Ж-72 迷 宮 組 曲 ~Carol of Labyrinth~ ③
「はい、 流石は伴侶、 鋭いご明察。
『試練』 の場なので当然それに対する「褒賞」が存在します。
些末な用品からは武器、防具、装飾品、
果ては魔道具や異能や魔導の星石に至るまで
多岐に及び、 場所にもよりにますが基本「宝箱」の中に納められます。
我々 「冒険者」 はその箱の中身を生業としている者も多く、
時間を置けば場所を変えて恒久的に復活するモノもあるので、
魔物と戦う者に対する神からの恩賞という解釈が、
やはり受け入れられ易い解釈となります」
フ~ン、 実際は違うかもってヤツね。
人間、 『嘘でも都合が良い方』 を信じがちだからね、
【残酷だけど本当の真実】よりは。
「ともあれ、 そういった概要ですので、
入る、 入らないは兎も角、
このまま 『放置』 するのは非常に危険であると愚考します。
もし別の誰かにこの “ダンジョン” の存在が露見してしまえば、
情報の拡散によって全星界から
有象無象が大挙して此処に押し寄せる事でしょう。
「軍」 が動くというのも決して大袈裟ではなく、
ソレだけ 【新規ダンジョン】 というのは
大きな可能性を秘めているのです。
【ダンジョン戦争】 というのも星界間では
当たり前のように行われています」
……えらいモン掘り当てちまったな。
誰だよこんな事ヤらかしたヤツ。
いいよいいよいいですよ。
どうせ全部オレが悪いんですよ。
そう無言で少し離れて石を投げたら、
残りのメンバー全員が集まって
ヒシッ、 としてくれた。
最高かよおまえら。
異世界に来て良かったとすら想う自分がそこにいる。
「兎に角、 我々は今以上に強くならねばならん。
「腕試し」の場とすれば、 打ってつけの所であろう」
「中の状態、 どんな “ダンジョン” か明確に解析出来れば
他の者の 『訓練場』 としても流用出来るでしょう。
入り口の 「隠蔽」 はワタシにお任せを。
或いは宝珠の権能でソレも可能かもしれません。
お姫さまの御力ならば」
「私、 頑張って強くなります!
だって魔皇さまと、 初めて “ダンジョン” に入れるんですから!」
「約束しましたよね?」 と今やすっかり目線の高くなった
サーシャが言う。
本当に、 魔皇庇っても良い事ねーって何回言わせんだ。
想わず〇〇〇だ! とか叫びたくなる。
あぁ~あぁ~解りましたよ、 一人で行くつもりだったけど
全員で入りましょ。 今からダッシュで一人特攻ってのも捨て難いけど。
「とっとと攻略して “オレだけ入れる” 〇〇ダンジョンにしちまおーぜ。
“チート的” なナニカが見つかれば 「問題」 全部解決だ!」
腕をストレッチしながら進むオレの背後で、
仲間の勇ましい喚声が背を震わせた。
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