PROLOGUEⅢ ~Dissolution Crisis~ ②
「国創るってやっぱ姫はスゲーな!
発想の持ってき方が半端じゃねー!
俺なんか自分がもっと強くなるか
どんな罠仕掛けるかくらいしか考えつかねーのによ!」
「かつて虐げられていた 「亜人」 達の共同体が、
“十一星界・アクエリアス” の元になったって云うわ。
ハーフ・エルフだってやって出来ない事じゃないわよ」
「姫サンが創る国なら、 俺達 「獣人」 だって差別される事ぁねえ。
故郷の奴らだって大勢呼んでやれるぜ!」
「ですニャ、 ですニャ!」
「魔皇と英霊の力が在らば寧ろ当然の事。
母国の助力が叶わないのが遺憾な処です」
おまえらなぁ~、 イベント感覚で考えるなっつーの、
よくあるラノベの〇〇〇〇高校生じゃねーんだから。
書いてるのは〇〇〇〇の〇〇〇〇だがな。
『建国』 って云ったら、 聞こえはクリーンだが
ソレが 『完成』 するまでドンだけ血が流れるか解らねーんだよ。
ヘタすりゃ100年以上も流れ続ける場合もある。
オレらの世界でもそうだった、
小さな 『聖地』 を巡って何百年も何千年も。
魔導や異能が在るこの星界じゃ
その比較にならねーんだよ。
だからその存在が露見ないように無い知恵絞ってるってのに、
部外者は気楽でいいよな、 外のスライムと内の精霊含めて!
「んで姫? さっきから飲んでんの何?」
「ん? “コーラ” オレらの世界の糖質爆弾飲料。
成分が似てる木の実があったらソレ砕いて粉末にして、
生体魔導で作った炭酸と
溶かした砂糖山ほどブチ込んだら何とかなった」
ソレを空になったポーションの瓶に入れて
魔道具 “泡沫” の中に収納してる。
氷の魔導で冷やして飲むと格別だ、
肩のスライムに少し飲ませてやったら全身がトゲトゲになりやがった。
そーゆー意味でも身体によくないのが一目で解る。
って、 一口、 じゃねーよオメーら、 群がんな。
ガチで 【毒】 だったらどーすんだよ。
さりげにソフィアまでいるし、 あぁ~もう。
「うぉ! なんだこれ!? 口の中が爆弾みてーだ!」
「舌がビリビリシュワシュワしますですニャ!」
「ちょっと薬っぽいけどこれがクセになるのかしら?」
「おい大丈夫か!? 本当に飲んで大丈夫なんだろうな!?」
「だったら欲しがらなければよろしいでしょうに」
緊張感のない莫迦共は放っておこう。
分けた小瓶を両手で口にしながらソフィアだけ付いてくるのが
妙に物悲しい。 昔の文学作品みてー。
異世界でコーラ飲みながら国の成り立ちを考える、
ってどんなシチュエーションだよ。
川端康成にブッ飛ばされるわ読んだ事ねーけど。