Жー64 殲滅の誓約Ⅱ ~Crime Light~ ④
「解ってると想うが、 全部 “オレの所為” だ。
オレが此処に来なかったらこんなコトは起こらなかった。
だから 「フザけんな!」 って奴はその石拾ってオレに投げろ。
反撃はしねぇ。 これまで世話ンなったから
憂さ晴らしの対象くらいにはなってやるよ」
両手を広げて無抵抗の姿勢を見せると全体がたじろぐ雰囲気が伝わる。
感情的には半信半疑、 「なんだこいつ気持ち悪ぃ」 が
一番近いかもね。
即座に爺ちゃんとソフィアが止めようとするが
オレが片手を上げて阻止。
必要なコトだ。 邪魔しねぇでくれ。
やがて一人が恐る恐る石を拾うと、
同調行動と連帯意識で我も我もと石を握る。
おいおい結構怖ぇなコレ、 耐えられっかな?
オレらの世界でも処刑法の一つで未だにあったし、
サーシャの投げる石が一番痛そうだ、 見えねーけど。
「どうした? 来いよ、」
手招きをして言い終る前に例の如くバカ四人がオレの前に立ち塞がった。
おい、 と咎める前、 更にその先にロッドを構えたソフィアと爺ちゃんが、
最後に相方が剣を持たず悠然と先頭に立つ。
そして――。
「――ッッ!!」
群れの中から抜け出したサーシャが、 両腕を広げて台の前に立った。
昨日オレが渡した曲刀を持ったまま。
その前に相方とソフィア、 他の三人がオレを覆い隠すように立ちはだかる。
チッ、 莫迦共が、 魔皇庇っても良い事ねーって何回言ったら解るんだ?
取り敢えずここは魔導で防がねぇと。
バンッッッッ!!!!
最初の石が叩きつけられた、 地面に。
「もう、 まっぴらだ……!」
ハーフ・エルフの青年、 血が滲むほど拳を握りしめ、
肩を震わせて俯いている。
「俺は、 俺達は、 ただハーフ・エルフだというだけで、
理由も無く蔑まれ、虐げられ、隷属されて生きてきた」
そうだな、 ソレがこの世界の 「当たり前」、 らしいな。
「そこから逃げて、 逃げて……やっと落ち着けた場所が、
こんな深淵の、 追い詰められた片隅だった……
もし長老が居なかったら、 本当に今頃どうなってたか……?
もう想像すらしたくねぇ……!」
その最後の 『居場所』 を、 ささやかな生活を、
全部無惨にブチ壊したのがオレだよ。
今更弁解する気はねぇ。