Ж-69 領 域 転 移 ~Zone Trancefar~ ②
フンフン、 まぁここまで一本道だったね、 途中が森だらけの藪だらけで
横に逸れる場所は無かった。 想ったほど集落からは離れてないのね、
まぁほぼほぼ戦ってたしだから
正座の莫迦共も付いてこれちゃったんだろうけどさ。
取り敢えず爺ちゃん達の村は平穏なようだ、
「赤い点」が周りに無いからね、 トンボ帰りしなくて良かったのは
この宝珠のおかげだな。
手書きの街路図にみたいに簡易な図形が表示されるだけだから
前もって知ってないとここが「村」だって事は解らない。
持ってるのがオレだから表示も「青色」なんだろうしね、
ハーフ・エルフに悪意があるヤツなら多分「赤色」で表示される、
屑の冒険者とかね。
そういう意味じゃオレ達が取って良かったか、
“界層主” 斃せるかどうかは知らんけど。
でも無分別な表示だけど「爺ちゃん」と「護衛クン」はすぐ解るね、
強いモン順に点が大きく表示されるから。
やっぱ長老の爺ちゃんが一番強いのか、
点の大きさだけならソフィアと同じだ。
まぁ戦闘中にはまた変わるんだろうけどね。
そんなワケでなんとなく爺ちゃんの点をツンツンしてると
ソレが指の先にくっついた。 特に感触はないけど。
くっついたはいいけど「外し方」が解らん。
こーゆーの気持ち悪いからそのままにしておけないタチなんだよ、
おい、 離れろ、 離ぁ~なれろってジジイ。
そう思いながら指をフリフリすると途端に
ガキン! ってな感じで腕に筋金が入ったみたいな感覚と共に
ズッ、 と指が宝珠の表面を勝手に滑る、
村から今オレ達がいる場所までほぼ自動的に。
その次の瞬間、 オレ達の眼の前に本当にパッ、 ってカンジで
杖持った爺ちゃんが現れた。
驚くよりも何よりもオレが最初に想った事はただ一つ。
眼ェ開くんだ。 初めて見た。




