Ж-8 曝 魔 鳴 動 ~Annihilation Break~ ④
「何、 やってんだよ……」
零れた言葉は、 眼の前のクズ共に対してかリュカに対してか
或いはオレ自身にか。
ただ解っている事は烈しい怒りに呼応して、
己の裡で魔氣が蜷局巻いている事。
溢れ出るソレに周囲の魔那が感応して歪み出してるコト!
「な、 な、 な、 なんだぁ!? このガキ!?」
「バ、 バ、 バケモンだ! 森から抜け出てきたバケモンだぁ!」
オレの躰から漏れ出る闇に照らされて、
クズ共が腰を抜かしながら我先にと駆け出す。
いいよ、 逃げろ逃げろ。
もう何処にも逃げられないけどな!
~§残滅遊戯 殲滅遊戯 血錆びれし壊刃よ§~
魔氣と魔那の混ざった魔導が、
オレの慾望のまま膨れ上がり異容を成す。
赤黒い、 吐血のような毒色の魔兆が
一瞬で硬質化、 そして割れる。
~§暴魔と悶る咎人の§~
怒りや憎しみはある一点を超えると、
燃え盛るというより逆に冷たく凍結したような感覚となる。
ソノ感覚を、 魔覚を、 そのままに。
余す事なくクズ共にブツける!
~§其の散切れゆく魂魄すらも§~
~§穢し、 躙り、 忘却より奪わん§~
何だ? 勝手に口唇が動く。
正確には脳裏で響く “囁き” と連動してるカンジだ。
≪CAUTION! 【魔 皇 種 源 泉】
『万魔殿』 由り魔導異能、 『想念詠唱』 覚醒!
憑着・127%! 仔細無し!
DEAR EXCELLENCE!! 我が主よ!!≫
「そうかいッ!」
じゃあいま頭に浮かんでる魔導名もその影響かい!
だったら何だよ!
詠唱とか魔言とか関係なく、 こいつらは殺す!
『千 ノ ナ イ フ ガ 胸 ヲ 刺 スッッッッ!!!!』
牙を剥くように差し向けた左手と同時に魔導が発動。
砕けた夥しい魔氣の破片が、 凄まじいスピードと共に
逃げ惑う者共に襲い掛かる。
宛ら天地が反転したかのような、
硝刃の群れ、 ガラスの豪雨。
ソレを行使するオレには、 その刃の一つ一つすらはっきりと認識出来た。
故に初刃の軌道を変え、 口の中に突っ込む事など造作もなかった。
即座に喀血し、 バランスを崩して倒れ込む莫迦共。
アハハハハハハハハ!
誰が悲鳴など出させてやるものか。
そのままわざと刃引きして、 切れ難くした破片が至る所に突き刺さる。
そう、 至る所に。
肉じゃない、 骨でもない、 神経が凝集した孔という孔に!
切れ味の鈍い刃は、 それ故に切り口が惨たらしいモノとなる。
代わりに痛みと虐みは激増する、
中世の拷問法でも使われた遣り口。
そのままガラスの達磨になって、 死ねない地獄を精々噛み締めろ!
自分が生きてるコト自体を呪うが良い!
“おまえらが散々やってきた事だろうからな!”
ソノ刻のオレの頭からは、 あらゆる事象がスベテ消し飛んでいた。
ただ際限なく沸き上がる、 得体の知れないナニカに、
躰が憑き蠢かされていた。