Ж-8 曝 魔 鳴 動 ~Annihilation Break~ ③
「こんな所で本気かい? それにまだ小娘じゃないか」
「けっ、 僻むんじゃねーよババア!」
「フン、 ちょっと若いからって調子ん乗ってんじゃねーよ!」
うお! 痛ぇ! 引っ叩きやがったこのBBA!
「おい何やってんだ! ソイツに傷つけんな!
奴隷商に買い叩かれちまうだろうが!」
サルみたいなやつが始めて喋った。
でもってリュカの顔色変わった。
大体解りそうなもんだけどな~。
夜中に気配断って女羽交い絞めにするヤツとかって、
大概〇〇だって。
「彼女を、 放せ……」
うわぁ~、 付き合い短いけどキレまくってんのがマジで解る。
でも悪手じゃね、 ソレ?
まともな人間にだけ通用する言葉よ、 「良識」 って。
「んだぁ? テメー」
ネズミの小男が苛立ちを隠そうともせずリュカに近寄る。
その瞬間、 槍の切っ先が微かにブレる。
いいぞ! やっちまえ!
ここはオレが押さえるから速く行――
「待てよ」
サルヤローがニヤニヤしながらネズミを止める。
「おいボウヤ、 いいのか? お嬢ちゃんの首が折れても?」
恐喝と同時に背後の男が見せつけるように、
片腕でオレを首ごと持ち上げる。
チッ、 余計な事を、 確かにこの状態じゃ魔導が遣えない、
オレまで旋風に巻き込まれる。
ソレを打開する術をいま考え中、 考え中。
あとさ、 残念だけど、 ブッちゃけオレに人質の 「価値」 ねーんだわ。
だってついさっき会ったばっか、
「解ってんのかよ! ガキ!」
は――?
リュカがサルヤローに殴られた。
持ってた槍を下げたから顔面を、 思いっきり。
反撃しようとすらしなかった。
「ハハハ!」
すかさずネズミが地面に転がった彼を足蹴にする、
顔を狙って、 何度も何度も、 執拗に。
「バカじゃねーの! カッコつけてんじゃねーよ!」
「いいザマだな! ヒャハハハハハハハハ!」
え? あ? アレ? 何? コレ?
この状況――
「ったく、 しょうがないねぇ」
ついにババアまで暴行に加わり出した、
夜の闇の中奴らが陰になって、 よく見えない。
でも、 肉が拉ぐ音が、 ずっと聞こえる。
え? あ? アレ? 何で?
何で、 こんなコトになってんの?
一体何なの? こいつら?
人、 間?
「カハハハハハハハハハ! 可愛いねぇ~。
こんなに震えちまってよ。
すぐ同じように可愛がってやるからねぇ~。
アイツの眼の前、 ぐお! 熱!」
【號魔異能】 『憤怒』ってヤツか。
「怒り」 に反応するんだっけ? コレ。
確かにブチギレたわ。
これぐらいな!
「ギャアアアアアアアアアアアアア!!」
咬合力強化、 焼ける男の腕ごと噛み付き、 筋繊維と血管、 神経網、
その他諸々咬み砕く!
「うわあああああああああ!! オレの、」
うるっせえ!
膝をつき手を押さえる男の顔面を力任せに蹴り飛ばす!
傍に近づく時間も惜しい!
吹き飛ばしたソイツの巨体でクズ共をリュカから引き剥がす。
ベッ、 骨片ごとブラ下がった腕の残骸を路上に吐き捨て
そのままリュカの傍に立つ。
異能、『疾風迅雷』
一時的に速度、 回避を上昇させる。
姿は見ない、 見れない。
今日はここまでです。
あまり読者の方に【不快感】溜めさせて『引っ張る』
というのはやりたくないんですが、
まぁノエルの【マジ蹴り】で溜飲を下げてください(≧▽≦)