Ж-77 声 亡 き 聲 ~Nameless Demi-Huma~ ⑳
【幾 千 ノ 星 ニ 抱 カ レ テ/黄 昏ッッッッッッッ!!!!!!!】
宛ら冥府の弓矢にも似た幾群もの流星。
前回放ったモノより威力、スピード、効果範囲共に比較にならない。
その代わり大雑把な領域の指定以外
マジで何もコントロール出来ねーから範囲指定をミスったら
敵も味方もオレもそのエリアごと全て消し飛ぶ。
破壊の大轟音は、今回は然程聞こえなかった。
耳障りなクズ共の悲鳴も断末魔も。
当たり前か、天空から降り注ぐ光の矢、
ソレに触れたモノは跡形も無く消滅しちまうんだ。
喉も口も無きゃあ叫び声が出る道理もねぇ。
魔導や道具で転移しようとするヤツらも
その魔力ごと大気の塵となった。
魔導と謳っちゃあいるが、コレは単なる物理現象の自然法則なんだよ、
魔氣も魔那もブッちゃけ関係ねぇ。
オレの相方怒らせたお前らが悪い、
この程度で済んで感謝するんだな?
オレがこの魔導で引き止めなかったら、
何日掛かるか解らんが確実に『国』が滅んだ。
“謝肉祭” の後――。
幾つかの命は燃え尽きて幾つかの涙は枯れ果てた。
もう取り返しはつかないし
何をどう云おうが喪ったモノは戻らない。
戦闘中には気に留める余裕が無かったが、
アビス曰く単なる嗜虐嗜好の悪趣味な狂宴ではなく、
大量の“生贄”を用いた『儀式』の側面もあるらしい。
無数の魔道具で“結界”組み、【大魔導】として発動する事で
特殊な領域を形成、
ソコで行われる惨たらしき暴虐の数々、
対象の苦悶、恐怖、絶望までが“神への供物”と裁定される為、
出来るだけ長く甚振った方が『神々の恩恵』が増えるのだそうだ。
まぁ、ソレが無くてもヤる事は同じだった気がするがね。
オレが魔導を放ったエリア、浅層境界周辺は
黒焦げの大地というか荒廃した焦土と化していた。
触れたモノ全てを蒸発させてしまう光線のため
焼煙もロクに上がらないその場所は
正に【暗黒の大地】皮肉にも魔皇が居る場所には
これ以上ないくらいに相応しい。
御陰でちったぁ偽装と威嚇になったかな?
“魔皇の仕業”ってのがもう誤魔化しが効かねー以上、
怯らせて近づけないようにするしかない。
前にやった手だけど突発的な出来事だったから
事前準備もクソも無かった。
予想は出来ても予測は付かねーよ、人間の貴族や王族が
『深淵』でこんなクソ以下な事ヤってるなんて。




