Ж-75 従 魔 変 貌 ~Servant Metamorphose~ ④
ンじゃまメインイベント~、 ってか別に何もねーだろうけど
『確認』 だけして帰りますか?
“宝珠” の能力で 「脱出」 は簡単に出来るらしいし、
次に 「来る」 のも簡単だってさ、 この回廊までワープ出来るって、
入り口のゾンビも消えたらしいよ。
回廊の最深部、 奥まった場所は壁で覆われたスロープになっており、
左側はオレが “竜魔導” で【深界層主】叩きつけた
大穴からの亀裂が走ってる。
でもそのスロープ自体は緩やかな傾斜を描いていて
足元は柔らかな紋様入りの絨毯が敷かれている。
経年劣化しねーのかな? コレも魔道具か?
ちょっと切り取って持ってっちゃダメ?
まぁ余計なことは考えず、 もう危険な気配はしないので
そのままロフトの行き止まりまで静かに歩いた。
……こんちは。
隣で相方は合掌、 ソフィアも杖を正して黙祷を捧げている。
サーシャもそれに倣って祈りのポーズ、
無礼な態度なのはオレと肩のスライムだけだ。
玉座、 って云っていいのか?
造りは簡素だが黄金で設えられた肘掛け椅子に
正反対の青錆びた鎖。
ソレが幾重にも躰に巻き付いた “亡骸” が
ソコに座していた。
「襲って来る、 気配はないね、 もしきやがったら
ざけんなクソゲー! って話だけど」
「寧ろ “彼女” を護る、 或いは 『秘匿』 する為に
先刻の “界層主” を誣いたのであろう。
しかし、 此の【深淵】、 ましてや “岩場の中” にまで
特殊空間を創ってその存在を封じるとは、
一体斯様な因業在りてか?
慶事で無い事は確かであるようだが」
骨格から 「女」 だって見抜く観察眼は流石だね相方、
でも云う通りこんなに厳重な 『封印』 のされ方しているとなると
存在そのものが【禁忌】だったって事か?
【魔皇】みたいなモンか? オレ自身、 “歩く災厄” みたいなモンだしな。
「此の者、 神々に背きし 【大罪】 を期せしが故に、
其の生涯を永劫に禁戒とせしもの也。
忌み名、 『エル●ワ●ル・L・ク●●ーエル』 」
玉座に背後に刻まれていたらしい碑文を、
ソフィアが読み上げた。
オレが見ても何のこっちゃ解らん、
『賢者』 だから解読出来たっぽいね、
こーゆー時いつもうるさいアビスも黙ってるし。
「刻印が意図的に削られていて、
『誰』 かまでは判別がつきません。
魔導で復元も出来ないようにされている周到さです。
おひいさまの御名と重なる部分はありますが、
恐らくは関係無いでしょう」
「フラグ、 フラグ、 言ってもキリが無いからね。
ヘタすりゃ 【全部そうなる】 し。
どこぞの考古学者じゃないから
“彼女” の正体とかオレらが気にしてもしょーがないかも。
ま、 確認したしいーんじゃない?
細かい調査は後でアノ 「4人」 にやらせてもいいし、
今日はもう帰ろうよ。
疲れたでしょ? サーシャ」
「いえ、 わたしは」 とか言うから
いつも通り頭をワシャワシャやってやる。
本当に健気で良い娘だ、 何でオレなんかと一緒にいるのか解らんね、
本当にねぇ。




