表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
341/400

Ж-77 声 亡 き 聲 ~Nameless Demi-Huma~ ⑨


 

 何故だ――。


 何故貴様等は――。


 どうして――。


「お、 おまえ! どこの “家” だ!? 『王族』か!?

()()()()()()() 【奴隷】 だけだぞ!! がっ!?」


()り過ぎてイカレやがったのか!!

人間と奴隷の区別も付かねーのかよ!! ぐぁっ!?」




――何だ?


――何を云っている?


――『人の言葉』を喋れ。


――聞こえない。


――『人の声』以外は何も。




 此処は“地獄”か? 否、地獄()()()()場所(表現)でもこのような光景(モノ)は見た事が無い。 

 老若男女種族を問わず、特に年端もいかない子供が――。


「や、やめ、 て……たすけて……」

 

 足元で()(つくば)る魔族と(おぼ)しき幼子。

 四肢は()げて羽根は千切られ背に無数の矢が突き刺さっている。

 この娘など()()()()()()()

 英霊の聴覚(みみ)で察知した方角に駆け、

最初に眼にした光景に比べれば――。


 聴こえる。

 世界に見捨てられた者達の、 “声亡(こえな)(こえ)”が。

 誰にも、届かない。誰にも聞こえない。

 此処にニンゲンはいないのだから……




(おそ)れながら御屋形(おやかた)様!!》


挿絵(By みてみん)




 其処から先の記憶が無い。

 ただ、 罪無き者に群がるヒトの形をした塵芥を

斬って斬って斬り棄てた感触のみが在る。

 狂乱のその最中、 辛うじて布都(ふつ)の声が頭蓋に響いた。

 だが其れは今の(オレ)にとって何ら意味を()さなかった。




(いささ)か正気を逸脱していると存じまする!

()塵芥共(じんかいども)の所業に御心(おこころ)(みだ)れあそばれし(そうろう)が、

此のままでは御名を(けが)せし“忌み名(称号)”が、うぐっ!》




 黙れ、 (オレ)に異見するか?

 ()れば主従の(ちぎ)りも無い、 即刻(そっこく)(たもと)()かって下野(げや)するが良い。

 心を棄てた仮初(かりそめ)の王になど、(オレ)は成る気は無い。



「ぐぎゃっ!」


「がっ!」


「は、(はや)っ、げぶ!」


 生温(なまぬる)い。

 出来れば一太刀で屠るなどしたくはない。

 可能な限り永らえて、地獄の責め苦を与えてやりたい。

“声亡き者”に感謝しろ、()()()()()()()()()()――!




「エル……」


 (オレ)殺戮(ころ)す事は出来ても救う事は出来ぬ……!


「ノエルウウウウウウゥゥゥゥゥ―――――――――!!!!!!!!!!」

挿絵(By みてみん)



 ただ叫んだ、渾身の想いで友の名を。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ