが出来る。
ヤるべきか、 でもどうしよっかなぁ~、 いまいち気が進まないが
こんな機会はもう訪れないかもしれない。
そう逡巡しながらローブの裾をちょっと捲ったり、
半端に後ろを向こうとするオレに、
「恥があるならやるべきではない」
同胞が厳格な態度で指摘する。
「そ、そうね」
結局羞恥心が勝り、 阿呆な所業を理性が諫めた。
ま、 まぁ、 オレも曲がりなりにも一応大人だしね。
昔ケツ出した瞬間 ソコに矢が刺さったマンガ見た事あるけどね。
引き続きそんな莫迦なコトを考えていた瞬間、
バ・グ・ン゛ッッッッッ!!!!!
「……」
「……」
下で突進を繰り返していた牛さんが、
オレ達の眼の前まで迫り上がってきた。
≪CAUTION! グランド・キャリオン・ワームッ!
R・ランク/A+!
UNDER RAID!
SO I’LL BE FOR SAYING!
我が主よ!!≫
陥没した地面から伸びた異様な肉塊、
土の混ざった虫特有の臭いと見るだけで嫌悪を沸き立たせる
夥しい節くれ、 裏で蠢く繊毛。
その尖端で巨大な野牛が頑強な後ろ足を狂ったように振り乱しながら
ソレ以上のモノに捕食されている。
ちょ、 ちょっと待って。
さっきまでオレ達地面の上にいたよね?
ずっとその 「下」 にいたのコレ?
偶々? 運が良かっただけ? こうして喰われなかったのは?
「う、 うわああああああああああああああああああ
ああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!」
AAなんて目じゃない絶叫をあげて、
オレはただその場を逃げ出すしかなかった。
肝心な事は死ぬ(最終回)まで保留する、
どこぞの〇〇〇ラノベのヘタレ主人公のように、
ただただ恐怖だけが全身を充たしていた。
だって!
だってこんなモン――!
「暗〇大陸だ! 〇黒大陸!
助けて! 冨〇先生!」
「休載中だから無理!」
「〇樫仕事しろよぉ~!」
続きが読めなかった某傑作マンガの罪無き作者に毒づきながら、
此処が何処かも忘れ逃亡した。
正に不条理不尽の極み。
いつ何が起きても不思議じゃない、
人の生命など蚊よりも儚く散る
『深淵迷宮』
落ち込む事もあるけれど、 私は元気です!(←嘘つけ!)
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