Ж-8 曝 魔 鳴 動 ~Annihilation Break~
魔導を遣ったわけでもないのに、
渇いた風が一迅、 傍らを通り過ぎた。
渇ぁわいた~♪ って古いわ!
出来れば永遠に無視しておきたかった、
禁句中の禁句にオレは触れた。
触れて、 しまった。
だってこれからどうするか解ってたら
「どうする?」 なんて訊かねーもん!
解らないコト解らないって再確認してどーすんの?
意味ねーじゃん! どうしようもねーじゃん!
通過儀礼? 〇ね!
「うむ……」
ほらぁ! リュカ君考え込んじゃったじゃん!
莫迦! オレの莫迦! オレと違って真面目なんだから
勝手に責任押し付けてソレで良いじゃねーだろ!
〇〇ラノベのヘタレ主人公か!
「おまえは私が守るから」 とか言われて顔赤らめるだけか!
〇んじまえ! 〇〇〇〇!
「よし!」
言ってしまった反面、 立証責任(←多分違う)くらい果たそうじゃないか!
上手くいけば万事解決だ! やったー!
「テン〇ストに行こう!」
青い後光を背に発する、 実に良いサイズの “アノ方” を
想い浮かべながら右手をグッと握る。
「ミ〇ムと遊んでヴェル〇ラさんの~」
「待ちたまえ」
ジュージュー焦げる鉄板焼きを想像しながら
歩き出すオレの肩を相方が押さえた。
≪CAUTION! そのような国家はこの神創十二星界の何処にも、
歴史上、 異説上にすら一切存在しません!
INTENTION!, CERTAINLY! 我が主よ!≫
「じゃあ、 迷宮潜って蜘〇子サンとぉ~」
「アノ人は基本コミュ障だから会話が通じない。
現実逃避は止めよう」
〇ちゃん、 〇ちゃんとネタバレしまくるオレの代案を
リュカが首を振って却下した。
っつーか元ネタ知ってたのね、 意外。
こんな状況でもとことん巫山戯けるオレへ付き合ってくれる相方に
心底甘えながら、 ようやく腰を落ち着けた。
結構年季の入った木製の標識の前に置かれた石に座って
今後の事を検討する。
皮肉というか何というか十字路、
来た方向は別として一応選択肢は3つある。
曰く。
≪CAUTION! 「東」 はお勧めできません。
レイルードという近郊都市がありますが、
既に主達の手配が各種冒険者ギルドに
出回っている可能性が御座います。
「西」 は更に推奨出来ません。
進行先が第八星界 “スコーピオ” との 『境界』 であるため
開発が滞っており、 尚且つ荒野や砂漠等の
補給が困難な不毛地帯が続きます。
「南」 は絶対に止めた方が宜しいです。
ここからは只の樹海にしか視えませんがその本質は、
【深淵迷宮】 と呼ばれる
全星界に根を張り巡らせる蠢く禁忌領域で在り、
最早人の棲める場所ではありません。
PLEASE, SELF-REGARD! 我が≫
「全部ダメじゃん!」
頭を抱えてうがー、 と嘆くオレを相方が宥める。
どうやら布都ってのに同様の説明を受けたらしいね、
でも、 アレ?