Ж－６９ 領 域 転 移 ～Zone Trancefar～ ③
「まぁ、 かくかくしかじかというワケで、
意図せず “呼び込ん” じゃったんだよ。
この宝珠の機能みたい、
味方の 「個体」 や 「領域」 は自由に動かせるんだってさ。
だからオレ達が即「村」にワープする事も可能。
驚かせちゃってゴメンね、 爺ちゃん」
手でホコリを払った石の上に座らせて経緯を説明する。
その手には熱いお茶、 一応悪かったと想ってるんだよオレも、
その後ろの正座の莫迦共がそろそろ限界っぽいけど。
あ、 “ストーン・バレット” って魔導あったな、
小石サイズでちょっと弾いてみるか、 「足の裏」 に。
……案の定阿鼻叫喚の地獄絵図になったわ、
カリムにしかやってねーんだけど派手に動いて
ブッ倒れやがったから積み木崩しの要領で被害が雪崩式に、
流石のオレもちょっと引くわ、 傍で見てるソフィアがシュールだけど。
あ、 ちなみに護衛クン二人もワープさせといた、
「青い点」がしきりに村中動き回ってたからね
パニックにならない内に隔離。
最もワープにはそれなりの魔氣を消耗するっていうから
現在ちょっとクラついてる。
爺ちゃん心配しなくていいよ、 宝珠を手に入れたメリットを考えれば、
この程度の消耗なんぞオツリがくる。
「成り行きで手に入れたモンなんだけどさ、
「人」だけじゃなく『領域』も移動させられるみたいなんだよねコレ。
だからもうちょい探索して良い「地形」が見つかったら、
もう 『村ごと』 移動させたいんだけど、 爺ちゃんどう想う？」
「早くもこの深淵の “界層主” を斃してしまわれるとは。
ワシ如きの懸念など杞憂に過ぎませんな、 ホッホ。
どうぞご随意に。 魔皇様のご決定ならば異を唱える者は
最早村には居りませぬでな。 ホッホ」
あぁ～、 もう、 良識人の人格者との話だとホッとするわ。
莫迦四人 （とオマケが一人） じゃなく付いてきたのが
爺ちゃんと護衛クンだったらまず正座はさせないだろうね、
まぁ「村を空ける」なんてマヌケで無責任なマネ絶対しないだろうけど。
あぁ、 夕焼けだ。 今日もまた一日が終わる。
んじゃまこの宝珠の異力を使って村に帰ろうか？
境界外の莫迦共は魔皇を如何に斃そうとか考えてるんだろうけど
浅いんだよ？ オレはわざわざ莫迦の相手をするつもりはない。
もう二度と会う事はねーよ、 ハーフ・エルフだからって
虐げても良いと考える、 そのコトに疑問も持たないカス共とは。
最も、 戦いになってもオレは誰にも負けんがね――。
え？ どこぞの殺人鬼とセリフが同じ？
あらイヤだ。
ＮＥＸＴ ＰＨＡＮＴＡＳＭ…Ж
