Ж-76 魔 隷 創 成 ~Crimination Orb~ ⑦
良いんだね? とか安っぽいラノベみてーなセリフは言わねーよ、
ウザッてーだけだし。
案外、 向いてるのかもな、 「やりたい事」 と 『出来る事』 は違うから。
だからこの娘の潜在の裡で眠っていた能力。
“ハーフ・エルフ” って種族が 『被虐民』 だからその影響もあるのかも。
寧ろ、 この世界の根底から疑った方が良くねーか?
『光輝齎す者』 とかいうヤツらも、
かなりロクデモなかったし。
そもそも魔皇がンなことで頭悩ます時点で阿呆か、
大魔王に 「ヒドイ! 何て残酷な!」 とか言うようなモンだな。
「英霊よりも、強くなっちゃう?」
「ハイ! 頑張ります!」
「フッ」
相方は微笑んでくれるけど布都のヤローが激高してんだろうな、
後でアビスちゃんに無い事無い事吹きまくってやる、
昔の〇〇のラブコメのライバルキャラみてーに、
まぁ作者ごと全員〇ねってのがオレの本音だけど。
細い 『やり方』 はアビスが解説してくれるけど、
もうここまで来ると感覚で解る。
オレが発動させた宝珠だからオレの意志で行使出来る。
「魔皇、ノエル・L・メタトロンの名に於いて命ずる。
我が下僕、 サーシャの畢生を変貌させよ。
掛かる宿業は、 我も同律とする。
蒙昧なる神々も、 此の “契約” に異を唱えること能わず――」
意図せず言葉が口をついて出る、
魔皇の異能が云わせてるって感じか?
“支配”や“従属”はソノ代名詞って感じだもんな。
そういえば今まで魔皇らしい事あんまりしてなかったから
本来コレで良いのかも知れない。
え? 虐殺? ソレは人間もヤるだろ。
「獲るべき業を、 汝が選べ――!」
「ハイ! 【暗黒魔剣士】 です!!」
再び宝珠を取り巻く法陣が紅蓮の煌めきを纏いながら回転し、
中央部のソレが意志を持ったように炎に包まれながらサーシャの躰へと向かって行く。
「あう――!」
法陣は胸の辺りで呑み込まれ
しかし服には焼け焦げ一つ付いていない。
どこぞの〇〇ラノベみてーに
「一瞬で」ってわけにはいかねーな、
力が馴染むまで少々時間が掛かる。
片手に回復の魔導、 ソフィアもロッドを構えていたが
どうやらその心配は無さそうだ。
沈黙が支配する空間の中少女の浅い呼吸だけが聞こえるが、
魔氣も魔那もダメージを受けた感じじゃない。
然る後――。
「フッ――」
俯いていたサーシャが顔を上げ、
それまで見た事も無い不敵な笑みを口元に浮かべる。
当然服装も何も変わっていないが、
明らかに今までと “違う” という雰囲気を
周囲に否応なく漂わせた。
魔那の変質がソレを生み出す元凶なのだろうか?
彼女にはまるで無縁だった“邪” な気配さえ、 今は感じる。




